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自転車シェアリングは一気に普及するか 中国ではIT後押し、東京も実証実験

   ウイークデーは都市部で仕事という人にとって、移動手段は電車やバス、タクシーが主流だろう。だが場所によっては、徒歩では少し遠いし電車だとかえって遠回り、車は渋滞が心配というケースもあるはずだ。この場合、自転車が強い味方になる。東京都でも現在、自転車シェアリングの実証実験をしている。

   実は中国では、日本に先駆けて、近距離の移動手段として自転車シェアリングがメジャーになっている。

  • 東京都千代田区にある自転車シェアリングの「ポート」
    東京都千代田区にある自転車シェアリングの「ポート」
  • 東京都千代田区にある自転車シェアリングの「ポート」

上海はGPSで「乗り捨て」可能

   中国・上海。記者が2017年4月に訪れた際、街中のあちこちにオレンジや緑といったカラフルな小型自転車が並んでいるスポットをいくつも見つけた。実際に乗っている人も少なくなかった。地元の人に聞くと「自転車シェアリング」だと教えてくれた。渋滞が深刻な上海では、有効な移動手段のようだ。しかも、好きな場所で「乗り捨て」が可能だという。

   中国の自転車シェアリング大手「モバイク」の仕組みはこうだ。まず専用アプリを自分のスマートフォン(スマホ)にダウンロードする。アプリ上で「ユーザーアカウント」を設定するのだが、その際に保証金(デポジット)を電子マネーで預ける。実名やID情報といった本人確認のための情報入力を済ませ、モバイク側の審査が完了すれば、サービスが受けられるようになる。

   自転車を借りる時は、スマホのアプリを起動し、地図で最寄りのレンタル自転車駐輪場を探す。自転車は施錠されており、車体に付いているQRコードをアプリで読み込むと開錠できる。使用時間に応じて料金が変わり、自動的にスマホから引き落とされる。利用後は自分の手で施錠し、基本的に好きな場所に「置き去り」にしてよい。自転車にはGPS(全地球測位システム)が搭載されており、その後回収されるようだ。

   中国ではモバイクのほか、「オフォ」が都市部で拡大を見せる。モバイクはシンガポールでもサービスを開始した。中国共産党機関紙「人民日報」の日本語電子版「人民網」は2017年3月31日付記事で、モバイクとオフォによる米国市場進出の様子を報じた。

東京はカードで支払い

 

   日本では、自転車シェアリングがどこまで普及しているだろうか。東京都は千代田区や港区など都内6区での広域実験を行っている。「ポート」と呼ばれる駐輪場で、有料での貸し出しと返却ができる。

 

   最初にパソコンやスマホで会員登録をする。支払いもキャッシュレスだ。ただし、中国のモバイクが現地で普及している「アリペイ」などのオンライン決済サービスを使うのに対して、「東京版」は「おサイフケータイ」を経由してのクレジットカードか、「Suica」に代表される交通系ICカードによる支払いになる。

 

   自転車を借りる際、自転車の操作パネルにスマホやICカードをかざして開錠する。2017年1月23日から、返却は6区にあるどのポートでもできるようになった。ただし自身で施錠しなければならない。料金プランは、1回だけの使用だと最初の30分で150円、その後30分ごとに100円の超過料金がかかる。ほかに、月額2000円払えばその月は何度利用しても最初の30分に限り「無料」となるプランもある。この2つはクレジットカード払いだ。一方、1日乗り放題で1500円のプランは、ICカードによる支払いも選択できる。

 

   J-CASTニュース編集部の近くにも、ポートが数か所ある。週末の5月27日午後に行ってみると、1か所は自転車が並んでいたが、別のポートはすべて出払っていた。

 

   東京以外では、横浜市が「ベイバイク」という名称で自転車シェアリングサービスを展開。大阪府も、大阪市や門真市で同様のサービスを行う「ハブチャリ」がある。都市部で徐々に拡大してきた。