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神社をブチ切れさせた 神をも恐れぬネット転売騒動

   頒布した御朱印帳がネットオークションで転売されたことに対し、茨城県守谷市内の八坂神社がツイッターで怒りを露わにし、ネット上で反響を呼んでいる。

   この御朱印帳には、神社の祭神の素戔嗚尊(スサノヲノミコト)が右手に剣を持って八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する姿が色鮮やかに描かれている。神社での頒布価格は、1600円だ。

  • 出品された八坂神社の御朱印帳
    出品された八坂神社の御朱印帳
  • 出品された八坂神社の御朱印帳

「お祓いもしており、一般商品とは違う」

   ヤフーオークションでは、出品者は「限定数に達したため、頒布終了と聞いております」などと説明し、2017年6月4日に3900円の開始価格から入札を行った。結果として、6件の参加があり、翌5日に4500円で落札された。

   これに対し、八坂神社が18日、神社の御朱印帳が頒布価格の3倍近い値段で落札されたことを公式ツイッターで明かし、こう訴えた。

「神社頒布品をオークションに出品し利益を得る行為は許せません。頒布品は祓いをし神徳を得られるように祈願しております。一般商品とは違うものなんです。もう来ないで下さい」

   このツイートは、大きな反響を呼んで、4万件近くもリツイートされている。

   一方、同じ出品者名で18日にもう1冊が同じ3900円の開始価格からヤフオクに出されており、八坂神社は「また、出品してるよ」と怒りを露わにした。ただ、この入札は、参加者がいないまま、同日中に終了してしまった。ネット上で騒ぎになって、出品者が入札を取り下げたらしい。

   御朱印帳は2冊とも、新品と表示されていたが、「御朱印有」とあったため八坂神社の御朱印だけが入っていた可能性がある。ネット上では、「商売の倫理でいえば得た物を売るのも自由」「『一般商品とは違う』って思うか思わないかは人それぞれでは」といった意見もあったが、八坂神社のツイートに共感する声の方が多い。「モラルの問題だと思います」「そんな御朱印悵もっていても御利益ありません」「ヤフオク出品者も購入者も恥を知って欲しい」などと書き込まれている。

神社本庁も「参拝の証し」と転売に否定的

   御朱印帳については、新品も含めて、ネット上での売買は盛んなようだ。ヤフオクでは、「御朱印」「御朱印帳」と検索すると、1000件前後がヒットするほどになっている。

   一方、ネット転売を問題にする神社もあるとツイッターなどで度々報告されている。それを見ると、転売の御朱印では神との縁は生まれないと貼り紙を張ったり、転売が多いとして御朱印を一部中止にしたりするところもあるようだ。

   八坂神社の下村良弘宮司は6月20日、J-CASTニュースの取材に対し、ツイートの意図をこう説明した。

「神社の御朱印帳は、神様からの頂き物でして、商品ではなく、頒布品だと思っています。足を運んでお参りしていただいて、すがすがしい気持ちで神様との御縁を結ぶものだということです。ですから、郵送やネット通販もやっていません。御朱印帳は、デパートでも販売していますが、商品だからダメということはなく、それは自由で構わないと思います」

   御朱印帳は、限定品ではないとツイートで説明しており、20日夕現在も神社に在庫があるという。

   全国8万の神社を包括する神社本庁の広報国際課では、御朱印帳の転売について、公式の文書は出していないとしながらもこう話した。

「御朱印は、単なる記念スタンプではありません。参拝の証しとして頂く人がほとんどのはずで、お宮もその気持ちを踏まえて出しています。御朱印に対しては、そのような扱い方をしてほしいと思っており、転売は好ましくないと考えています。神社の御朱印帳も、もし商品と同じ感覚で扱うとするなら、考え直して頂く必要があると思います」