J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

植木JAL社長「長く続けていいと思わない」 パイロット出身トップの交代時期

   日本航空(JAL)は2017年4月28日、17~20年度の中期経営計画を発表した。前回12~16年度の中期経営計画と同様に「営業利益率10%以上」の維持を掲げ、北米や東南アジア路線の強化など国際線を中心に引き続き成長を図る内容だ。

   植木義晴社長が就任したのは、前回計画の発表とほぼ同時期の12年2月で、就任から丸5年が経つ。今回発表された計画の対象期間が前回の5年間から1年間短くなったことについて「完遂を見守りたいという社長継続の意思なのか」と問う声に対して、植木氏は「いつまでも長く続けていいものだとも、正直、思っていない」と応じ、遠くない時期の社長交代をにおわせた。

  • 記者会見で笑顔を見せる日本航空(JAL)の植木義晴社長
    記者会見で笑顔を見せる日本航空(JAL)の植木義晴社長
  • 記者会見で笑顔を見せる日本航空(JAL)の植木義晴社長

ANA社長は4年で交代

   会見中盤、中期経営計画の対象期間が5年から4年に短くなったことを、記者が

「これは完遂するのを見守りたいという社長継続のご意志なのか」

と質問。植木氏は、笑いながら

「見守りたくないというと無責任ですしね...。気持ちはありますけど、ただ、経営、社長というものは、いつまでも長く続けていいものだとも、正直、思ってはおりません。若い人に譲るべき時期は、当然来るのだと思っています」

と答えた。

   植木氏の社長就任時は、「パイロット出身者としては初」「時代劇スターの片岡千恵蔵の息子」といった点で話題になった。

   なお、全日空(ANA)では、13年4月に社長に就任した篠辺修氏は丸4年後の17年3月に退任。17年4月から平子裕志氏が社長を務めている。

「8.10ペーパー」なくなって投資を加速

   JALは10年の経営破綻後、公的支援を経て12年再上場した経緯から、全日空(ANA)などから「競争環境のゆがみ」を指摘する声が相次いでいたことから、国土交通省は前回12~16年度の中期経営計画の期間中、JALに対して

「投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する」

とする文書を出し、事実上新規路線の開設が制限されてきた。この文書は12年8月10日に出されたことから「8.10ペーパー」と呼ばれてきた。この8.10ペーパーの効力が2016年度末に切れたことから、JALは4月1日に羽田-ニューヨーク線を開設するなど、攻勢を強めてきた。今回の記者会見でも、植木氏ら登壇者からは「必要な投資はしていく」といった発言が相次いだ。

   具体的には、航空機や情報システムを中心に年間2200億円程度を投資。19年度から国内線向けの大型旅客機、エアバスA350型機の導入を進めるほか、既存機材の座席も改修。主に東南アジア-日本-米国の乗り継ぎ需要が増えることを見越して路線を強化する。

   国際線は輸送量の指標になる座席キロ(ASK=座席数×飛行距離)ベースで、20年度までに16年度比で23%の成長を目指す。飽和状態の国内線でも、インバウンド需要を見越して、現在は2%程度の外国人客の割合を4%に増やし、座席キロベースで5%伸ばしたい考え。