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石原元知事、小池知事に宣戦布告? あすの会見で飛び出すコト

   東京都の築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、石原慎太郎・元知事が2017年3月3日に記者会見する。焦点のひとつになりそうなのが、東京ガスから都に土地が譲渡された後に新たに汚染が発覚したとしても、東京ガスに新たな対応を求めないとした「瑕疵担保責任の免責」の問題だ。

   石原氏は、免責されるに至った経緯について「報告は私には届いていない」と週刊誌のインタビューに答えているが、東京ガスが土地売却後に「土壌汚染にかかる費用負担をしない」ことを確認したとする「協定書」に知事の職印と石原氏の名前が入っていることから、石原氏の責任は免れないとする声もある。石原氏の認識によっては、石原氏に損害賠償を求めるよう都に求めた住民訴訟にも影響する可能性もありそうだ。

  • 東京都と東京ガスが結んだ「協定書」。石原氏の名前と都知事の職印がある
    東京都と東京ガスが結んだ「協定書」。石原氏の名前と都知事の職印がある
  • 東京都と東京ガスが結んだ「協定書」。石原氏の名前と都知事の職印がある
  • 石原氏は記者会見で何を話すのか(2016年5月撮影)

瑕疵担保責任の免責は「私も問題だと思う」

   石原氏は、用地取得の経緯などに関する16年秋の東京都の質問状に、

「私自身は交渉に全く関与しておりません。全て浜渦(武生・元副知事)に任せておりました」

と回答。「週刊新潮」17年2月23日号のインタビューでも、東京ガスとの交渉内容については

「詳細な報告は受けていません」

と繰り返し、瑕疵担保責任免責の問題については

「私も問題だと思う。一般的な不動産の売買契約においても、やはり売り手側の瑕疵担保責任は問われるべきものだから」

と、免責には問題があるとの見方を示しながら、

「とはいえ、なぜ免責されるに至ったかについての報告は私まで届いていないし、浜渦も分からないと言う」

と述べ、自らに認識はなかったと繰り返した。

   だが、この認識は正しくないとの指摘も出ている。その根拠が、土地の売買契約の日付と同じ11年3月31日付で東京都と東京ガス、100%子会社の「東京ガス豊洲開発(現・東京ガス用地開発)」の3者が結んだ「豊洲地区用地の土壌汚染対策処理の費用負担に関する協定書」だ。この協定書では、当時586億円かかると見積もられていた土壌汚染対策費のうち、東京ガス側が78億円を負担することを明記。瑕疵担保責任については、

「費用負担対象となる土量に変動が生じた場合においても、甲(編注:東京都)、乙及び丙(東京ガスと子会社)は異議を申し立てず、費用負担額の増減を行わない」(第3条2項)
「今後、乙及び丙は対象用地の土壌汚染にかかる費用負担をしないことを確認する」(第6条)

と書き込まれた。結局、汚染対策費は860億円まで膨らみ、差額の274億円は都が負担した。この「協定書」に知事の職印と石原氏の名前が入っていた。

   こういった経緯から、17年2月19日付の共産党の機関紙、「しんぶん赤旗 日曜版」では「知らないでは済まされない」とする都の局長経験者の証言を紹介しながら、石原氏は「責任重大」だと指摘。日刊ゲンダイも2月21日発行の紙面で、「しらばっくれるな!慎太郎」などと非難した。

小池知事は住民訴訟の論点として指摘

   豊洲の土地購入をめぐっては、12年に住民訴訟が起きている。知事時代の石原氏が汚染された土地を東京ガスから578億円で購入した経緯を「豊洲の土地売買契約の代金が、都知事の裁量権を逸脱した違法行為」だとして、都が石原氏に対して578億円(もしくは東京ガスの負担額78億円を差し引いた463億円)を請求するように求める内容だ。

   都は「石原氏に損害賠償責任は存在しない」という立場で訴訟に臨んできたが、小池百合子都知事は17年1月20日、この方針を「検証」することを表明。

「過去の豊洲用地売買契約の瑕疵担保責任の免責、放棄についても、法律的な課題になろうかと思います」

と述べ、瑕疵担保責任が検証のポイントのひとつになることを明言している。石原氏が会見する3月3日には、小池知事の定例会見も開かれる。