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「金属供出」と揶揄続くも... メダルPJを「賢く」使う方法が話題に

   2020年東京オリンピック・パラリンピックで使われるメダルを日本全国で回収した小型家電などのリサイクル金属から作るプロジェクト「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」がツイッター上で話題になっている。

   五輪・パラ合わせて約5000個のメダルを製作する予定だという。ネットでは、「戦時中の供出のようだ」などと批判も多いが、少しずつ好意的な意見も見られるようになった。その理由は――。

  • 「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の公式サイトより
    「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の公式サイトより
  • 「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の公式サイトより

無料でパソコン回収のチャンス

   「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」では各自治体や回収業者によって差が出るものの、小型家電リサイクルの対象である28品目の小型家電の回収を行っている。

   これら回収した家電から金属を取り出して大会で使われるメダルを作るプロジェクトであるが、インターネット上では「これじゃ戦時中と何も変わらないじゃん」など太平洋戦争時の「金属類回収令」のようだとして批判が集まっていた。

   そんな中でツイッター利用者の視線を集めたのがパソコン(PC)だ。

   18年8月28日ごろから、

「要らないデスクトップPCを無料で廃棄するチャンス!」
「廃棄処分に困ってたんだ。ちゃーんす!」

などパソコン処分で困っていた人から好意的な反応があった。

   そもそもPCはゴミとして処分することができず、リサイクルに回す必要がある。2003年以降に発売された「PCリサイクルマーク」付きの製品は無料でメーカーが回収してくれるが、それ以前の製品には所定の料金がかかる。また民間業者の訪問回収の場合、1台だけの回収ができない、個人の場合は訪問回収ができない、そもそも有料など条件は多い。無料で宅配回収を行う業者も存在するが、複数台でないと回収できない、地域が限定されているなど制約がある。

   メダルプロジェクトの場合は、常に無料回収され、エリアも全国にわたる。そのため、自宅で眠っているPCを無料で処分するのに適していると脚光を浴びた。

   また、型が古い、ハードディスクがない、パーツを組み立てて作る所謂「自作PC」も回収可能だ。

   部品がバラバラであるなどパソコンとしての形を成していない場合は対象外。パソコンを含まず回収の依頼をした場合は、1箱1500円がかかるほか、事業所単位の回収は東京都のみと限られる部分もある。

   回収の方法は、ウェブ上で申し込み、パソコンや周辺機器、小型家電を1つの箱に詰められる分だけ梱包し、指定した日時に宅配業者が訪れるというものだ。

組織委に詳細を聞いた

   J-CASTニュース編集部は8月31日、東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会に対し、取材を行った。

   ツイッター上で、無料でパソコンを処分するチャンスだと話題になったことについて、どう思っているかを聞いたところ、

「きっかけはどうであれ、全国から多くの方に参画していただいくことにつながっており、大変ありがたいと考えております」

と思わぬ「告知」となったツイッターでの盛り上がりにコメントした。

   また、回収について、今回のパソコン引き取りで特に注意してほしい部分は、

「個人情報の取り扱いについては万全を期していますが、提供される皆様においても事前に(ハードディスクのデータを)消去いただくよう、協力をお願いいたします」

   かなり大規模で回収しているプロジェクトだが、現在までに金・銀・銅がどの程度集まってきたのか。

   「現在、精錬を随時行い、金属を抽出している段階」だといい、納入量が確定した段階で同量を公表する予定としつつ、17年4月のプロジェクト開始から18年6月までの使用済み小型家電回収量は、

「全国参加自治体による回収 (携帯電話を含む小型家電回収) 約2万6341トン
NTTドコモによる回収 (携帯電話を回収) 約411万7000台」

に上る。

   また、メダル製作の際には、

「金メダルと銀メダルは、銀をベースとするため、銀は総必要金属量の約3分の2にあたる量が必要」

だという。そのため、「必要量の金、銀、銅を回収すべく、今後も積極的に小型家電全般の回収協力を呼び掛けていきます」とコメントした。