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RIZAPは「M&A贅肉」を鍛えなおせるか カギ握る「ナンバー2」の手腕

   RIZAP(ライザップ)グループの業績が暗転している。2019年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が70億円の赤字になりそうだというのだ。従来は159億円の黒字を見込んでいたが、積極的なM&A(企業の合併・買収)戦略が裏目に出て、大幅な赤字に転落する。

   「結果にコミットする」をキャッチフレーズにフィットネスジムを拡大してきたRIZAP。経営に関しては「コミット」できなかった格好だが、再び「変身」することはできるか。

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増えたグループ企業が足引っ張る

   現社長の瀬戸健氏が2003年に創業した「健康コーポレーション」が源流。当初は豆乳クッキーなど健康食品の通信販売を行っていた。2006年に札幌証券取引所アンビシャスに上場。社名も変更した。

   M&Aを積極化させたのは、ここ2年半ほどのこと。2016年3月末に23社だったグループ会社数は、2018年9月末時点で85社に膨れ上がった。

   この積極策が、実はRIZAPの成長の支えだった。買収額が純資産を下回る場合、その差額を「負ののれん」として利益計上するのが会計上の決まりだ。経営不振企業を割安な価格で買収してきたRIZAPは、2018年3月期の営業利益(135億円)のうち、6割以上がこれだった。

   だが、割安で買収した不振企業の経営改善が進まなければ、グループ全体の足を引っ張ることになる。実際、思うように構造改革が進まず、巨額損失の計上を迫られたのが今期というわけだ。

   例えば、2018年3月にグループ入りしたゲーム・音楽ソフト販売のワンダーコーポレーションは14日、構造改革費用として39億円の特別損失を計上すると発表。2019年3月期(決算月変更に伴う13カ月の変則事業年度)の連結最終損益は32.3億円の赤字(従来予想は3.7億円の黒字)となる見通しだ。

   2017年3月にグループに加わったフリーペーパー発行の「ぱど」は13日、連結最終損益予想を2.2億円の黒字から4.7億円の赤字に下方修正した。2016年7月にグループ入りを果たした女性用体形補整下着のMRKホールディングスも13日、新商品の生産遅延など一時的な要因により、2019年3月期の連結最終損益は3.9億円の赤字(従来予想は8億円の黒字)になりそうだと発表した。

本業の「RIZAP」自体は堅調、巻き返しなるか

   グループ会社の経営不振を受けて、RIZAPは従来5.73円を見込んでいた期末配当を見送り、年間無配とすることを決めた。瀬戸社長は2018年4月から1年間、役員報酬の全額を自主返上する。その後も連結営業利益が、今回の下方修正前の予想である230億円を超えるまで報酬返上を続けるとしている。今後は新規M&Aを原則凍結し、不採算事業の縮小や撤退、売却も検討する。

   一方、フィットネスジムを中心とした本業のRIZAP事業は堅調で、どのように他の事業と相乗効果を上げるかが課題となる。カギを握るのが、カルビーを最高経営責任者(CEO)として立て直し、2018年6月、RIZAPに最高執行責任者(COO)として迎えられたナンバー2・松本晃氏の手腕だ。松本氏は10月、COOから「構造改革担当」に担務変更し、いよいよ経営改革に本腰を入れる。

   M&Aは中期経営計画で、2021年3月期に連結売上収益(売上高)3000億円、営業利益350億円と掲げている。今度は結果にコミットできるか、注目だ。