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「ビューティフル・サッカー」はどこへやら 中国サッカー50人乱闘に広州・ストイコビッチ監督激怒

   中国のプロサッカーの試合で、選手・スタッフ約50人が入り交じる大乱闘が勃発した。

   発端は上海上港のブラジル代表MFオスカルの目を疑うような暴挙に対し、広州富力(ふりき)の選手たちがオスカルを突き倒したことだった。かつてJリーグに選手・監督として在籍し2年前から広州の監督になったドラガン・ストイコビッチ氏は「ビューティフル・フットボール」を掲げたものの、今回の騒動に激怒している。

  • 赤いユニフォームの上海上港と、青の広州富力の試合中に大乱闘が起きた(画像は米「ESPN」ウェブサイトから)
    赤いユニフォームの上海上港と、青の広州富力の試合中に大乱闘が起きた(画像は米「ESPN」ウェブサイトから)
  • 赤いユニフォームの上海上港と、青の広州富力の試合中に大乱闘が起きた(画像は米「ESPN」ウェブサイトから)

目の前の相手に2発続けてボールを蹴り込む

   2017年6月18日に行われた中国スーパーリーグの広州対上海の試合、前半アディショナルタイムで事は起きた。

   オスカルは転がってきたこぼれ球に対し、思い切り脚を振って目の前にいた上海の選手にぶつけた。さらに跳ね返ったボールを追いかけたオスカルは、その先にいた別の上海の選手にもう一度蹴り当てた。1発目はタッチライン方向、2発目に至っては完全に自陣側を向いている状態で脚を振り切ったキックだったため、純粋にゴールを目指してのプレーとはいえなかった。

   激高した上海の選手が突進すると、オスカルはその場で倒れ込み、瞬く間に両チームのプレーヤー、ベンチの選手やスタッフが入り乱れた。50人ほどが団子状態になる大乱闘が始まり、もみ合いがしばらく続いた。

   衝撃的な光景は、オスカルがかつてイングランド・プレミアリーグの名門チェルシーFCに所属していたこともあり、欧米メディアでも報じられた。19日付の英紙「テレグラフ」ウェブ版によると、両チームの複数の選手にイエローカードやレッドカードが提示されたが、オスカルにはなかった。

「オスカルはファイティングスピリットを見せたかったのだと思う」

   19日付の米スポーツ専門テレビ局「ESPN」ウェブ版の報道によると、上海のアンドレ・ビラス・ボアス監督がオスカルを支持しており「チームのために行動した」と述べたという。さらに監督は「オスカルはダーティーな選手ではない。彼は情熱とファイティングスピリットを見せたかったのだと私は思う」とかばいつつ、「しかしもちろん、こうした衝突は避けるべきだ」と釘を刺した。

   一方、広州のストイコビッチ監督は騒動に激怒した。19日付英メディア「メトロ」によると、ストイコビッチ監督は「私は自分のチームの選手にこんなにダーティーなプレーをさせない。われわれは相手選手、観客、審判に敬意を払っている」と語った。