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安倍首相「あとの3年でチャレンジ」 9条改正に再び「タイムリミット」打ち出す

   北海道胆振(いぶり)東部地震の影響で自粛していた自民党の総裁選(2018年9月7日告示・20日投開票)をめぐる選挙戦が9月10日に本格的に始まった。安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長の一騎打ちの構図で、同日午前の記者会見で安倍氏は政権の実績を強調する一方で、石破氏は地方創生を重視する姿勢を打ち出した。

   安倍氏が持論にしている、自衛隊の根拠規定を書き加える形での憲法改正については、今18年秋にも召集予定の臨時国会で自民党としての改正案提出を目指す意向を表明。実際の改正には「あとの3年でチャレンジをしたい」と明言した。支持率低下で一度は「スケジュールありきではない」と軌道修正した安倍氏だが、次期総裁としての任期が切れる2021年9月まで、という具体的な期限を設定した形だ。

  • 自民党総裁選は安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長の一騎打ちだ
    自民党総裁選は安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長の一騎打ちだ
  • 自民党総裁選は安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長の一騎打ちだ

国民投票で「急速に議論が広がり、深まり、ご理解が進んでいく」

   安倍氏は17年5月3日の憲法記念日に読売新聞のインタビューなどで、東京五輪・パラリンピックが行われる20年を目標に、憲法9条に自衛隊の根拠規定を設けるなどの改正を行い施行したいと表明。だが、森友学園、加計学園、防衛省の日報問題で支持率が低下した17年夏には「スケジュールありきではない」と軌道修正する。ところが、18年8月12日に山口県内で行った講演では、

「自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、取りまとめを加速すべき」

と発言していた。

   9月9日の記者会見で「次の国会」の意味を問われた安倍氏は、

「秋の臨時国会を開催するということはまだ決めていないが、秋の臨時国会を与党とも相談して開催する、ということになれば、秋の臨時国会を目指して議論を進めていきたい。拙速にやる、ということを全く言っているわけではない」

などとして18年秋に法案を提出する考えを表明した。さらに、

「ご自身の任期3年の間に、先ほど掲げた自衛隊明記の案を必ず実現させたいという決意はあるのか」

という具体的スケジュールに関する質問には、国民投票に付して国民に理解を求めていく中で、

「急速に議論が広がり、深まり、ご理解が進んでいくことが十分にある」

として、

「その意味においては、私が責任を持てるのは、私は今回しか総裁選には出られないから、 あとの3年でチャレンジをしたいと考えている」

と述べた。

議論は「『分かりましたかー?』ではない」と石破氏

   これに対して石破氏は、22年夏の参院選までに合区を解消し、災害に備えた緊急事態条項を盛り込むことを訴えた。安倍氏の改憲論については、12年の総裁選では両者の憲法9条に対する考え方が全く同じだったとして、

「それがなぜ変わられたのか。どうしてそのような考え方になられたのか。議論というのは、それに対して質問があり、提起をした人がお答えになり、それで議論(が成立する)。一方的にお話しされて、『分かりましたかー?』ではない。そういう機会を、(安倍)総裁は去年設けるとおっしゃっていた。是非お願いしたい」

などと、主張を変えたことへの説明がないままになっていることを批判した。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)