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就職直前に「叱られ方」を研修 大正大学の学生向け講座、その真意は

   4月に就職を控える大学生が「叱られ方」を学ぶ大正大学の研修がネット上で話題になり、波紋が広がっている。

   この研修に対し、「まず叱り方からやれ」「パワハラを正当化したいの??」など訝る声が相次いだ。

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NHK「おはよう日本」で紹介される

   きっかけは、NHKが2019年2月19日早朝に「おはよう日本」で放送したもの。学生たちが叱られ方を学ぶ講習会として取り上げた。放送内容がネットにアップされると、ツイッター上では疑問視する声が次々と寄せられた。

   この講習会は、入社後に上司から叱られて悩んだ卒業生の声を受け、昨18年に同大が始めた。4月に入社する大学生たちが講師から「叱られ方」を学ぶもので、講師が学生に、叱って声を出して応えるよう求めるという。

   放送では「叱られることに意味がある。その経験を自分の成長につなげることが大切だ、と指導します」と研修内容を紹介。講師の「職場の上司は、少し声は荒いかもしれないけれど、自分が否定されるというところから入らずに、まず『受け入れてくれている』と思ってほしい」という言葉や、参加した学生の「(これまでは)自分が傷ついた、怒られてしまった、という目線になっていたが、『私のためを思って叱ってくれている』と理解できたのが大きかった」というコメントも伝えていた。

「精神論」ではないかと疑問の声が

   NHKおはよう日本の公式アカウントでも19日朝、ツイッター上で放送内容を投稿すると、「パワハラを正当化したいの??」「まず叱り方からやれ」など批判が殺到した。

   その後、別のユーザーがこの投稿を「内定者を集めて、叱られ方を教え込む地獄」などとコメントをつけて拡散させ、ネット上では

「?? 叱り方を教えたほうがいいのでは...」
「精神論、もうお腹いぱーいなんですが」
「メンタルの作り方という意味では悪くない部分あり、やっぱ眉唾と思う部分あり」

と同じく疑問を投げかける声が上がる一方、

「叱る年代には『叱られたらこういう態度であるべし』というモデルがあって、叱られる年代はそれを知らないので、求められてるモデルを知っておく、結局は日本の大好きなマニュアル化なのかしら」

と冷静にみるユーザーもいた。

大正大「早期に離職してしまうことがないように」

   J-CASTニュース編集部では大正大学の広報課に文書で取材を申し込み、ネット上の反応などを聞いた。22日、同課から回答があった。

   広報課は、「今回取り上げていただいていた研修は、4月に新社会人として良いスタートが切れるよう、コミュニケーションの取り方やビジネスマナー・時間管理などを含む『内定者向け研修』の中のひとつとして実施したものです」と狙いを説明。ネット上での反応や意見については昨年、別の番組が取り上げた際にも上がっていたという。

   大正大では、「内定獲得までが就職支援ではなく、4月から新社会人となる内定者に対しても支援を行いたい」との思いから、昨年から研修を年1回実施。受講を希望する学生が20人ほど参加しており、学生からは「参考になったという意見が寄せられています」という。

   研修内容は、就職課が趣旨を外部講師に伝え、ロールプレイングを交えながら実施している。そのなかのひとつである「叱られ方」については、

「せっかく入社した会社を早期に離職してしまうことがないように、新社会人が躓きがちな"叱られる"という行為の中にある『上司からの指導』の部分に意識を向けて、そこからの気付きを自分の成長に生かすことがテーマでした」

との回答だった。

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)