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ブーイング聞こえなかった? 惨敗・西野Jに川淵氏らが「楽観論」

   悲惨。サッカー日本代表の強化試合・ガーナ戦後、少なからぬ人々の脳裏にそんな言葉がよぎったかもしれない。西野朗監督の初陣となった2018年5月30日のこの試合は、目立った決定機もなく0対2で敗れた。

   だが、前向きに捉える識者らもいる。日本サッカー協会(JFA)元会長の川淵三郎氏は「日本代表らしさを取り戻したかな」と発言している。

  • 北澤豪氏(2016年撮影)
    北澤豪氏(2016年撮影)
  • 北澤豪氏(2016年撮影)

前後半の立ち上がりの時間帯に失点

   ガーナ代表はFIFAランクでみれば50位で、同60位の日本より格上。ただロシア・ワールドカップには出場せず、今回は若手中心のメンバーわずか17人で、試合の2日前に来日した。時差ボケも残っていたかもしれない。

   だが、日本は完敗を喫した。フォーメーションは3-4-2-1。これまでの4バックから転換した急造の3バックは開始早々からサイドのスペースを突かれた。浮足立つDFラインは前半7分、槙野智章のファールでFKを献上し、これが直接ゴール。耐えねばならない立ち上がりの時間帯に、あっさり先制された。

   後半も立ち上がりの5分、GKとDFの間に放り込まれたボールで対処を見誤った。GK川島永嗣と、代表ではほとんど試していないセンターバックに配置された長谷部誠とが一瞬「お見合い」のようになり、焦って飛び出た川島がファール。PKを献上して1点を追加された。

   攻撃でもガーナゴールは遠かった。消極的な横パス・バックパスを連発し、相手陣内に運んでもラストパスやシュートに精細を欠いた。ボランチの大島僚太から右ウィングの原口元気へスルーパスが通るなど、個別のシーンでは時折光るプレーもあったが、メンバーを落としたガーナ相手に90分で決定機をほぼ作れなかったのが現実である。

   新チームへの印象はスタジアムで起きたブーイングが物語る。インターネット上でも、「ほんとここまで悲惨な日本代表って見たことないなぁ...」「決定打を欠く、バックパスの多い悲惨な結果だった。解任されたハリルホジッチ監督に改めて同情する」などの声がツイッターで漏れた。

   だが楽観論ともとれる声が識者から聞こえる。JFAの元会長で現在相談役の川淵三郎氏は31日にツイッターで、

「昨日の試合、正直な感想を問われれば、想像してたより良かった。ボール回しなど漸く日本代表らしさを取り戻したかなっていう感じ。武藤の成長ぶりと長友の好調さ、本田の頑張りが目立った。本番まで後二試合試せるので結構面白いチームになるのでは」

と前向きだ。「強化試合は勝ち負けより内容。本番は結果が全て」とも加えている。

「最後まで期待感を持って見て頂いた」

   だがこの意見には反発が出ることになった。一般ユーザーから「『結果より内容』って何? 悔しい気持ちはどこ?」「試合終了後のサポーターのブーイング聞こえなかったですか?」「雨の中、お金払って応援してくれたファンの方々の目の前でそれ言えますか?」など次々とリプライが届き、その数は200件を超えている。

   川淵氏は続く投稿でも、

「昨日の視聴率は18.3%、ここまでの強化試合の視聴率は、記憶は定かではないがずーっと低かったと思う。昨日は多くの人が新たな代表を見たいと思い、リードされながらも最後まで期待感を持って見て頂いたということ。有難うございます」

と、「視聴率」「期待感」という点からポジティブな意見を発信。しかしこれにも、「すみません、田嶋(幸三会長)のせいで全く期待を持てなくなったんですが」「川淵さんのツイートは、最近多くのサポーターの考え、思いと相当かけ離れてきていると思います」と怒りの声が届いている。

   また、JFA理事の北澤豪氏は、試合直後に放送された「NEWS ZERO」(日本テレビ系)で

「今日感じたのは、選手たちのモチベーションは高いので、今日以上の試合が次の試合では見られると思うということです」

とやはり期待を込めていた。

   急造のDFラインについては「3バックの一番の狙いは守り方。守備と攻撃のメリハリをつけることです。サイドの長友(佑都)と原口が下りてくると、(ボランチの大島、山口蛍を合わせて)守備は7人。(同じ4人が上がれば)攻撃も7人。攻守にメリハリがつく」とし、「うまくいったのか?」と問われると

「そうですね。機能するシーンがあった。たとえば前半13分、右サイドの原口が抜け出した時には、中央に4人いた。こうなると得点の可能性は高まります」

と肯定的だった。

   なお、先発メンバーで後半途中まで出場した本田圭佑も試合後のフラッシュインタビューで「チームはゼロからのスタートということで前向いてやっている。全く誰1人悲観している選手はいない。もちろん危機感は持ってますけど」と話している。

   4月に就任した西野監督にとって初陣だが、W杯前最後の国内戦であることとガーナのコンディションに鑑みれば、勝利は至上命題だった。まして、「勝てる確率を1%でも上げる」(田嶋会長)と豪語して大会2か月前にバヒド・ハリルホジッチ氏を解任したのは、他ならぬ日本サッカー協会だった。