J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

最強寒波つづき首都圏が電力ひっ迫 「95%」使用で節電呼びかけ

   日本列島が記録的な寒波に見舞われている。関東地方では低温注意報が出され、東京都心でも最低気温が氷点下の日が続く。

   暖房需要が高まっているためか、東京電力管内の電力使用が95%に達した。異常な低温は今後数日続くだけに、大きな影響が出ないかが心配だ。

  • 「空調温度の低め設定」も重要
    「空調温度の低め設定」も重要
  • 「空調温度の低め設定」も重要

東北電、中部電から電力を融通

   首都圏は2018年1月22日、4年ぶりの大雪に見舞われて以降寒さが増している。都内は25日、最低気温が48年ぶりに氷点下4度を観測した。

   送配電事業を手掛ける東電パワーグリッドの「でんき予報」によると、同社が電力を供給するエリアで、1月24日のピーク時電力は4936万キロワット(kW)に達した。時間帯は18~19時で、家族の帰宅や夕飯時と重なる。既に日が暮れているので室内の照明や、さらに暖房の使用もあるだろう。事前予想の5038万kWよりは少なかったが、電気の総供給量の95%に上った。

   前日の23日、東電パワーグリッドは東北電力と中部電力から、24日0時までに最大150万kWの供給を受けると発表していた。電力が融通されないと、「自力」での供給力に対する使用率が99%に達してしまい、厳しい需給状況になるためだ。さらに25日0時までにも最大200万kWの供給を依頼した。このため25日のピーク時供給力は5302万kW(17時30分時点)となっている。

   電力のひっ迫で思い出されるのが、2011年3月の東日本大震災の直後だ。首都圏では、東電福島第1原発事故のほか多くの火力発電所が被災して電気の供給力が低下した。計画停電が実施され、首都圏を走る鉄道各線では運行本数の削減や一部路線での運休、行先の変更といった措置がとられた。日常生活や通勤に影響が及んだことを記憶している人も、少なくないだろう。

   震災のダメージは大きかったが、春に向かう3月だったことは不幸中の幸いだったかもしれない。寒い日もまだあったが、徐々に暖房に使う電力需要が減っていく時期だったからだ。一方、今は冬本番でしばらくは本格的な寒さが続く。暖房利用の頻度も当面は多いままだろう。

「節電を意識」7年間で25%も減った

   ここで重要なのは、利用者による節電意識だ。震災直後は実際に電力不足が生活に影響したこともあり、個人の行動につながった。エアコンの設定温度を変える、職場や電車内で照明に使う蛍光灯の数を減らす、といったさまざまな方法でやりくりが行われた。メディアは節電グッズや家庭でできる工夫を紹介し、プロ野球やJリーグは試合の延期や照明を使うナイターの回避と、国を挙げて省エネ対策に懸命だった。

   だが、当時の高い節電意識が今も保たれているとは言えない。調査会社「マイボイスコム」が2011年8月以降、毎夏実施している節電に関するアンケート調査の結果を見てみよう。直近の17年8月では、回答数1万1238件のうち節電を「かなり意識している」と答えた割合は11.8%で、「やや意識」と合わせると50.4%だった。しかしこの数字は2011年以降で最も少ない。11年8月の調査では、「かなり」「やや」を合わせると76.2%に達していた。

   資源エネルギー庁が運営する「節電.go.jp」というウェブサイトがある。家庭や事業者に向けて、電気を節約するうえでのチェックポイントを紹介している。メニューの中に、家庭に向けて電力需給ひっ迫警報が出た場合に通知するサービスがあったが、2016年3月31日に終了していた。緊急時から脱して「平時モード」になったということだからか。

   震災から7年が過ぎ、節電意識が薄れるのはやむを得ないかもしれないが、現実には電力供給で「綱渡り」が続いている。今一度、省エネへの取り組みに目を向けたい。東電パワーグリッドでは、「空調温度の低め設定や使用していない照明の間引き・消灯など、節電への取り組みにご理解、ご協力をお願いいたします」と呼びかけている。