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「絶対許せない」浦和・マルティノスにツイッターで人種差別 クラブは削除要請

   J1・浦和レッズのMFマルティノス選手が2018年4月12日、インスタグラムに「このような差別的な発言は絶対許せないし、非常に残念だと思っています」と投稿した。

   同時にクラブは「特定選手に対する差別や誹謗中傷を行う看過できない発言」がSNSで「日常的に見受けられる」との声明を発表。クラブの広報部担当者はJ-CASTニュースの取材に、「マルティノス選手への差別発言を受けてのものだ」と明かした。

  • 浦和レッズMFマルティノス選手のインスタグラムから。
    浦和レッズMFマルティノス選手のインスタグラムから。
  • 浦和レッズMFマルティノス選手のインスタグラムから。

「非常に残念だと思っています」

   マルティノス選手のインスタ投稿にはスクリーンショット写真が添えられた。バナナを食べるマルティノス選手をプロフィール画像にした「なりすまし」ツイッターアカウントが、「...については山道(守彦・強化部長)も何故こんな黒いだけで役に立たないガラクタ選手獲ってきたんだよ...」などと投稿した画面が写されている。

   横浜F・マリノスに在籍していたブラジル人FWカイケ選手は、マルティノス選手の投稿へのコメントで「Don't give a shit Bro!!!!!」(気にしないで、友よ)と激励したほか、横浜FCのオランダ人DFカルフィン・ヨン・ア・ピン選手も「This so wrong」(これはあまりに間違っている)と差別への不快感を示している。

   一方、浦和レッズは同じ12日、公式サイトで「SNSに見られる発言について」と題する声明を発表。冒頭で、「ここ最近、TwitterなどのSNSで、選手のなりすましアカウントなどによる、特定選手に対する差別や誹謗中傷を行う看過できない発言が、日常的に見受けられるようになっています」と伝え、

「浦和レッズは、2014年に国際サッカー連盟(FIFA)総会の決議を尊重し『人種、肌の色、性別、言語、宗教、または出自などに関する差別的あるいは侮辱的な発言または行為を認めない』とする差別撲滅宣言をしており、上記のようなSNSなどの発言を容認することはできません」

と宣言した。

   そのうえで「ぜひ、みなさまにおかれましても、上記のような発言は許さず、私たちサッカーファミリーの力で差別を撲滅できるよう共に戦っていただければと思います。よろしくお願い申し上げます」と訴えている。ただ、この声明を出した具体的な経緯は書かれていない。

「クラブとして一連の投稿が差別的だと判断」

   J-CASTニュースが13日に浦和レッズに取材したところ、広報部担当者は声明について、上記マルティノス選手への差別被害と「関係があります」と答えた。

「クラブとして一連の投稿が差別的だと判断し、不適切な内容という認識のもとツイッター社に削除の要請をしました。ツイッター社もそれを受け差別的だということで、このアカウント削除の対応を取っていただきました」

   アカウントの存在を把握したのは12日で、即座に対応。ツイッター社に削除依頼をした時点で、対応した旨をマルティノス選手に伝えたという。13日時点で、問題のアカウントは閲覧できない。

   ツイッターでは利用上の制限を定める「ツイッタールール」において、「人種、民族、出身地、性的指向、性別、性同一性、信仰している宗教、年齢、障碍、深刻な疾患を理由とした他者への暴力行為、脅迫、嫌がらせの助長は禁じられています」としており、これに該当したものとみられる。ツイッタージャパンは取材に対し、個別の件には答えられないとしている。

   浦和の広報部担当者は、「無観客試合も経験しており、クラブとして差別撲滅の宣言をしています。差別的と判断した行いについてはすぐに対応するようにしています」と話す。浦和では2014年、ホームゲームで一部サポーターが「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕を掲出する事件が発生し、Jリーグが協議した結果、浦和に制裁としてリーグ史上初となる1試合の「無観客試合」処分を下した経緯がある。17年11月には、ブラジル人FWラファエル・シルバ選手らのSNSアカウントに差別的な投稿がなされていた。