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ホンダジェットが狙う 日本市場と「訪日観光客」

   ホンダが小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の日本での販売に乗り出す。2018年6月6日、日本での受注を開始、19年前半の納入を目指す。開発拠点が米国、受注も米欧でスタート。これまで国内ではビジネスネットの需要はほぼないと言われてきただけに、新たな市場を開拓できるのか、注目されそうだ。

   販売するのは、「ホンダジェット エリート」(最大7人乗り)。5月末にスイス・ジュネーブで開かれた欧州最大のビジネス航空ショーに合わせて発表されたばかりの最新モデルだ。主翼上面にエンジンを配置することで、広い客室と大容量の荷物室を設けるという従来モデルの特徴を引き継ぎながら、最新技術・装備を惜しみなく投入した。客室の静粛性を向上させ、離着陸時や飛行時の安定性や安全性を強化。航続距離は約2661キロメートルと、約17%延ばすことに成功した。

  • HondaJet Elite(ホンダのニュースリリースから)
    HondaJet Elite(ホンダのニュースリリースから)
  • HondaJet Elite(ホンダのニュースリリースから)

「超小型」ジェット機としては世界首位

   丸紅の完全子会社、丸紅エアロスペースが販売代理店となり、販売・整備・機体の運用サポートなどの各種サービスを提供する。販売価格は525万ドル(約5億8000万円)になるとみられる。

   航空機事業への参入は、ホンダ創業者である故・本田宗一郎氏の幼少時代からの夢だった。1986年、小型航空機と航空機用エンジンの研究を開始。97年にホンダジェットのプロジェクトを正式にスタートさせ、2001年に研究開発拠点を米ノースカロライナ州に設立した。06年に米国で、08年に欧州で受注を開始。12年に量産1号機の生産を開始し、15年に米連邦航空局から型式証明を取得、引き渡しを始めた。

   17年は世界で43機を出荷。乗員10人未満の「超小型」のジェット機としては世界首位だ。これまでは北米や欧州のほか、中南米、東南アジア、中国、インド、中東で注文を受け付けてきた。

「エアタクシー」のような利用を見込む

   ビジネスジェット機は、欧米では富裕層、企業のほか、機体と操縦士を貸し切って移動する「エアタクシー」としても利用されている。世界最大市場である米国では1万3000機を超える機体が保有されている。これに対して、国内では90機弱に過ぎない。普及の遅れが、ホンダが日本参入を後回しにした理由だ。

   日本で狙うのは、訪日外国人観光客の富裕層。限られた時間で、ストレスなく移動できるビジネスジェットの利点をアピールして、「エアタクシー」のような利用を見込んでいるとみられる。

   カギになるのは、航空会社などとの提携だ。ホンダは2018年3月28日、ANAホールディングスとビジネスジェット市場拡大へ向けて提携すると発表。北米や欧州などの「海外渡航先でのチャーター便」でホンダジェットを最大限活用することで合意した。こうした取り組みを国内でも進めれば、需要を開拓できるかもしれない。