J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

貴乃花に「圧力」かけたのは誰なのか 「耐え難き仕打ちの数々」新告発も

   大相撲の貴乃花親方は、退職を決意した理由を語った会見で、日本相撲協会による圧力があったと主張したが、協会サイドはこれを否定。双方の主張に食い違いが見られ、圧力問題は平行線をたどったままだ。

   貴乃花親方は本当に圧力をかけられたのか。圧力をかけた親方は誰なのか。真相の解明が急がれる。

  • 貴乃花親方(2018年9月25日撮影)
    貴乃花親方(2018年9月25日撮影)
  • 貴乃花親方(2018年9月25日撮影)

「役員」の名前は明かさず

   2018年9月25日に都内で会見した貴乃花親方によると、最初に協会から圧力がかかったのが今年8月。弟子の貴ノ岩への傷害事件について、3月に内閣府に提出した告発状に関するものだった。その趣旨は、協会に真実を隠さずに対応することを求めるものだった。その後、弟子の暴行事件が発覚し、告発状を取り下げたが、8月に協会が依頼した外部弁護士の見解を踏まえた書面が貴乃花親方のもとに届いた。

   協会から受け取った書面には、貴乃花親方が内閣府に提出した告発状は、事実無根の理由だと結論づけられた内容だったという。貴乃花親方は事実無根でないと説明をしたが、協会から、これを認めないと親方を廃業せざるを得ないと有形、無形の要請を受け続けたという。

   2つ目の圧力は、一門加入に関するもの。協会は7月の理事会で、親方は現存する5つの一門のいずれかに所属しなければならないことを確認。協会は、いずれにも所属しなかった親方には、部屋の取り潰し、廃業の厳罰を与える可能性を示唆していた。

   9月27日の理事会までにいずれかの一門に加入しなければならなかったが、貴乃花親方は25日までに所属先が決まっていなかった。なぜ新たな所属先が決まらなかったのか。貴乃花親方によると、貴乃花親方に手を差し伸べようとした一門もあったというが、協会幹部からある条件を突きつけられていたため、加入することが出来なかったという。

   新たな一門に入る条件とは、告発の理由を事実無根の内容に基づくものだと認めること。25日の会見では「正式な通達、書類や文章がございません。名前は控えさせていただくが、役員のある方から、今場所後半戦に入り、はじめてそのような話を聞いた」と実名こそ避けたが、協会幹部から圧力がかかったと説明した。

貴乃花親方のウソか、協会のウソか、真実はどこに

   協会サイドは、貴乃花親方の会見を受けて芝田山広報部長(元横綱大乃国)が緊急会見を開いて対応。貴乃花親方が明かした協会幹部による圧力に関して、芝田山広報部長は「そのような事実は一切ない」と全面否定。その一方で貴乃花親方が提出したのは引退届で、正式な手続きに必要な退職届ではないとして、受理しない意向を示し、26日の番付編成会議に現職の審判部として出席するように促した。

   両者の主張が真っ向からぶつかり、互いに一歩も引かない状況だが、その真相はどこにあるのか。貴乃花親方が今のところ「証拠不十分」として圧力をかけたとする協会幹部の実名を挙げていないが、公表すれば、その幹部は説明を求められることになる。ボールは貴乃花親方にあると言えそうだ。

   「村社会」になじまず、孤立していた貴乃花親方を追放しようとする意図が見え隠れする一門加入問題。貴乃花親方が話すように協会の圧力があったとすれば、圧力をかけたとされる親方、一個人の問題ではなくなってくる。パワハラとも取れる状況を作り出した協会の責任は重く、八角理事長(元横綱北勝海)の進退問題に発展する可能性も十分にある。

応援会が明かした新たな火種

   貴乃花親方VS協会バトルが平行線をたどる中、貴乃花応援会の公式HPが26日、更新され、貴乃花応援会発起人の松下耕三氏が、圧力の事実に関して言及。「貴乃花親方に感謝を込めて」とのタイトルで、以下の文章を投稿した。

「この一年耐え忍んできた、報道されない耐え難き仕打ちの数々の実態も、周囲の方々から聞くことが度々ありました。私が耳にする情報が、多少は偏った情報で、話半分で聞いたとしても、到底理解し難い状況が実際にあったとしか思えません。多くの親方衆がその目撃者でもあるわけですが、勇気を持って立ち上がり真相を語って頂けることを願いたいところです」

   耐え難き仕打ちの数々の詳細は明らかにしていないが、今回の圧力以外にも貴乃花親方が協会からなんらかの仕打ちを受けていたことを匂わす内容で、その事実を知る協会の親方衆に向けて真相を明かすよう呼びかけている。

   貴乃花親方は26日午前、都内の部屋に姿を見せたが、両国国技館で行われた番付編成会議には出席しなかった。25日の会見以降、沈黙を保つ貴乃花親方。協会の圧力に続く新たな火種が燻ぶっている。