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バスケ八村塁はNBAで通用するか 運動能力「高すぎ」伝説も

   全米大学男子バスケットボールのウエストコースト・カンファレンス(WCC)が2019年3月5日、今シーズンのMVPにゴンザガ大FW、八村塁(はちむら・るい)=21=を選出した。今シーズン八村は、全31試合に出場し、1試合平均20.6得点、6.7リバウンドを記録。全試合で2ケタ得点をマークする活躍を見せ、全米でも注目されており、今年6月のNBAドラフトでは上位指名が確実視される。

   毎年6月、全米バスケットファンの注目が集まるNBAドラフト。今年は、試合中にシューズが破壊して話題を呼んだザイオン・ウィリアムソン(18)をはじめとし、未来のNBAを担う大学バスケのスター選手が上位候補に顔を揃えるが、その中において八村も上位候補に名を連ねる。今や日本よりも米国でその名はとどろき、世界の「HACHIMURA」になりつつある。

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小学生時代は野球に打ち込む

   富山県で生まれた八村は、ベナン人の父と日本人の母を持ち、富山市内で育った。幼少時代から体格がよく、運動能力が高かった八村は、様々なスポーツを経験した上で野球を選択。小学生時代は野球に打ち込み、投手として非凡さを見せていたが、その才能が野球の道を断つ理由に。当時、小学生離れした八村の剛速球を受けることが出来る選手がおらず、練習すらままならなかったことで野球を断念し、中学からバスケットボールを始めた。

   地元の中学を卒業し、宮城・明成高にバスケ留学。高校時代は全国大会で数々のタイトルを獲得し、NBA入りを目指して高校卒業後、単身、米国に渡りゴンザガ大学に入学した。2メートル4センチ、108キロの日本屈指のFWは、1年目こそ出場機会に恵まれない日々を過ごしたが、2年目のシーズンに実力が開花。昨年はドラフト候補と目されたが、時期尚早と判断して大学残留を選択した。

   大学入学当初、最大の課題だったのが「英語」だった。体格的には米国人の同級生に引けを取らず、パワー負けもしなかったが、英語を話すことが出来なかった八村は、他の選手とコミュケーションを取ることが難しく出場機会が限られた。八村の英語力を指摘するNBA関係者も多く、渡米当初はドラフトにかかる選手と見る関係者は少なかったという。

イチロー、中田英は語学力も超一流

   海外スポーツに精通する関係者は「日本の選手が海外に行って成功出来ない多くのケースが、その国の言葉を話せないことにある。まず、監督ら指導者との意思の疎通が取れず、仲間と会話が出来ずに精神的に孤立するケースが多い。海外で成功したイチローや、サッカーの中田(英寿)らは現地の言葉をマスターしてから海外に渡った。八村の場合、すでに英語をマスターしているのでコミュニケーションに問題はない。NBAでも成功する可能性は十分にある」と指摘する。

   米国の各メディアは、早くも2019年のNBAドラフト予想を報じているが、八村の評価は安定して上位を保っている。米メディアの中には、英語を自身のものとした八村は、これによってプレーの質が上がり、得点能力も上がったと分析するメディアも。また、NBA関係者の証言として、不安のあった語学力は、問題するに値しなくなったとしている。

   近年のNBAドラフトでは、大学1年目のシーズンを終えた有望選手が指名されるケースが多くみられ、次々に10代のNBA選手が誕生している。NBAメンフィス・グリズリーズに所属する渡辺雄太(24)に次ぐ日本人のNBA選手誕生に注目が集まる中、八村が満を持して一年越しのドラフトに臨む。