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「これまで大事なところは根尾」 大阪桐蔭エース柿木、最後ににじませた「プライド」

   「これまで大事なところは根尾だった」。第100回夏の甲子園(全国高校野球選手権記念大会)決勝で完投した大阪桐蔭(北大阪)の柿木蓮投手は、優勝直後のコメントで、チームメイトの根尾昂内野手の名前を出した。

   エースナンバーの「背番号1」をつける柿木だが、春から「大事なところ」でマウンドにいたのは確かに「二刀流」の根尾だった。

  • 阪神甲子園球場
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9回112球5安打2失点で完投

   登録メンバー全員が県内出身の公立校として異例の快進撃を続けた金足農業(秋田)との決勝は2018年8月21日に行われ、大阪桐蔭は13-2で勝利。日増しに注目を浴びた相手エース・吉田輝星投手から初回と4回に3点ずつ、5回には6点を奪取するなど、完勝した。

   大阪桐蔭の先発は柿木だった。9回を112球5安打2失点で完投。堂々たるピッチングで、2度目の甲子園春夏連覇を史上初めて達成した。優勝直後、インターネット中継したABCテレビで伝えられた柿木の言葉が、

「これまで大事なところは根尾だったので、決勝で投げられて嬉しかった」

というものだった。

   ここが山場とみられる試合ではいつも、走攻守がそろい投手も担う「逸材」の遊撃手・根尾が投げてきた。地方予選、9回までリードされ最大の接戦となった準決勝・履正社戦(6-4)や、これに次ぐ大接戦となった準々決勝・金光大阪戦(2-1)で、いずれも先発したのは根尾だった。この2試合、柿木は履正社戦でわずか1イニングを投げるのみだった。

   春の選抜高校野球大会も、智弁和歌山(和歌山)との決勝戦(5-2)で先発完投したのは根尾だ。準決勝・三重(三重)戦(3-2)では柿木が先発したものの、4回2失点で降板。以降延長12回までの8イニングは根尾が無失点で投げ、1点差勝負をものにした。

「自分が投げなかったとしても」

   この夏の甲子園は、決勝までの5試合うち2試合ずつを柿木と根尾が先発してきた(もう1試合は横川凱)。準決勝・済美戦(5-2)は柿木が完投したが、試合後のインタビューでは「状態があまりよくなかった」と表情は明るくない。決勝への決意を聞かれると、「自分が投げなかったとしても、本当に最高の相手だと思うので全力で倒しにいくだけ」と、先発しないことを視野に入れているようだった。

   決勝が準決勝の翌日だったこともあり、先発は根尾ではないかとの予想が高まった。その中で柿木であることが分かると、ツイッターでは「これまで大事な試合の先発は根尾だったのに今日は柿木なのね」「大事な試合は全部根尾だったのに てか昨日完投させたのは今日根尾だからだと思ってた」と意外に思う声が相次いでいた。

   その最も大事な夏の決勝を投げ抜き、偉業に導いた柿木。冒頭の言葉にインターネット上では、

「大事な時はいつも根尾くんだったけど、今日、投げれてよかったって!他の選手たちも、柿木を助けられてよかったって! ほんと最高だよぉおおお...」
「柿木くん、最初調子悪かったから心配だったけど良かった...。『大事なところではいつも根尾が投げてたので、投げられて良かった』って言葉が胸に来た...」
「大事なところは根尾君だったので今日の決勝で投げること出来たのが良かったっていう柿木君にエースのプライドを感じた」
「柿木選手も、大事なところはいつも根尾選手だったと思ってたのだな...私も今日途中で交代するかと思ってた でも西谷(浩一監督)さんはこの一番で柿木投手を完投させたんだから、さすがやねえ」

といった声が相次いでいた。