J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「マイナス100円」の価格でCD「販売」 男性アイドルの「珍企画」、赤字はすでに...

   5人組男性アイドルグループ「CUBERS(キューバーズ)」が、タワーレコード渋谷店(東京・渋谷区)限定で「販売」しているCDが話題を集めている。

   価格は「マイナス100円」。つまり、客が代金を支払うのではなく、アーティスト側が客に100円を支払うというのだ。いったい、グループの狙いは何なのか。J-CASTニュースが聞いた。

  • 「CUBERS」メンバーと「100円貰えちゃうCD!?」の配布ブース
    「CUBERS」メンバーと「100円貰えちゃうCD!?」の配布ブース
  • 「CUBERS」メンバーと「100円貰えちゃうCD!?」の配布ブース
  • ファンに100円を支払う様子
  • キャンペーン開始後の10月1日の公演。以前より明らかに動員が多かったという

「100円で曲を聞いて貰えるならば『大歓迎』」

   CUBERSは15年7月結成。「聴けるボーイズユニット」をコンセプトに活動しており、高い楽曲性でファンの支持を集めている。Jリーグ・FC東京の「応援隊」にも任命されるなど、多方面で活躍しているグループだ。

   そんなCUBERSは、2017年9月27日から「100円貰えちゃうCD!?」と題したキャンペーンを実施している。これは、タワレコ渋谷店で無料配布しているCDに、100円の「引換券」を同封するという企画だ。

   CDには10月4日発売のミニアルバム『マゼンタ』の収録曲のうち3曲を収録。メンバーのブロマイド写真1枚(全18種)も同封されている。100円の引換券は、CUBERSが10月に出演するイベント(基本的に参加費は無料)に持っていくと、その場で100円玉と交換できる。

   J-CASTニュースの10月5日の取材に応じたグループのマネージャーによれば、同日朝までの配布枚数は約6000枚。もし全員が代金の引き換えを行えば、単純計算で60万円の「赤字」になる計算だ。もちろん、CDの製作費もタダではない。

   いったい、企画の狙いは何なのか。マネージャーに聞くと、

「CUBERSは、とても楽曲に力を入れているグループです。メンバーも、曲には自信を持っています。しかし、男性アイドルへの偏見とでも言えばいいのか、なかなかリスナーに聞いて貰えていないのが課題でした。YouTubeなどで楽曲を無料で公開しても、クリックされないんですよ」

と話す。そこで、「何とかして1度曲を聴いてほしい」と願うメンバーやスタッフが考えたのが、「グループ側がお金を払って聴いてもらう」という方法だった。

「100円CDや無料配布とかは、いまどき珍しい手法ではありません。でも、こちらが逆にお金を払うというのは、今まで聞いたことがなかった。コストがかかるのは確かですが、1人100円で曲を聞いて貰えるならば『大歓迎』と、そう考えたのです」(マネージャー)

「明らかに動員が増えた」

   ただ、企画の実現は困難だった。CUBERS側は当初、無料配布したCDをタワレコのレジに持っていくと、その場で100円を渡されるという手法を提案したが、「現実的に難しい」ということで断念。そこで、現在の引換券方式に落ち着いたという。

   企画の反響は大きいそうで、マネージャーは「CDの配布を始めてから、明らかに動員が増えた」と話す。また、9月30日の土曜日にはタワレコ店舗のブース前に黒山の人だかりができた。店側の予想を遥かに超える騒ぎになったことで、ブースはより広いスペースに移動することになったという。

   CDの配布は10月9日まで。このままのペースだと配布数は1万枚に届く勢いで、その分「赤字」も大きくなってしまうが、マネージャーは、

「普通にやっていても楽曲を聞いて頂ける機会は少ないので、できるだけ多くの方に手に取ってもらえれば嬉しいです」

と話していた。

   なお、このCDを「購入」できるのは1人1枚のみ。引換券の悪用を防ぐため、受取時にフルネームを申告する必要があるという。