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小池氏が出馬固辞、村山政権誕生のアクロバットに言及で浮上する「首班候補」とは

   衆院選(2017年10月10日公示、22日投開票)出馬を否定し続けてきた東京都の小池百合子知事(希望の党代表)と民進党の前原誠司代表が17年10月5日に会談した。前原氏は小池氏に出馬要請したが、小池氏は固辞した。2人が会談後に記者会見して明らかにした。

   仮に衆院選に出馬しないとなれば、問題になるのが「希望」から当選した議員が首相(首班)指名選挙で誰に投票するか、だ。小池氏は、自民党が1994年に社会党の村山富市委員長(当時)を担いでまで政権復帰したことを指摘しながら、「どのような形が一番いいかを整理していきたい」と述べるにとどめた。首班指名の候補には「希望」のチャーターメンバー(創設メンバー)、民進党出身者、前原氏などさまざまな名前が取り沙汰されている。「希望」側が前原氏を首班指名候補として望んだ可能性がある一方で、前原氏はまだ小池氏の説得を断念しきれていない様子だ。

  • 記者会見した希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表。小池氏は衆院選出馬を改めて否定した
    記者会見した希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表。小池氏は衆院選出馬を改めて否定した
  • 記者会見した希望の党の小池百合子代表と民進党の前原誠司代表。小池氏は衆院選出馬を改めて否定した
  • 多くの報道陣が集まったため、ぶら下がり会見は急きょホテルの部屋で行われることが決まった

自社さ政権「こんな形で水と油で血が結ばれたという」...

   会見では小池氏が最初に発言。前原氏から衆院選出馬要請があったものの、

「最初からこの点については、私の総選挙への出馬はございませんということを改めてお伝えを申し上げた」

と固辞。首班指名については、

「希望の党のチャーターメンバーとともに、どのような形が一番いいかを整理していきたい」

と従来通りの見解を繰り返した。9月27日の「希望」立ち上げ会見には、若狭衆議院議員や細野豪志衆院議員ら国会議員14人が参加。この14人が「チャーターメンバー」だ。さらに小池氏は、「自社さ」政権の例を引き合いに、与党の批判に反論した。

「考えてみますと、これまで首班指名云々のときに、これまで自由民主党の方々は羽田政権の後の村山政権をかついだということがあった。こんな形で水と油で血が結ばれたということも、首班指名という言葉で改めて思い出したところだ」

   その上で、日本維新の会では松井一郎代表(大阪府知事)以外に片山虎之助参院議員が「国会の顔」として共同代表を務めていることを指摘しながら、政党の代表者が国会議員でなくても問題ないとの見方を示した。

やっぱり「私は小池さんがいいと思います」

   会見の場でも、首班指名候補としてさまざまな名前が出た。候補にふさわしい人として

「(「希望」の)チャーターメンバーなのか、民進党出身なのか、前原氏自身なのか」

といった質問が出たが、前原氏は

「小池さんと相談したい」

とのみ答えたが、誰が望ましいかという「イメージ」については

「私は小池さんがいいと思います」

と答え、小池氏の説得を諦められていない様子。出馬問題について

「ご本人は決着したと思っておられるかも知れませんね」

と述べたが、前原氏自身は、

「まぁ、あのー、政権選択の選挙。誰を総理にするか、という選挙なので、それについては早急に相談して決めていく」

と、必ずしも「決着」できていない様子だ。

   「希望」側が、前原氏を首班指名の候補として念頭に置いている可能性もある。

「前原代表に総理候補が決まった時は固辞しないのか」
「小池氏側から前原氏を(首班指名候補として)希望する旨の発言があったか」

といった質問に、前原氏は

「仮定の質問には、今はお答えしません」
「今までの話は、皆さん方の前で申し上げるべきではない。私が申し上げたのは、とにかく、小池さんに出てもらいたいということ」

と、口が堅かった。

   それ以外にも、小池氏は9月25日に出演したフジテレビのニュース番組で

「いや、あのー、山口那津男さんがいいと思います」

と発言。10月5日午後にも都議会閉会後に改めて報道陣の取材に応じ、衆院選で戦った相手と連携する可能性について

「それはもう結果ですよね。政治では当たり前だと思います」

と述べた。前原氏と会談後の会見で述べた「自社さ」政権の話を合わせて考えると、「希望」が単独過半数を取れなかった場合は、安倍晋三首相と距離がある与党内の国会議員を念頭に置いているとの見方もできる。自民党内で安倍氏と距離がある有力議員としては、石破茂衆院議員が知られている。