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横綱は、そして誰もいなくなる!? 日馬富士は事件、稀勢休場、鶴竜ケガ...

   暴行問題で引退の可能性が浮上している日馬富士に限らず、大相撲では現役全4横綱の進退が見え隠れしている。

   稀勢の里は九州場所で5敗(4勝)を喫し、10日目の2017年11月21日から4場所連続となる休場を発表した。お得意様だった平幕相手に次々敗れ、解説陣からの評価も厳しい。

  • 横綱・稀勢の里(画像は日本相撲協会公式サイトから)
    横綱・稀勢の里(画像は日本相撲協会公式サイトから)
  • 横綱・稀勢の里(画像は日本相撲協会公式サイトから)

「全く相撲になっていない」

   不名誉な記録がついた。稀勢の里は9日目の20日、前頭5枚目・宝富士に敗れて3連敗。九州場所の5敗はすべて横綱が平幕に敗れる「金星」配給で、1場所5個の金星を与えるのは01年秋場所の武蔵丸に並んで歴代ワーストとなった。この日、NHK中継で解説した陸奥(みちのく)親方は、稀勢の里を「今までの相撲を見ていると軽い感じがします。受ける、防戦一方の気がしますね。力強さがない」とバッサリ切った。

   得意としていた相手も多かった。取り組み前の成績は、宝富士に16勝1敗、8日目の前頭4枚目・逸ノ城に8勝3敗、初日の前頭1枚目・玉鷲には9勝1敗(不戦敗のみ)などだったが、いずれも敗れた。

   逸ノ城との取り組みでは、真正面からぶつかって差し手争いとなったが、すぐにあっけなく寄り切られた。取り組み直後の18日夕、元大関・雅山の二子山親方は稀勢の里についてツイッターに

「全く相撲になっていない。怪我と言うより完全に精神面、昔みたいな自信のない相撲内容・・また休場になるのかなぁ・・」

と投稿。「相撲は孤独な競技。仲間がいる訳でもない、アドバイスを頂いても土俵に立つのは自分。良い時をイメージして立ち直るしかない!」と奮起を促していた。精神面でいえば、初日に玉鷲に敗れた取り組み後、NHK中継で解説した元横綱・北の富士勝昭氏も「相当不安で、相撲が取れる精神状態じゃないんだろう」と推量した。

「最後の場所のような気持ちで臨みたい」

   稀勢の里は春場所で負傷した左肩付近のケガが響いており、先の秋場所は初の全休。九州場所は復活を期したが叶わなかった。勝ち続けることが至上命題の横綱にとって、休場続きは進退に関わる。引退したここ数代の横綱も、武蔵丸や若乃花など、ケガの影響で休みがちだった力士は少なくない。

   ケガといえば、鶴竜も右足首痛や併発した腰痛のため、九州場所を休場。これで4場所連続休場(全休は2場所連続)となった。7月の名古屋場所で途中休場した際、師匠の井筒親方は、次の出場場所の成績次第で進退を判断する意向を示していた。九州場所前にも、18年1月の初場所に「最後の場所のような気持ちで臨みたい」としていた。

   白鵬は九州場所9日目終了までで唯一全勝街道を走るが、全盛期と比べての衰えは以前から指摘されている。16年名古屋場所は5敗、全休を挟んで同年九州場所、17年初場所はともに4敗と、5場所連続で優勝から遠ざかった。なお、この初場所では14日目に貴ノ岩に敗れており、日馬富士問題の発端との報道もある、貴ノ岩による「俺は白鵬に勝った」「あなたたちの時代は終わった」発言につながったとされる。

   白鵬は所属の宮城野部屋ですでに後進の育成にも注力しており、将来的に自身が部屋を創設したら連れて行く予定の「内弟子」として、十両・石浦や幕下・炎鵬ら複数の力士を抱える。白鵬自身、親方になるために唯一足りなかった「日本国籍」を取得する意向があると7月に報じられた。ただし、7月21日付の日刊スポーツなどによると、2020年の東京五輪まで現役生活を続ける意向も示している。

   大関陣から近く横綱が誕生するかといえば、こちらも不透明だ。豪栄道は16年秋場所で全勝優勝したが、綱取りをかけた次の場所は9勝6敗。また17年秋場所は11日目まで1敗を守っていたが、残り4日で3敗。勝ち星を安定してあげられずにいる。大関昇進3場所目の高安は、今場所9日目終了時点で3敗を喫しており、綱取りにはしばらくかかるとの向きは強い。

   年齢的には現役4横綱はいずれも30歳超。ともすれば立て続けに引退劇が起き、横綱空位時代が突然到来する可能性も否定できない。ツイッターではここ数日、

「横綱ゼロ時代も近くなった」
「北勝海引退から曙が横綱になるまで横綱がいなかった時代があった。それ以来の横綱空位ということもあるかも」
「思うに、もし現横綱が全て引退した後は横綱不在が1年以上続くんじゃないかと」

といった声が複数見られる。