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映画館で「エンドロール中の退出」推奨 女性誌ウェブ記事が「迷惑行為を助長」と物議

   女性向けファッション誌「GINGER」(幻冬舎)のウェブ版に掲載された「ひとり映画館」に関する記事が、インターネット上の映画ファンの間で物議を醸している。

   「エンドロールの途中で、立ち去ろう」――。記事の中では、女性が1人で映画を観賞する際に「必要なテクニック」だとして、こうした行為を推奨していた。これに、「映画館での迷惑行為を助長している」との指摘が相次いだ。

   その後、GINGER側はネット上の指摘を受け、記事内容の一部を修正。しかし、修正した旨の告知が(2017年11月30日18時現在)ないことから、「記事に問題があると感じて変更・修正したなら、その旨を記載すべき」との批判も寄せられている。

  • 「1人映画館」のテクニック説く記事に総ツッコミ(画像はイメージ)
    「1人映画館」のテクニック説く記事に総ツッコミ(画像はイメージ)
  • 「1人映画館」のテクニック説く記事に総ツッコミ(画像はイメージ)

映画館には「『あえて』遅刻してしまおう」

    問題視されているのは、ウェブメディア「GINGERweb」が11月26日に掲載した「映画をひとりで観ても哀しくならないテクとは? ~独女時間の正しい過ごし方~」と題した記事だ。筆者は「体当たり系アラサーライター」を自称する女性だ。

   記事ではまず、1人で映画館に入るのは「ハードルが高い」と感じる女性に向けて、筆者が「おひとりさまに必要なテクニック」を紹介すると説明。最初のアドバイスとして、

「入り時間は『あえて』遅刻してしまおう」

と切り出した。その上で、映画の本編が始まる前に流れることが多い「予告編」の途中で、自分の席に駆け込むことを「とてもオススメ」と言及。その上で、

   「館内は、薄暗い上にお客さんは、予告に夢中!アナタは、周りに迷惑をかけることもなく、自分の席に滑り込むことができるでしょう」

としていた。

   さらに筆者は、「映画エンドロールの途中で、立ち去ろう」とも提言。その理由については、次のように説明している。

   エンドロールが終わると、館内の照明が点灯し、周りのグループ客が「面白かった」などの雑談を始める。それにより、映画の世界から現実に急に引き戻され、1人であることを痛感してしまう。こうした出来事を避けるために、

「ひとり映画では退出は潔く!エンドロールの切りのいいところでさっと立ち去りましょう。作品の余韻に静かに浸りつつも、颯爽と退出すれば、よき思い出としてフィナーレを迎えることができます」

と訴えていたのだ。

「全部非常識。迷惑行為だよ」

   こうした記事の内容が、ネット上の映画ファンの間で物議を醸すことになった。筆者のアドバイスの内容について、「迷惑行為を助長しているのではないか」との指摘がツイッターやネット掲示板に相次いで寄せられたのだ。

「最初から最後まで全く賛成できない。遅れて入ってきたり終わる前に立ち上がったりと迷惑この上ない」
「1人映画の記事のコレ 全部非常識。迷惑行為だよ」
「これでマナー悪い映画鑑賞者が増えたら困ります」

   そのほか、今回の記事が1人での映画鑑賞を「恥ずかしい行為」だと決めつけているように受け止めるユーザーもいたようで、「こんな書き方するから1人は肩身が狭いって思う人が増える」といった趣旨の批判も数多く上がっていた。

   一連の批判を受け、「GINGERweb」側が取った対応は、告知をしないまま、記事の内容を書き換えるというものだった。30日昼時点の記事には、公開直後には存在しなかった、

「(途中入場について)くれぐれも、他のお客さんの邪魔にならないように」
「(エンドロール中での退席について)最後まで観ている方のために、身をかがめてこっそりと」

という文章が追加されたり、「周りに迷惑をかけることもなく、自分の席に滑り込むことができる」などの記述が削除されたりしている。

   こうした「炎上対策」とも受け取れるGINGER側の対応について、ネット上では、

「ひとり映画の記事修正入ってる 見苦しい...」
「書いた記事に問題があると感じて変更・修正したなら、その旨を記載すべき」

との厳しい意見が寄せられている。

「『アラサー女性』のひとりとしてリアルな気持ちを表現した内容となっております」

   はたして、「GINGERweb」側は今回の騒動についてどう考えているのか。J-CASTニュースが30日、同メディアの編集部に取材すると、

「今回の記事は『GINGERエージェンシー』という弊誌読者組織に応募いただいた読者が執筆いたしましたエッセイであり、『アラサー女性』のひとりとしてリアルな気持ちを表現した内容となっております」

と説明。その上で、一部記述を修正したことについては、

「記事の詳細をご覧いただければ、これがマナー違反を推奨する内容ではないとご理解いただけることと思いますが、これ以上誤解を招かないよう、ご本人と相談いたしまして、言葉足らずな部分を補足いたしました」

とした。現時点では「記事を削除する予定はございません」という。