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正恩氏は「パラノイア状態」 米国連大使の分析が意味するコト

   北朝鮮が2017年5月14日早朝に新型ミサイルを発射したことを受け、国連安全保障理事会は16日(米東部時間、日本時間17日)にも緊急会合を開催する方向で調整に入った。

   これに先立つ14日に放送された米ABCテレビの討論番組では、米国のヘイリー国連大使が金正恩委員長について「パラノイア状態(in a state of paranoia=妄想症、偏執病)」だと発言。トランプ大統領も4月末のインタビューで、正恩が「正気」かどうかについて「分からない」と答えたばかりだ。

  • 北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩委員長は新型ミサイルの発射に立ち会った(写真は労働新聞から)
    北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩委員長は新型ミサイルの発射に立ち会った(写真は労働新聞から)
  • 北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩委員長は新型ミサイルの発射に立ち会った(写真は労働新聞から)
  • 5月15日付けの労働新聞はミサイル発射の様子を連続写真つきで伝えた

高度2111.5キロまで上昇、787キロ飛行して公海上に落下

   朝鮮中央通信をはじめとする国営メディアは5月15日朝、14日に「新しく開発した地対地中・長距離戦略弾道ロケット『火星12』型の試射を成功裏に行った」と報じた。ミサイルの発射は正恩氏が現場で指導し、

「最大頂点高度2111.5キロまで上昇飛行して距離787キロの公海上の設定された目標水域を正確に打撃した」

とした。この高度と飛距離は14日時点で日米韓が推定していた値とほぼ同じだ。国営メディアは、発射を「周辺諸国の安全を考慮して最大高角発射システムで行った」とも説明。通常よりも高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」での打ち上げだったことも明らかになった。通常の角度で発射すれば場合は、さらに飛距離が伸びると言える。北朝鮮の技術が進歩しているのは確実で、CNNなどは、米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成に近づいたとの見方を伝えている。

正恩氏は「常に、周辺のあらゆることについて心配している」

   それだけに米国は強く反発。ヘイリー国連大使は、14日(米東部時間)放送のABCの討論番組「ディス・ウィーク」で、

「まず、金正恩氏を理解する必要がある。彼はパラノイア状態だ。彼は非常に、周辺のあらゆることについて心配している。(ミサイル発射は)大統領選後の韓国へのメッセージなのだろう。我々は圧力を強め続ける。彼(正恩氏)も、それを感じるはずだ。制裁なのか報道声明なのかは分からないが、我々はそれを続けていく」

と述べた。仮に追加制裁に踏み切る場合の選択肢についても

「石油、エネルギー、船舶、輸出など、まだ行っていないことで、我々ができることは沢山ある」

と付け加えた。トランプ氏も4月末のCBSテレビとのインタビューで、

「皆が『彼は正気なのか?』と言うが、私には分からない」

と述べた。ただし、トランプ氏は、正恩氏が若くして権力を継承・掌握した経緯から

「かなり頭の切れる人」

だとも評している。