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井村屋あずきバー専用かき氷メーカー 「固すぎて開発難航」衝撃エピソード

   「世界一固いアイス」とも噂される井村屋(三重県津市)の看板商品「あずきバー」専用のかき氷器を、玩具メーカーのタカラトミーアーツ(東京・葛飾区)が2017年6月29日に発売する。

   9か月にわたる開発期間を経て完成したというこの商品。開発中には、試作機があずきバーの「固さ」に負けて壊れてしまうアクシデントも起きたという。そんな同商品の開発にあたって「最も苦労したポイント」はどこなのだろうか。J-CASTニュースがタカラトミーアーツ広報に話を聞くと――

  • 6月29日発売の「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」
    6月29日発売の「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」
  • 6月29日発売の「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」
  • あのあずきバーが「ふわふわ」としたかき氷に
  • まずは、てこの原理で棒を抜いて・・・
  • 次にハンドルを回せば、かき氷に!

サファイアより「固い」という実験結果も

   商品名は「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」で、価格は2800円(税別、価格は以下同)。あずきバーには65ミリサイズ(価格70円)と85ミリサイズ(同100円)の2タイプがあるが、同商品が対応するのは65ミリサイズだけ。

   とはいえ、あずきバーの固さは相当なものだ。YouTubeには冷凍庫から取り出したあずきバーで「釘を打つ」様子をおさめた検証動画がいくつも公開されている。

   実際、ナイフメーカー「ジーサカイ」(岐阜県関市)は16年3月、あずきバーの固さを硬度計で計測。結果は数値が乱高下して「測定不能」に終わったものの、一瞬ではあるが「世界で2番目に固い宝石」として知られるサファイアよりも高い数字が出たという。

   そんなあずきバーを「ふわっと削れる」という今回の専用かき氷器は、いったいどんな仕組みになっているのか。その工程を説明すると、次のようになる。

   まずは、本体にあずきバーを固定。続けて、「てこの原理」を応用した専用パーツで、あずきバーの棒部分だけを抜き出す。これは開発担当者の実験で、棒を抜くことでスムーズに削り進められることが分かったために採用された工程だ。

   その上で本体下部のハンドルを回す。すると、ステンレス製の刃があずきバーを細かく削り、「ふわふわ」とした食感のかき氷が本体の下部から出てくるという。

井村屋「まさか、本当に完成させるとは...」

   あずきバー専用かき氷の開発は、タカラトミーアーツの想定以上に難航したようだ。同社が報道各社に配布した資料では、商品の完成までに計6種類の試作機を製作したと説明。さらには、次のような試行錯誤のエピソードも明かしている。

「(井村屋への)プレゼンテーションの場で『あずきバー』の固さに途中で試作機が壊れるというアクシデントが発生。その後何度か試作機を持って井村屋の担当者を訪れ、目の前で『あずきバー』を削ろうとしては失敗する、ということを繰り返し、第6号機目にしてやっときれいなかき氷を作ることに成功しました」

   この資料には井村屋担当者のコメントも掲載されており、そこでは、

「まさか、タカラトミーアーツ様が本当に機械を完成させるとは思っておりませんでした」

と驚きつつも称賛。その上で、「タカラトミーアーツ様が試作機を何度も何度も作って挑戦する姿に、井村屋もドキドキハラハラいたしました」としていた。

   タカラトミーアーツの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、開発にあたって最も苦労したポイントについて、

「開発担当者の話では、削るための刃を固くするよりも、『いかにあずきバーをブレずに固定できるか』に苦労したそうです」

と話していた。