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JASRAC、ミクシィにも著作権侵害指摘 投稿「歌詞」数千件の削除要求

   国内大手SNSの「mixi(ミクシィ)」が2017年2月1日、楽曲の歌詞を含む一部ユーザーの書き込みについて、削除または非表示の対応をとるよう求める告知文を公式サイト上に掲載した。

   ミクシィ広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、今回の告知について、日本音楽著作権協会(JASRAC)から「歌詞を無断で利用している書き込みがある」と通告されたことを受けた対応だと説明する。

  • ミクシィがユーザーの「歌詞投稿」に対応
    ミクシィがユーザーの「歌詞投稿」に対応
  • ミクシィがユーザーの「歌詞投稿」に対応

「日記やつぶやきで歌詞を引用するのも駄目なのか」

   ミクシィは今回の告知文で、楽曲の歌詞を含むサイト内の投稿について、

「権利保持者から数千件の投稿に対して著作権侵害の通知を受けております」

と状況を説明。その上で、個々のユーザーに対しては、該当する書き込みを削除するなどの対応を求め、

「権利保持者の許諾を得るか権利侵害にあたらない範囲で mixi をご利用くださいますようお願いいたします」

と訴えている。また、著作権侵害にあたる投稿をしているユーザーに対しては、近いうちに運営側から個別にメールで連絡するとしている。

   なお、ミクシィ側は具体的にどのような投稿が「著作権侵害」にあたるかは示していない。ただ、サイト内にはアーティストやバンドのファンコミュニティも多く、中には「歌詞全文」を掲載した書き込みも見つかる。

   こうした告知文をめぐり、ミクシィユーザーからは驚きや戸惑いの声が相次いだ。サイト内にあるつぶやき機能には、

「mixiでアーティストの歌詞をつぶやいたらあかんの!?」
「ちょっとびびってしまったので、とりあえず、削除。お気に入りの歌詞メモってたのに...」
「なんだそりゃ。日記やつぶやきで歌詞を引用するのも駄目なのか」

といった不満気な書き込みが相次いでいる。

著作権違反を知らずに放置している場合は...

   いったいなぜ、ミクシィ側はこのタイミングで「歌詞の無断使用」を控えるよう促す告知を出したのか。J-CASTニュースは2月3日、ミクシィの広報担当者に詳しい事情を聞いた。

   担当者はまず、告知文にあった「権利保持者」はJASRACだと断言。その上で、

「実はJASRACからは、過去に何度も『歌詞の無断使用』に関する通知が来ていました。その通知は、どんなユーザーやコミュニティで著作権違反が行われているかを具体的に指摘したものです」

と背景を説明した。今回、改めてユーザーへの注意喚起を行った理由については、

「特段、JASRAC側から強い働きかけがあったわけではありません。直近の通知で、指摘を受けた投稿の数がこれまでよりも多かったので、今回の告知を出すことを決めました」

と話していた。なお、具体的に何件の指摘が来たかは「答えられない」という。

   とはいえ、昔はミクシィを利用していたが、現在はまったくログインしていないというユーザーも多い。また、ミクシィを登録したメールアドレスを、現在は使っていない人もおり、自身の書き込みがJASRACから「著作権違反」との指摘を受けていることに気付かず、そのまま放置を続けてしまうユーザーが出ることも十分に考えられる。

   こうしたケースへの対応を担当者に聞いたが、

「現時点で、サイト上での告知とメール以外に何か別の対応を行うかも含め、検討している段階です」

としていた。

JASRAC「SNS上の歌詞はプラットフォームに対応を要請」

   では、仮にSNSやブログ上に「歌詞」を無断で引用したまま放置していた場合、JASRACから直接料金の支払いなどを求められるケースはあるのだろうか。JASRAC広報部はJ-CASTニュースの取材に、

「基本的には、サービスを提供しているプラットフォーム側に対応をお願いする形になります」

と話す。実際、担当者によれば、個人のネットユーザーがプラットフォームを通じて歌詞や楽曲を無断アップロードしたケースについて、JASRACが「直接」対応を求めた例はこれまでにないという。

   なお、ブログサービスや動画配信サイトの中には、運営側がJASRACと一括契約を結んでいるものもある。例えば、アメーバブログやYahoo!ブログ、Youtubeやニコニコ動画などがその対象だという。その場合は、

「JASRACとして、歌詞や楽曲のアップロードを問題視することはありません。ただ、レコード会社や放送局など、別の著作権者がアップロードされた動画などの削除を要求する場合はあります」(JASRAC広報部)

という。