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「猫アレルギー」でも猫を飼い続けたい 涙なしでは読めない努力と工夫の数々

   猫が大好きなのに、猫アレルギーの症状に悩む人は意外に多い。家族同然に暮らしてきたのに、別れなければいけないのだろうか。

   医者から「アレルギーを治したければ、猫を手放しなさい」といわれ、慟哭する女性の投稿がネットユーザーの胸を打った。猫アレルギーの人が猫を飼い続ける方法はないのだろうか。

  • アレルギーでもニャンコを抱きたい!
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医師から「猫を手放しなさい」と非情な宣告が

   猫好きの間で話題になったのが女性向けサイト「発言小町」(2017年5月24日付)に載った次の投稿だ(要約抜粋)。

「今年2月から花粉症皮膚炎になり、顔と首と手、足にも100個ずつ湿疹が出て治りません。病院でアレルゲン検査をすると、腕の湿疹は猫アレルギーと診断され、医師は『猫を手放すように』と。我が家には推定15歳から4歳までの猫が4匹います。みんな野良を拾いました。家をフローリングにして空気清浄器を買い、掃除機を小まめにかけています。猫アレルギーでも猫を飼っている方は、どうされていますか。ブラッシングはどうされていますか。猫フードを何がいいでしょうか。うちの子は怖がりで風呂場に近寄りません。無理やりでもシャンプーさせた方がいいですか」

   これに対して、猫アレルギーなのに猫を飼っている人から、共感と応援の声が相次いだ。それぞれ涙ぐましい工夫が書かれ、「猫を手放した方がいい」という声はほとんどなかった。

「私もアレルギーテストでは猫のフケ(猫皮屑)は針が振り切れます。幼少期から猫に触れると水ぶくれ、くしゃみ、鼻水、体中が痒くなり、よもや自分が拾った猫を飼うとは思っていませんでした。老猫なので譲渡先が見つからなかったのです。ほかに温度差アレルギーがあり、30年間薬を服用しています。たぶんそれが効いているのでしょう。薬を飲み忘れると、お岩さんみたいに顔が腫れて大変なことに。工夫は、猫のブラッシングです。その際、換気に気をつけ、空気清浄機を回す。家族に掃除機を近くで使ってもらい、毛がすぐ掃除機に入るようにします」

痒み止めに「赤飯」「お汁粉」と小豆を1週間食べ続ける

「マメに掃除をし、寝室は猫立入禁止にしています。あとは病院に通いアレルギーの薬を貰っていますが、その程度です。先日計算したところ、仮に猫が20年生きた場合、私の薬代だけで自動車1台分になることがわかりました。コイツが私を背中に乗っけて走ってくれないだろうか、と思いました」
「アレルギーは肝臓が弱いため。私は痒くなると体の毒消しに小豆を食べます。甘いお汁粉、お赤飯......、とにかく1週間食べ続けると不思議に痒みがなくなります。薬に反応するので薬は使いません。痒いところには、アルコール含有量が少ないプロポリス液を馬油に混ぜて使います。猫は毛が長いヒマラヤン。3か月に1回美容院で毛を切ってもらいます。たわしのようなブラシを使うと、毛がごっそりとブラシについてきますよ」

   アレルギーの専門家からもこんなアドバイスが。

「私はぜんそくとアレルギー性鼻炎持ち。生活環境を整えながら2匹の猫と暮らしています。子どもの頃から辛い思いをしたのがきっかけで、大学でアレルギーの研究をしています。あなたができることが1つあります。最近のトピックとして皮膚バリア機能がアレルギー反応に重要だとわかってきました。皮膚が弱い人、湿疹ができやすい人は、ワセリン等添加物がほとんどない保湿剤で皮膚バリアを外から補ってやると、皮膚の免疫細胞にアレルゲンが届きにくくなり、発症しにくくなると言われています」

   一方、不思議なことに、可愛い自分の猫だとアレルギーが逃げていく(?)こともあるらしい。

「夫が猫アレルギーです。猫を飼っている友人宅に行くと、そこに猫が居なくても鼻水、くしゃみを連発。ところが、流れで地域の野良猫を保護・飼うことになりました。迎え入れて10年になりますが、10年間、夫のアレルギー症状は皆無です。それなのに、上記の友人宅に行くとやはり鼻水、くしゃみが出ます。猫カフェに一緒に行った時も辛くなり外で待っていました」

猫アレルギーでも17匹飼っている医師の3つ秘訣

   猫アレルギーの人はどうすれば猫を飼えるか、猫好きのサイトではよく取り上げられるテーマだ。ネットニュースのマイナビニュース「猫アレルギーになったら猫を飼うことは本当にできないの? 医者に尋ねてみた」(2014年6月25日付)では、なんと重度の猫アレルギーなのに17匹も猫を飼っている医師にインタビューしている。石岡第一病院消化器科(当時)の阿部達也医師だ。

   記事によると、阿部医師が猫アレルギーを自覚したのは20年前。猫を飼い始めて数年たっていた。鼻水、ぜんそく、くしゃみが止まらず、呼吸が苦しい。日常生活に支障を出るほど。そんなにひどい症状が出ても猫を飼うのをやめなかったのは、「家族全員、猫が大好き。猫のいない生活は考えられなくなっていたから。妻も子供たちも、私より猫の方がちょっぴり大切(笑)。私自身も大好きだから、飼うのをやめようと一度も考えなかった」(阿部医師)。

   そこで、猫アレルギーとの格闘が始まり、だいぶ症状が改善した。阿部医師がとった対策のポイントは3つだ。第1は、家の中をしっかり掃除する。猫アレルゲンはフケや抜け毛に付着し室内を浮遊、カーテンや床に降り積もる。阿部医師が担当し、徹底的に掃除機をかけ、まめにカーテンを洗濯した。

   第2は、猫の体を出来るだけ清潔に保つ。シャンプー嫌いな猫ばかりなので、阿部医師がマスクで完全防備し、こまめにブラッシング、その後は必ず手洗いをした。第3は専門医師に診察・治療を受けること。「アレルギー反応を抑え症状を緩和する薬で、ずいぶん改善しました」。

   阿部医師は最後にこう語った。

「17匹も飼っている私が何とかなっているわけですから、やむを得ず、猫アレルギーなのに猫が家族になってしまった人は、3つの対策を試してはいかがでしょうか」

猫と一緒に寝たいから1週間に1度布団を丸洗い

   愛猫家「みう」さんの個人サイト「miMemo(みめも)」(2014年11月22日)の「猫アレルギーの私が猫を3匹も飼い続けられている秘訣」には、より具体的な方法が詳しく書かれている。それによると、みうさんはアレルゲン検査の「猫皮屑(フケ)」の値が「34.6」もあった。「ハウスダスト」が7.6、「コナヒョウダニ」が19.1などに比べ突出して高い。0~6まであるアレルギースコアは「クラス3」。平均以上の強い数値だ。

   猫に触れただけで目が真っ赤になったみうさんだったが、猫を飼い始めてから、もっとひどい症状が出て、一度病院に行った薬を処方してもらった。1週間飲むとすっかり改善、それ以降薬を飲んでいない。やはり、あきらめずに専門医に行くのはいいようだ。それ以外に次の方法が改善に役立った。

「各部屋に空気洗浄器を設置しました。最近はペット向けのフィルターも販売されており、とても良い洗浄機がありますたまに猫たちが乗って停止させちゃうのですが。エアコンもプラズマクラスター(注:高電圧の放電によりイオン分子を生成、除菌するタイプ)搭載型にしました」

   さらに、毎朝掃除機をかけた後、クイックルワイパーで丹念に床の拭き掃除を欠かさない。布団とシーツは1週間に1度丸洗いする。猫と一緒に寝たいからだ。また、小まめに猫にシャンプーしている。

   みうさんは、最後にこう語っている。

「最近では、里親さんのサイトでお試し期間を設けている所が多く、アレルギーで飼うのが困難なら無理に飼い続けないという方針が進んでいます。私はクラス3という数値が出ています。このレベルだと30分で辛い症状が出てしまいます。それでも、あらゆる手を尽くして共存することができると思っています。あくまで、猫アレルギーの方が猫を飼うことを薦めている記事ではありません。『こんな例もあるよ』と参考にして頂ければ幸いです」