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日経平均が連騰する中 注目の的になった業種はコレ

   リクルートホールディングス(HD)、パソナグループといった人材派遣大手が2017年10月半ばに入り、連日上場来高値を連日更新している。パーソルホールディングス(HD、旧テンプホールディングス)も同様の値動きを見せている。

   日経平均株価が21年ぶりの高値をつけるなど、市場全体として上昇機運にある中、この人材派遣トップ3が上昇気流に乗っているのは、人手不足を背景に業績改善が期待されているためだ。

  • 市場活況のなかでも人材業界に期待が集まる(画像はイメージ)
    市場活況のなかでも人材業界に期待が集まる(画像はイメージ)
  • 市場活況のなかでも人材業界に期待が集まる(画像はイメージ)

人材派遣株が好調

   売上高で業界3位のパソナグループは通期が5月期と変則的。多くの企業が採用する3月期なら「第1四半期(1Q)」は4~6月だが、パソナグループの場合は6~8月で、その1Q決算の発表が10月6日にあった。売上高は前年同期比4.7%増の724億円。最終損益は5億3300万円の黒字(前年同期は5億3900万円の赤字)となった。営業利益は約5倍の10億円だった。

   最終損益ではM&A(企業の買収・合併)関連の特別利益を今回計上、営業利益では前年同期に重しとなった退職給付費用の負担減といった特殊要因もあるが、本業の人材派遣が2.2%増収と堅調に推移していることが大幅な営業増益、最終黒字転換を支えていることも間違いない。パソナグループは、人材派遣の受注状況について「外国語やIT系など専門事務を中心に、多くの職種が伸張した」と強調した。一方、2018年5月期通期の最終損益は10億円の黒字(前期は1億2900万円の赤字)、営業利益は25.9%増の56億円、売上高は15.3%増の3233億円と、いずれも従来予想を据え置いた。この決算発表を株式市場は素直に歓迎。海外を含めた投資家の買いが入ってパソナグループの株価は上昇し、決算発表の翌週に連日上場来高値を更新した。

   売上高で業界首位のリクルートHD、2位のパーソルHDも連休明けの10月10日の週、パソナグループからの連想買いも入って上場来高値を連日更新。日経平均の連騰にわく東京株式市場の中でも人材派遣株が注目の的となった。

経営をとりまく環境自体に追い風

   少し前の発表だが、8月に出されたリクルートHDの4~6月期連結決算の業績も快調だ。売上高が19.6%増の5243億円、営業利益は12.6%増の563億円、純利益は15.6%増の402億円と堂々たる増収増益。業績アップに貢献したのは、前期に買収したオランダの人材派遣会社「USGピープル」の業績が加わったこともあるが、「国内人材募集分野」が4.2%の増収となったことも支えている。リクルートHDは「国内の労働市場は逼迫した情勢にあり、求人広告掲載件数の増加が続いている」と指摘したうえで、自社事業について「正社員、パート・アルバイト分野とともに成長が継続している」としている。

   一方、パーソルHDの4~6月期連結決算は、売上高が17.8%増の1618億円だが、営業利益は1.5%減の91億円、純利益は12.6%減の54億円と減益だった。ただ、内訳を見ると本業である「派遣・BPO(業務の外部委託)セグメント」は好調で、売上高は10.4%増の1173億円、営業利益は15.3%増の59億円。転職サイト「DODA」で求人広告の掲載件数が増えていることなどが寄与した。2億6100万円の営業赤字だった「海外セグメント」や、一時的な費用がかさんだ「ITO(IT系業務の外部委託)セグメント」の大幅減益を本業がカバーしたとも言える。経営をとりまく環境自体には追い風が吹いており、全体としての業績改善にも期待がかかっている。