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国際線「燃油サーチャージ」復活 原因は「トランプ効果」

   日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)グループの国際線にかかる「燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)」が復活する。

   2017年2月1日以降の航空券発券分から適用される。航空会社の燃油サーチャージは、ここ最近は値下がり傾向で、2016年3月までは北米(ハワイを除く)や欧州、オセアニアなどの路線で片道7000円が必要だったが、16年4月以降はゼロ円だった。

  • 2017年2月から、燃油サーチャージが「復活」する!
    2017年2月から、燃油サーチャージが「復活」する!
  • 2017年2月から、燃油サーチャージが「復活」する!

2月から、北米や欧州で片道3500円が上乗せ

   この年末年始、JAL、ANAの燃油サーチャージは「ゼロ」だったこともあり、海外旅行には追い風だったかもしれない。

   航空会社が国際線の旅客から徴収する燃油サーチャージは、燃料価格の急激な変動を調整する措置。2か月ごとに見直し、その直近2か月間の燃油市況(シンガポールケロシン市況)の平均価格と期間中の為替レートの平均に基づき、決まる。1バレル当たり6000円未満なら「ゼロ」となる。

   つまり、2017年1月まで発券分は、直近の16年8~9月の燃油価格の平均が5513円で、6~7月(5925円)からさらに下落していたため、「ゼロ」円だったわけだ。

   JALとANAが燃油サーチャージの「復活」を発表したのは2016年12月。両社とも、適用期間は2017年2月1日から3月31日の発券分まで。4月1日以降の発券分は、17年2月をメドに決めるという。

   燃油サーチャージ(加算分)は、1旅客1区間片道あたり、北米(ハワイ除く)や欧州、中東、オセアニアが3500円、ハワイやインド、インドネシアが2000円、タイ、シンガポール、マレーシアが1500円、ベトナム、フィリピン、グアムが1000円、中国や香港、台湾が500円、韓国が200円となる。

   燃油サーチャージは航空券に別途必要になるので、たとえば家族4人でハワイへ旅行する場合、これまで「ゼロ」円だったものが、片道2000円×往復分×4人分の1万6000円が上乗せされることになるわけだ。

   燃油サーチャージ「復活」の原因は、基準となっている2016年10月から11月のシンガポールケロシン市況の平均価格の上昇と円安の進展がある。燃油市況の平均価格は1バレル当たり58.69米ドル、為替レートは1ドル106円で、燃油市況の価格を円貨換算すると6221円になる。6000円を超えたため、「復活」したわけだ。

   16年10~11月といえば、石油輸出国機構(OPEC)総会での原油の減産合意が発表されたことに加えて、米国の次期大統領にドナルド・トランプ氏が就くことが決まった。「米国ファースト」を打ち出したトランプ氏の登場で、16年10月4日に1ドル102円88銭だったドル円相場は11月30日に114円44円まで、10円超も一気に「円安ドル高」が進行。17年2月以降に、海外旅行を計画していた人にとっては、とんだ「トランプ効果」となった。

1月中に発券すればかからない

   燃油サーチャージの「復活」に、インターネットの掲示板などには、

「はあ・・・ 円安だからしゃーないような気もするけど」
「クソ円安」
「燃油価格が上がればサーチャージ、下がったら知らんぷり? これじゃあ海外なんか行かなくなるわ」
「そういえば、安倍ちゃんが『ただちに円安が国民生活に悪影響を与えるようなことはない』って言ってなかったっけ。これってどうなのよ」
「どうせ海外行くヤツなんて金持ちばかり。トランプ効果で浮かれすぎてんだからちょうどいいんじゃね」

などと、憤りをぶちまける声は少なくない。

   なかには、

「別にいいんじゃね サー込みで高いと思ったら格安にでも乗るしかない」
    「もう国内のキャリアに金を落としてやるのがバカバカしい。LCCでいいわ」

といった、格安航空(LCC)を利用するとの声もある。

   一方、燃油サーチャージは航空券のみだけでなく、ツアー旅行の代金に組み込まれているケースが多い。つまり燃油サーチャージ分、ツアー代金が値上がりすることになるわけ。逆に、2017年1月いっぱいに航空券を発券すれば、燃油サーチャージがかからないため、旅行会社では2月を前に、海外旅行の「駆け込み」需要を掘り起し、積極的に売り込んでいる。