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北朝鮮メディアが韓国批判「封印」 対日本は安倍首相呼び捨て

   北朝鮮が2年1か月ぶりの南北閣僚級会談で平昌五輪への参加を表明し、南北の融和ムードが高まっている。これを背景に、北朝鮮の国営メディアは2018年に入ってから韓国批判をほぼ「封印」。対照的に日本と米国への批判は続けている。

   核・ミサイル問題をめぐる日米韓の連携にくさびを打ち込む狙いもありそうだ。

  • 北朝鮮の金正恩委員長は新年の辞で、平昌五輪について「成功裏に開催されることを心から願っている」と述べた(写真は労働新聞から)
    北朝鮮の金正恩委員長は新年の辞で、平昌五輪について「成功裏に開催されることを心から願っている」と述べた(写真は労働新聞から)
  • 北朝鮮の金正恩委員長は新年の辞で、平昌五輪について「成功裏に開催されることを心から願っている」と述べた(写真は労働新聞から)

朴槿恵氏のことは「逆徒」と罵倒してきた

   北朝鮮の金正恩委員長は2018年1月1日の新年の辞で、平昌五輪について

「民族の地位を誇示する好ましい契機となるであろうし、われわれは大会が成功裏に開催されることを心から願っている」

と歓迎し、

「われわれは代表団の派遣を含めて必要な措置を講じる用意があり、そのために北と南の当局が至急会うこともできるだろう」

と表明。1月9日に板門店で行われた閣僚級会談で、正式に参加の意向を表明した。

   こういったこともあって、北朝鮮国営メディアの韓国への態度が軟化している。朴槿恵(パク・クネ)前政権時代は、朴氏のことを「逆徒」として罵倒してきたが、17年12月に「逆徒」呼ばわりされたのは野党第1党にあたる自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表、宋永武(ソン・ヨンム)国防相ら。文在寅(ムン・ジェイン)大統領を名指しで批判することは避け、核・ミサイルをめぐる発言を「南朝鮮執権者のたわごと」(2017年12月20日、労働新聞)などと批判するにとどめた。

1月10日には相次いで日米批判記事

   年が明けた18年1月3日には

「南朝鮮の団体が開城工業地区を閉鎖させた者の処罰を要求」

と題した記事を朝鮮中央通信が配信。韓国で記者会見が行われたことを報じる内容だが、会見の登壇者は

「開城工業地区稼動に対する中断措置が当時、朴槿恵の独断的な指図によって決定されたというニュースに悔しさを禁じえないと慨嘆した」

といい、あくまでターゲットは朴槿恵氏だ。

   韓国とは対照に、日米に対する批判は続いている。1月10日には、朝鮮中央通信が

「『労働新聞』 軍備増強に熱を上げる日本当局の本心を暴露」
「『民主朝鮮』紙 海外侵略策動へ疾走する日本の反動層」

と題する記事を相次いで配信。北朝鮮国内メディアの論説記事を引用する形で、安倍晋三首相を「首相の安倍」と呼び捨てにしながら批判した。

   米国についても、1月10日付の労働新聞が

「米国がいくら狂奔しても、時代錯誤の対朝鮮敵視政策が総破たんするのは絶対に防止できない」

と主張した。