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24時間営業「見直し簡単でない」(関係者) それでもコンビニの「時短」容認は不可避だ

   コンビニエンスストアが看板としてきた「24時間営業」のあり方が問われている。深刻な人手不足で店員を十分に集めることができず、各地の店主らが悲鳴をあげているためだ。

   既に外食企業では終日営業の見直しが進んでおり、コンビニも方針転換を迫られる可能性がある。

  • 24時間営業の行方は
    24時間営業の行方は
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ファミマ・ローソンは「時短」実験、マックスバリュも追随

   最大手のセブン-イレブン・ジャパンは2019年3月半ばから、営業時間を午前7時から午後11時までの16時間に短縮するという創業以来初めての実験を全国10カ所の直営店で始めることになった。実験は少なくとも数カ月間実施し、売り上げへの影響などを調べ、結果次第では24時間営業を見直すこともあるという。

   実験に踏み切るきっかけの一つは、東大阪市の「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」の店主が、妻が亡くなり、十分な人手を確保できなくなったとして、営業時間を短縮したことだ。この店主の動きがニュースサイト「弁護士ドットコム」などで報じられると、連動するように、全国の加盟店オーナーが2月末、セブン-イレブンの本部に営業時間に関する団体交渉を申し入れ、世間の関心が一気に高まった。

   オーナーらはセブン-イレブン本社と24時間営業を行うことで契約しており、法的には24時間営業を続けなければならない。しかし「非人道的なものなら、契約自体が無効とされるべきだ」などと主張している。

   少子高齢化により、コンビニでも働き手の確保は厳しい。都心部などでは外国人を雇う店が当たり前になっているが、外国人が少ない地方ではいっそう深刻だ。特に、深夜の人手を集めるには「時給を上げても確保できない」という声もある。

   すでにファミリーマートはいち早く、2017年から一部店舗で24時間営業の見直しに着手した。ローソンも一部店舗で時短を認めている。一連の報道後には、イオン傘下の食品スーパー・マックスバリュ西日本も2019年3月21日から、一部店舗で行っていた24時間営業を取りやめると発表した。

   J-CASTニュースが2月21日から行っているネットアンケートでは、実に91.6%が、なんらかの形での「時短」を認めるよう主張するなど、消費者の意識も「脱24時間営業」に向かいつつある。

「人手不足」解決されなければいつかは限界に

   こうした状況の中、外食産業では24時間営業の見直しを先行して進めている。

   ロイヤルホールディングスが展開するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」では徐々に終日営業をやめ、2017年からはすべての店で取りやめている。

   こうした動きに、コンビニも追随できるだろうか。

   「コンビニは24時間営業が当たり前とされてきたので、見直しはそれほど簡単ではない」(業界関係者)との声もある。外食業界は本社が店を運営する直営店が多く、素早い対応が可能なのに対し、コンビニ業界は、本社が各地のオーナーに権利を与えるフランチャイズ方式が主流だ。「本部は現場の切実さをなかなか理解できない側面もある」(同)といい、柔軟な対応ができない状況になっているとの指摘も少なくない、

   流通業界に詳しいアナリストは「今の日本の人手不足が根本的に解決されない限り、24時間営業が限界にくることは間違いない。終日営業の見直しも含め、さまざまな対策が必要だ」と話す。コンビニの24時間営業が曲がり角にきていることは間違いなさそうだ。