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静かだった東芝臨時総会 株主のあきらめ?安堵感?

   東芝の臨時株主総会が、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれ、半導体メモリー子会社の売却など3議案が原案通り可決された。不正会計が発覚した2015年以降、定時、臨時を合わせ株主総会は、17年10月24日の今回で6回目だが、出席株主数は633人、質問者は16人と、いずれも最少だった。静かな臨時株主総会が物語るのは、再建への道筋がついたという安堵感か、はたまた、もはや成長は見込めないというあきらめか。開催時間も2時間52分と最短で幕を閉じた。

   2017年3月期決算の議案は、一部内容をめぐってPwCあらた監査法人と対立し、しこりが残っていただけに、反対の割合は11.40%と1割を超えた。一方、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」を、米投資ファンド、ベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に売却する議案の反対は0.49%にとどまった。株主は売却をおおむね好意的にみていることがうかがえる。

  • 株主総会は紛糾しなかったが、株主の注目は東証上場の維持ができるかにあるようだ
    株主総会は紛糾しなかったが、株主の注目は東証上場の維持ができるかにあるようだ
  • 株主総会は紛糾しなかったが、株主の注目は東証上場の維持ができるかにあるようだ

取締役選任への賛否状況

   注目は取締役選任への賛否だ。社長の綱川智氏が選任されるのは、社長就任前も含めこれが4回目となる。2015年9月、取締役新任の際の反対票は3.94%に過ぎなかったが、社長に昇格する16年6月は12.14%へとはね上がった。17年6月は10.24%とやや減少したが、今回は12.67%と高率だった。財務担当(CFO)の平田政善専務も今回、2ケタの反対票を集めた。綱川氏と同じタイミングの15年9月に新任。1.91%→1.07%→10.18%と推移し、今回は12.66%だった。社内から抜擢された新任の秋葉慎一郎氏は2・90%、櫻井直哉氏は2.57%。取締役としての力量は未知数なだけに、反対票は少なかった。

   社外取締役は経歴によって分かれた。会計士・弁護士組は公認会計士の野田晃子氏11.89%▽佐藤良二氏11.87%▽元検事で弁護士の古田佑紀氏11.88%といずれも反対票は2ケタだった。一方、同じ社外取締役でも企業経営経験者組は5%台と低かった。池田弘一氏(アサヒビール相談役)5.44%▽小林嘉光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)5.43%▽前田新造氏(資生堂相談役)5.42%といった具合だ。

   ちなみに、不正会計発覚後で最も『荒れた』のは2015年9月の臨時株主総会。当時、会長兼社長の室町正志氏は23.32%▽上席常務の牛尾文昭氏は24.71%といずれも2割を超える反対票を集めた。社外取締役で元一橋大商学部教授の伊丹敬之氏に至っては32.16%と3割を超えた。このときは株主提案も数多く出された(いずれも否決)。

東証上場を維持できるか

   出席株主数が6回中最多だったのは、2015年6月の定時株主総会での3178人。会場は両国国技館(東京都墨田区)だった。開催が最も長引いたのは、15年9月の臨時株主総会で3時間50分かかった。最多の質問者数は17年6月の29人だった。

   今回の株主数は30万2636人で、2016年6月の43万7466人に比べ約3割減った。会計不正発覚で一時150円台だった株価は400円台後半まで回復したが、原発事業の損失発覚で200円割れした後、直近では330円前後まで回復している。ただ、不正発覚前の水準には達していない。保有継続は吉か凶か。株主の視線は、2018年3月末までに債務超過を解消し、東証上場を維持できるかの一点に集まっている。