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「れんちゃん見てる?」 カーリング女子が銅メダル直後に呼んだ本人に話を聞いた

   「『れんちゃん』って誰?」――平昌五輪カーリング女子日本代表・LS北見が銅メダルを獲得した後、インターネット上でクエスチョンマークが浮かんでいた。3位決定戦に勝利した直後のインタビューで、選手5人が口々に「れんちゃん!」と言って手を振っていたからだ。

   一体何者なのか。J-CASTニュースが「れんちゃん」に取材したところ、「ビックリしましたね」と感慨を語ってくれた。

  • 平昌五輪で銅メダルを獲得(画像は、LS北見(ロコソラーレ)がYouTubeで公開している動画のワンカット)
    平昌五輪で銅メダルを獲得(画像は、LS北見(ロコソラーレ)がYouTubeで公開している動画のワンカット)
  • 平昌五輪で銅メダルを獲得(画像は、LS北見(ロコソラーレ)がYouTubeで公開している動画のワンカット)

「れんちゃん見てる? 起きてる?」

   LS北見は2018年2月24日夜、英国との3位決定戦を激闘の末に5-3で制し、日本カーリング史上初の五輪メダルを獲得した。

   その名が出たのは、試合直後に行われたインタビューを終えようかという場面。藤沢五月がカメラに向かって「れんたろう先生! れんたろう先生! メダル取った!」と呼びかけた。これに本橋麻里、吉田知那美、鈴木夕湖らも「れんちゃん! れんちゃん!」と笑顔で手を振って続き、吉田夕梨花は「れんちゃん見てる? 起きてる?」と笑いを誘っていた。

   歓喜のなか、最後に突然飛び出した名前にツイッターでは、

「良かったなぁカーリング女子の皆さん嬉しそう 本橋さんも嬉しいだろうねぇ ところで、れんちゃん...って誰?」
「カーリング娘銅メダルおめでとう! れんちゃんて誰かな?」
「『......れんちゃん......誰......?』って思ったらみんな同じこと思ってて安心した」

といった声が続出することになった。

   その「れんちゃん」とは、LS北見のチームトレーナーをつとめる鈴木廉太郎さん(31)のこと。整骨院を併設するスポーツジム「フィジット・コンディショニング」のトレーナーで、理学療法士の資格をもつフィジカルのプロだ。

   J-CASTニュースは26日、鈴木さんに電話取材を試みた。最初に一応「れんちゃん」ですかと確認させてもらうと、少しはにかんで「そうですね。はい」。

   「起きてる?」という呼びかけについて聞くと「起きていました」と笑った。クラブのスタッフらと地元・北見のパブリックビューイングで観戦していたという。名前を呼ばれたことには「ビックリしました。ザワザワしていたので最初は全然気づいていなくて、職場のスタッフが教えてくれて分かりました」と嬉しいサプライズとなったようだ。

   平昌には、LS北見のチーフトレーナーで同クラブの大森達也さん(柔道整復師、理学療法士などの資格をもつ)が帯同。鈴木さんは業務で現地に行けず、「選手たちが気を遣って、ああいう形で言ってくれたのではないかと思います」と控えめに話す。

出会いのきっかけは本橋麻里

   LS北見との出会いはおよそ6年前。本橋麻里が大森さんのもとで腰痛のリハビリをしていた縁で、チームを見てほしいと依頼があった。本橋は当初、「選手たちはフィジカルトレーニングの意識が低くて難しい部分もあり、鍛えてほしい」という旨の話をしており、そこから大森さんと鈴木さんがチームのトレーナーとして指導することになった。

   LS北見の選手たちは「人懐っこい」という。鈴木さんはこう話す。

「オン・オフの切り替えが上手で、トレーニングはものすごく真面目に取り組み、一方で休憩時間は平昌五輪で見られたような明るい雰囲気ですね。うちのクラブ会員の方々からも声をかけられて、仲良く会話しています。だから地元の方々に愛されるのだろうと思います」

   チームのスキップとして特に注目を集めた藤沢について、こんな一面も語っている。

「藤沢選手はトレーニングが大好きですね。筋トレも好きで、提供したメニュー以外でも自分でいろいろ調べたり考えたりしながら取り組んでいます。お弁当を持ってきて夕方までトレーニングしている日もありました」

   選手専用メニューを組んでおり、カーリング特有のトレーニングもあれば、基礎的なものもある。「下半身・上半身・体幹も使う競技で、心肺持久力も必要です。全体的に鍛えていかないと強化できません」と、さまざまなトレーニングを取り入れた。1回1~2時間のメニューをシーズン中は週2~3日、オフの期間はほぼ毎日こなす。

   チームトレーナーとなって約6年。五輪の表彰台に立った選手たちへのメッセージを聞いた。

「つらい時期も乗り越えた結果の銅メダル、おめでとうございます。そして感動させていただきました。本当にありがとうという気持ちです」