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「しまむら」が原宿に出店するって本当ですか? 山里亮太、社長を直撃!(1)

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北島常好社長(右)と山里亮太J-CASTニュース名誉編集長(左)、真ん中は「しまむら」のマスコットキャラクター「しまうさ」

   「しまむら」さんと僕の関係は深いです。

   「ヒルナンデス!」(日本テレビ系列、月~金11時55分~13時55分)の「3色ショッピング」(金曜日放送。予算、時間、色の3つの制約をクリアしながら競う買い物ゲーム)っていうお仕事でずっとお世話になっていて、よく「戦場」として使わせていただいています。

   「しまむらさんでロケやるよ」というと、ロケバスに1、2時間ほど揺られて郊外のほうに行くんですが、先日見つけたダイヤモンド・オンラインさんの記事(しまむらが仰天戦略転換、都心出店でユニクロとガチンコ勝負/2018年3月13日付)を読んで、本当に"仰天"しました。郊外型店舗を展開するしまむらさんが、東京都心に、しかも、あの新宿や原宿や東京(駅)あたりに進出するっていうじゃないですか!

   人の数倍「しまむら」さんにお世話になっている僕です。あの「しまむら」(失礼!)が、原宿!? 丸の内......!? いや、いやまさか......。もう、気になって仕方ありません。

   ということで一路、埼玉県さいたま市へ。「しまむら」本社で北島常好社長に話を聞いてきました。

「しまむら」に似合う土地って?

山里亮太: 単刀直入におうかがいします。「しまむら」が新宿や原宿、東京(駅)に進出するっていうのは本当ですか?

しまむら 北島常好社長: いやぁ、いきなり(笑)。たしかに「出したいね」と言ったことは記憶にありますが......。

山里: じゃあ単なる願望の話なんですか?

北島: というか、いま「ファッションセンター しまむら」は、東京23区内に、高田馬場(新宿区)や三軒茶屋(世田谷区)、お台場(港区)、西葛西(江戸川区)があるんですけど、全国展開しようと思ったときに、残っているのは東京都心で、それこそ山手線の内側しかないんですよ。あとは関西圏とか。
だから今後の出店を考えると、おのずと大都市部を視野に入れていくことになる、と。

山里: なるほど、そういうことか。戦略的に「しまむらのイメージを変えていこう!」というような狙いがあるわけじゃないんですね。

北島: まあ、そういう意図がないわけではないんですけどね。
基本的には全国の主要な場所に少し大型の売り場を出したいと考えています。たとえば、地方の県庁所在地であれば、従来は1000平米くらいの広さで運営していた店舗を、1500平米とか2000平米ほどの広さで出店したい。その店舗を核に、周辺地域全体を盛り上げたいという思いがあるからです。できれば都心も、大型店をやっていきたいですね。

山里: じゃあ、改めて。都心の「攻めたい」場所、ココっていうエリアはありますか?

北島: どこでもやりますよ。ただ、我々は埼玉発祥なので、ここから比較的に行きやすい場所となると、池袋や上野でしょう。そのあたりから始められればいいんじゃないかな。新宿でも渋谷でも、どこでもやりますけど。我々に似合う、似合わないでいえば、そのあたり(池袋や上野)なのかな(笑)。

山里: 似合う、似合わないでいくと、たとえば原宿ってファッション感度が高そうじゃないですか。勝算というのは......?

原宿に住んでいる人の「ふだん使い」を狙う

北島: 原宿にも、当然その周辺に住んでいる方がたくさんいらっしゃるんですよね。それなのに、ふだん使いの衣料品をやっているお店って、意外に少ないんです。
たとえば、パンツやシャツや靴下を買いましょう。じゃあ、みなさんはどこで買いますか。全部ブランドでそろえますか。夜寝るとき、足が冷えるから靴下履いて寝ましょうっていうとき、どこで買います?
そう考えると、我々の需要はまだまだあるし、そんなニーズに応えていくお店があってもいいと思いませんか。

山里: なるほど! 原宿にオシャレを求めてやって来る人よりも、オシャレ以外でも衣類を求める人たちを狙うということですね。たしかにビジネスとして、意外とまだ空いているんじゃないかという期待はありますね。

北島: あれだけ店があっても、じつはふだん使いのニーズを満たすお店は少ないんですよね。その一方で、海外からの方も多いでしょう。そういった外国人観光客向けのコーナーをつくってもいいかな、って思うんです。
それに、東京近郊からも人がやって来ますよね。原宿は若者が集まりますから、そういう若者が都心にある「しまむら」で服を買ってもいいんじゃないかって、考えています。

山里: 都心のお店では、取り扱う服、アイテムを変えていくことはあるんですか。それとも、そこも従来どおりのデザイン、品揃えで押していくのでしょうか。

北島: 都心に出店するとなると、そこは若干変えないといけないでしょうね。とくに外国人観光客を相手にするということになれば、彼らが求める服をある程度そろえていってあげないといけないと思っています。
実際に、京都駅前のお店では、今ちょうど浴衣のコーナーがかなりの売り場面積を占めています。いわゆる「コト消費」なのでしょう、外国人の方も興味をもっています。とくに女性は浴衣を借りて着ますよね。そこで、借りるよりも安くどうですか、っていう商売ができるわけです。
一つの考え方ですが、都心の店舗はモデル店だと思います。店舗運営も服の品揃えも試してみる。でも、その1店舗だけの運営だとコストが高くつきますから、仮に半分の店舗にそれを波及させることができれば、大量生産できてコストが下がりますよね。 都心でしかできない、モデルになる売り場をつくるとか、見せ方をするとか。実験してみると、我々の勉強にもなるので、とにかくやってみるっていうのはありますね。

銀座、原宿...... 「出るぞ」とホラを吹く

山里: 都心の店舗に新しいデザインの商品を置きながら、もともとあった郊外の店舗にも展開していくようなイメージですね。

北島: あとは宣伝効果でしょうね。やっぱり、みなさん見ていますからねぇ。「田舎もんが都心に出てきたぞーーーー!!!!」みたいな(笑)。で、いったいどうなるんだって。そこで、ちょっとこぎれいな店つくれば、「なかなかやるじゃん」って話題になったり。

山里: (爆笑)いつごろから都心への出店は考えていたんですか。

北島: いやぁ、ずいぶん前からですよ。前任の野中(正人)社長と。当時僕は、専務だったんですが、その頃から銀座に出したいとか、どこそこに出したいとか、小さなお店でやろうとか、大きくやろうとか。銀座はいわゆる「日本の一等地」ですからね。(出店したい)気持ちはありますよ。
それに、なかには契約ギリギリまでいった案件もあったんですよ。

山里: そうなんですか! それで今、東京都心で契約できそうな物件のお話はないんですか?

北島: 東京では最近ないですね。店舗物件って、ホントにご縁みたいなものなんですよ。とくに都心はなかなか......。
ただ、こんなこと言っていいのかわからないけど、ホラ吹いておかないと(笑)。もともと郊外で細々と店舗展開するイメージですから、「うちが一等地でやるよ」って吹いておかないと、案件すらこないんですよ。

山里: そっか! この記事(ダイヤモンド・オンライン)。土地を持っているほうから見ると、どこに出すんだろうなって、気になってきますもんね。しまむらさんとしては、「早く誰か営業にこいよ」と。そんなことですか。

北島: まとまった案件って、なかなか出てこないんで。でも、これまで声かけてくれないような人たちが、我々に声をかけてくれるようになりましたから。
ただ、ポンとイケるような案件は残念ながら、そんなに多くはない。だから、言っておかないと。都心に出るぞ! やるぞ! って(笑)。



次回は、しまむらの安さのヒミツに切り込みます。こんな値段で売って大丈夫なんだろうかと、今まで思っていた疑問も一気に解決できました。お楽しみに!
次回は、7月25日(水)公開予定です。

   ~おまけ~

取材前はちゃんと名刺交換しているんです。今日はよろしくお願いします。(ドキドキ)
取材前はちゃんと名刺交換しているんです。今日はよろしくお願いします。(ドキドキ)

(つづく)

プロフィール

北島 常好(きたじま・つねよし)
しまむら 代表取締役社長
1983年、流通経済大経卒、同年しまむら入社。2009年に取締役、12年台湾「思夢樂」股份有限公司董事長、13年に常務取締役(開発部・店舗建設部統括)、15年取締役専務執行役員を経て、18年2月から現職。
埼玉県出身、59歳。

しまむら
衣料品・日用品などの総合小売りチェーン。中核事業の「ファッションセンター しまむら」をはじめ、ベビー・子供用品「バースデイ」やCASUAL&SHOES「アイベル」、雑貨&ファッション「シャンブル」、靴の「ディバロ」、2018年5月には初の「しまむら 寝具・インテリア館「 Zzz...と(ずっと) 」を神戸にオープンした。
グループ全体で、国内2089店舗。台湾45店舗(いずれも、2018年2月20現在)。中国11店舗(17年12月31日現在)を展開する。