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大量ミス仕入れで「SOSツイート」の飲食店 「誤発注装い商法」だと中傷騒ぎに、店主涙声で否定

   「発注ミスで大量の鶏肉を仕入れてしまいました。助けてください」――。ある飲食店が発信したこんなSOSツイートが、思わぬ炎上騒ぎに発展した。意図的に仕組んだ「誤発注商法」ではないかとの疑いを掛けられ、店を批判するユーザーが続出したのだ。

   こうした事態に、店主の男性は「わざと注文を間違えるわけがありません。炎上商法をするつもりなんて全くなかった」とネット上の憶測を全否定。「まさかこんな事態になるとは...。今はショックで何も考えられない」と涙声で訴えた。

  • 誤発注で大量に届いた鶏肉(店主提供)
    誤発注で大量に届いた鶏肉(店主提供)
  • 誤発注で大量に届いた鶏肉(店主提供)

「誤発注を装ったキャンペーンではないか」

   騒動の発端になったのは、神戸市内にある鳥料理専門店の男性店主(21)が2018年5月25日夜に投稿した次のツイートだ。

「盛大にやらかしてしまいました、、、、テーブル4席だけの狭いお店なのに発注ミスしてしまい鶏肉96キロ届きました 皆さん食べに来てもらえるとありがたいです」

   その上で店主は、通常は税込2700円で提供している食べ飲み放題コースを、注文ミスを受けて500円割引にすると告知。「やばい」「助けてください」とも続け、フォロワーらにSOSを発信した。

   この投稿はネット上で大きな注目を集め、店主の元には「ぜひ行きたい」「拡散協力します」などと激励のリプライが殺到。その後、店主は27日夜に「何とか解決出来そうです!!」と報告し、

「ご来店頂いた方、拡散してくれた方には感謝しかありません。人と人との繋がり優しさに感動しました」

と感謝。フォロワーらへのお礼のため、500円割引での販売は6月末まで続けるとも呼び掛けていた。

   ところが、この数時間後に事態は急変する。店主が「誤発注」したという説明に疑念を抱いた一部のユーザーから、

「誤発注を装ったキャンペーンではないか」
「人の良心を踏みにじるような炎上商法はやめましょう」

といった指摘が上がり始めたのだ。

食べログ、グーグルに中傷「口コミ」

   疑問が浮上した理由は、間違えて仕入れた鶏肉が「冷凍」の品だったためだ。これに、食品関連の仕事をしているというツイッターユーザーが「冷凍の鶏肉は1年以上は日持ちする」などと指摘したことを発端に、店の説明を疑い始めるユーザーが続出したのだ。

   その後、一部のまとめサイトなどには、この店主が「大量誤発注を偽った炎上商法」を行ったと断定する記事が掲載された。グルメサイト「食べログ」のレビューには、

「人の良心を踏みにじってまで人に来てもらいたいんでしょうか?そんな店は長続きしません」

との書き込みが。また、グーグルマップの「口コミ」欄にも、最低評価の星1つをつけた中傷コメントが殺到した。

   このように、1日と経たずに激しい炎上騒ぎに発展した今回の一件について、店主は29日昼に更新したツイッターで言及。ネット上に噴出した疑惑について、細かく反論を加えている。

   まず発注ミスの経緯については、初めてのネット注文でキログラムとロットの単位を間違え、想定以上の量を仕入れてしまったと説明した。1ロットは24キログラムで、本来は4キロ注文するはずが96キロを仕入れてしまったという。

   日持ちがする冷凍肉を誤発注したにもかかわらず、SOSツイートを投稿した理由については、冷凍庫に入り切らない分があったため、冷蔵では日持ちがしないためだとした。また、冷凍庫が埋まってしまったため、通常食材の廃棄が出るなど営業に支障も出ていたという。

   そのほか、今回の騒動が過熱する中で、店で使用している鶏肉は安い海外産のものではないか、と疑うユーザーが出ていた点についても、「全て宮崎の鳥を使用している」と訴えていた。

店主は呆然「こんなことになるとは...」

   今回の騒動について、29日午後のJ-CASTニュースの取材に応じた店主は、「正直、何も考えられる状況ではありません...」とショックを受けた様子。ネット上の疑惑について尋ねると、

「わざと注文を間違えるわけがありません。炎上商法をするつもりなんて全くなかったです。もしそういうことを考えていたのならば、今回のように個人情報も載っていた自分の個人アカウントで発信するのもおかしいと思いませんか?本当に、助けて欲しいという一心だけだったんです」

と涙ながらに訴えた。

   店主によれば、イタズラ目的とみられる電話が店に相次いでいるほか、個人で使っているウェブサービスに第三者がログインを試みた旨を伝えるメールも届くなど、現実にも被害が出始めているという。このように、ネット上での中傷が過熱している点については、

「いま、ネット上で詐欺師って言われてるんですよ...。まさかこんなことになるとは、全く想像していなかった。批判だけ見ていても仕方ないって分かっているんですが、悪い情報ばかりに目がいってしまって...。結構、キツイですね」

と落ち込んだ声色で語る。さらに取材の中では、「元はといえば、こちらが発注ミスをしたのが悪いんです。でも、自分はここまで中傷される程のことをしたんでしょうか...」ともこぼしていた。