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松山英樹、全米2位の偉業だが青木功とは別次元の「優勝争い」

   男子ゴルフのメジャー第2戦、全米オープンで松山英樹が2位に入った。ただ課題は残った。次の全英オープンまでに克服できるか。

  • 全米オープン第2位にスポーツ新聞は一面扱いだった
    全米オープン第2位にスポーツ新聞は一面扱いだった
  • 全米オープン第2位にスポーツ新聞は一面扱いだった

浮沈の激しいプレー

   日本のメディアは2位に大騒ぎだった。「快挙」とさえ報道したところもあった。4日間の成績を振り返ってみると...。
・ 第1日 スコア74 82位
・ 第2日 スコア65  8位
・ 第3日 スコア71 14位
・ 第4日 スコア66  2位
浮沈が激しいプレーだった。結果は優勝したブルックス・ケプカ(米国)に4打差で終えた。

「初日と3日目のスコアが悔しい」

   松山がそう言った。つまり、第2日は予選通過のラウンド、第4日は上位浮上のラウンドだったわけで、実質的な優勝争いには絡んでいなかった、といえた。

「世界の壁は厚かった、ということだな」

   先輩ゴルファーの評価は当たっているといえよう。

   日本選手の2位は1980年の青木功の全米オープンに並ぶ順位だった。青木の場合は、優勝したジャック・ニクラスと一緒に4日間回ったもので、まさしく優勝を最後まで争った。

メジャーは高額賞金の大会、なまじでは...

   松山にすれば計算通りにいかなかったというところだろう。

   初日は「ストレスが溜まった」ラウンドだったが、自身メジャー最少スコアを記録した2日目は「うれしいラウンドになった」と自信を見せた。

   ところが3日目を終えると「(第4日は)ビッグスコアを出すしかない」と決死のコメントを出した。

   その第4日は「前半で2ケタアンダーに乗せたい」と臨み「12アンダーで上がったら面白くなる」と上位が落ちてくることに望みをかけた。その通りにスコアを伸ばした。開き直ってプレーしたのが優勝に次ぐ順位につながったいえる。

   この持てる力が優勝争いの状況のなかでプレーしたときに発揮できるかどうかが全英への課題だと思う。メジャー大会への各選手の挑戦はなまじの決意ではない。 今回の優勝賞金は、優勝したケプカが日本円で約2億4000万円、松山は役1億1700万円。この高額賞金を取りに来るのだから、メジャー大会はタフな戦いとなるのだ。勝ち抜くには高度な実力+強い精神力がすべてなのである。

   ゴルフは初日に出遅れると厳しい。今回の松山はその典型だった。

「練習をしっかりやり、全英に挑戦したい」

   松山の決意である。おそらく休むことなく調整に励むことだろう。課題を克服した晴れ姿を期待したい。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)