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マッチングアプリにハマる若者たち 「ネットで恋愛」に抵抗ない世代

   大学生などを中心に、オンライン上で異性と出会う「マッチングアプリ」を利用する若者が増えている。

   大手企業も多数参入し、盛り上がりをみせるこの市場。国内最大級のマッチングアプリ「Pairs」は、16年12月に会員数500万人を突破した(12年にサービス開始)。そこで、実際に利用しているという女子大学生と、若者の恋愛事情に詳しい専門家に話を聞いた。

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  • 【画像】実際の利用画面/画像はマッチングアプリ「Tinder」より(黒塗り部分に名前・年齢が表示される)
  • ざっとダウンロードしただけでこれだけの数
  • サイバーエージェントの17年9月期第1四半期決算発表会資料より

20代前半が市場をけん引

   マッチングアプリとは、簡単に言えば「出会い系サイト」だ。

   ただし、出会い系サイトから連想されるような負のイメージ(なりすまし、架空請求など)を極力排除し、安心安全を担保する仕組みを取り入れている事業者が少なくない。例えば、実名制のフェイスブックとの連携や、公的証明書による年齢確認、事業者による投稿の監視などである。

   一般的な使い方としては、まず、自身の顔写真とプロフィールを登録する。そうすると、タイムライン上に、異性の顔写真とプロフィールが流れてくる。気になる異性が見つかれば「いいね」を押し、相手も応じれば「マッチング」が成立。1対1のチャットが可能になる。会話をしておたがい気に入れば実際に会う――といった具合だ。

   「マッチングアプリ」のニーズは年々高まっている。調査会社のシード・プランニングの調査では、オンライン恋愛マッチングサービスの市場規模は、2012年の16億円から毎年増伸し、17年には約70億円に達すると予測。同社は、20代前半の若年層を中心に市場の拡大をけん引している、と分析する。

   それにともない、受け皿であるプレイヤーの参入も増加。リクルートやマイナビ、ミクシィ、サイバーエージェントなど大手企業も参戦し、「戦国時代」の様相を呈している。

   中でもサイバーエージェントは、現在4つの「マッチングアプリ」を手がける。位置情報を利用してすれ違いを出会いのきっかけにする「CROSS ME」や、ユーザーの好みのタイプを顔認識システムで抽出する「mimi」などだ。

利用者に話を聞くと

   しかし、オンライン上でのやりとりだけで、「他人」と出会うことに抵抗はないのだろうか。

   結婚情報サービス会社「オーネット」が2017年の新成人を対象にした調査では、「SNSなどで知り合った異性との恋愛」に37.3%が「アリ」と回答。4割弱がマッチングアプリを含む「ネット恋愛」に抵抗はないという。

   実際にマッチングアプリを利用している、東京都内の大学に通う女子学生Aさん(22)は、

「合コンとかと違って、マッチングアプリはゲーム感覚でできるのでガチさがない。あわよくば出会うって感じでコスパが良い」

と話す。

   また、現在社会人1年目で、学生時代に利用していたという男性Bさん(23)は、

「サークルやゼミ内で付き合うと、別れたあとに周りに気を遣わせてしまう。マッチングアプリはそれがない」

と、マッチングアプリの利点を語った。

ハイスペックな社会人と出会うため

   大学生の恋愛事情に詳しい専門家にも話を聞いた。

   『つくし世代~「新しい若者」の価値観を読む~』 (光文社新書) の著者で、ADK若者プロジェクトリーダーの藤本耕平氏は、大学生にマッチングアプリが流行っている理由は主に「3点」あると言う。

   1点目は、SNSの普及によりデジタル上で友達になる機会が増え、バーチャルでの出会いに抵抗がなくなったため。

「フェイスブックの友達のタグ付けなど、直接知り合いじゃなくても、友達になることが多いですよね」

と話す。

   2点目は、写真の加工技術が進んで、ハードルが下がったため。

「以前は、マッチングアプリには美男美女しか参加できませんでしたが、いまは写真が盛れるようになり、一般の人の参加が増えています」

と分析する。

   3点目は、女子大生ブランドを活かして、ハイスペックな社会人と出会うため。

「女子大生というだけで社会人からちやほやされるので、普段手の届かない社会人と出会えます。また、マッチングしても恋愛はしないケースも多いです。恋愛が目的ではなく、『いいね』されて、承認欲求を満たされるのが目的だからです」

と藤本氏は説明する。なかには、後腐れなく簡単にやれる人が見つかるから、という理由でセックスフレンドを探す目的で利用する女子大生も一部にはいるという。

   ただ、当然、マッチングアプリを無条件で信用するのは危険な面がある。なりすましも含めた利用者の実態や、運営会社の経営状況などの見極めも必要だ。