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レスリング福田会長、パワハラが何か分かっていない 小林信也「退場です」

   公益財団法人・日本レスリング協会の福田富昭会長(76)が、パワハラ被害の渦中にいる伊調馨選手(33)について「2人で話せば誤解がとける」と発言し、認識の甘さにダメ出しが相次いだ。2018年5月7日放送の「バイキング」(フジテレビ系)がこの問題を扱った。

   栄和人・前強化本部長から伊調選手にパワハラがあったことは、協会の第三者委員会に加え、内閣府も認めた。にもかかわらず、トップの会長が「誤解」という言葉を使ったことに、スポーツジャーナリストの小林信也氏は「退場です」と辞任を要求した。

  • 栄和人氏(右)による伊調馨選手へのパワハラは、内閣府にも認定されている
    栄和人氏(右)による伊調馨選手へのパワハラは、内閣府にも認定されている
  • 栄和人氏(右)による伊調馨選手へのパワハラは、内閣府にも認定されている

「彼女に迷惑をかけたことはないと思っております」

   内閣府の公益認定等委員会は4月27日の報告で、第三者委員会が4月5日付で指摘していた栄氏から伊調選手や田南部力コーチへのパワハラ4件など、計9件について「公益法人として事業を実施する上で、不適切なものであった疑いが極めて高い」と指摘。協会に対し、5月31日までに事案について報告するよう求めた。

   これを受けて5月2日、福田会長が鈴木大地・スポーツ庁長官を訪問し、頭を下げて謝罪した。だが、直後の報道対応で物議を醸す発言が飛び出した。

   「バイキング」で放送されたその映像によれば、「内閣府の調査結果を受けて伊調選手に謝罪は?」との質問に、福田会長は

「私は伊調選手と会っていないので会いたいなと思っています。2人で話せばいろいろ誤解が解けるところもあると思います」

と答えた。すかさず「誤解とは?」と聞かれると、「伊調選手がどう思っていたかということも私はまだ把握していませんし、いろいろ会って話をすれば、いろいろなことがよく分かって素直な話し合いができるかなと思います」と具体性を欠く返答をしていた。

   そこで「謝罪はしないのか」と改めて問われると、

「いや、いろいろ話をしたいのが先ですね。私としてはしっかり支えてきたつもりですし、彼女に迷惑をかけたことはないと思っております」

と、その意思は現状ないことを表明。「本人はパワハラを受けたという思いはあったかもしれませんが、そのことを伊調さんから私が聞いていなかった、その点は非常に申し訳ないと思っています」とするに留めた。

「『誤解』じゃないですから」

   しかし上記のように、第三者委と内閣府の両組織からパワハラが認定されている。番組では、この問題に発言を続けているスポーツジャーナリストの小林信也氏が「『誤解』じゃないですから」と一喝。それらの発言から、鈴木長官に謝罪していたことについても、

「あれだけ殊勝に謝る姿というのは、福田さんの人生の中であまりなかったと思いますが、あれは伊調選手ではなく、協会の公益法人格がなくされたら困るとか、東京五輪に選手を出せなくなるようなことになったら困るという、その一心でしょう」

と批判的だった。さらに福田会長に対し、

「やはりアウト。退場です。若い人たちが中心になって根本的なところからやる方が、未来がある」

と要求した。

   スタジオではタレントのフィフィさんも「今までのことを『誤解』と言っちゃったんですね」と嘆息。「こういう方は会社にもいて、今はコンプライアンスもあってセクハラやパワハラに敏感な時代。でも、ここで訴えている側と訴えられている側を見ると、ちょうど世代間ギャップがあって、パワハラやセクハラが何なのか分かっていない」と指摘した。

   発端となった内閣府へのパワハラ告発状に名を連ねたレスリングコーチも、同番組の取材に対して協会への不信感をあらわにした。告発状の「B氏」である安達巧氏は、「まだパワハラ問題を理解していないのかというのが率直な気持ちです」と呆れた。

   さらに同「A氏」でパワハラ被害者と認定された田南部氏は、「話をしたい」という福田会長に対し、

「僕らは一度も呼ばれていないので、本当に会いたいのかと思います。話をしても丸め込まれるのが目に見えています。僕らは特に会長が仰っていたような『誤解』しているところはないです」

と真っ向から反論した。

   福田会長が「そのこと(パワハラ)を伊調さんから私が聞いていなかった」と弁明したことにも、田南部氏は

「その都度パワハラがあった時には、会長や協会幹部にもよく相談していました。だから幹部はみんな知っていらっしゃるはず。どうして隠すのか」

と苦い思いを吐露。「伊調選手へのパワハラは、栄さんだけにスポットライトが当たっていますが、女子強化委員会全体でやってきたことは間違いないので、そこも改善していただければ」と、福田会長に限らず協会全体に体質改善を促した。