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東京五輪柔道、寝技は不利に? 滑りやすい「中国製の畳」が採用される

   2020年東京五輪の柔道で採用される中国製の畳が波紋を広げている。全日本柔道連盟は2019年3月12日、20年東京五輪で新色の畳を採用することを発表。観客がより見やすいように場内が黄色から青色に、場外は赤色に変更となる。

   畳は中国のスポーツ用品メーカー、タイシャン社製のもので、日本国内では4月に福岡で行われる全日本選抜体重別選手権で初めて採用される予定だが、選手の間からは不安の声が上がっている。

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08年北京五輪でも中国製は「滑りやすい」との声が

   タイシャン社製の畳は、これまで多くの国際大会で採用されており、国際柔道連盟(IJF)が同社とスポンサー契約を結んでいることから採用される運びになったという。柔道関係者によると、タイシャン社製の畳は日本国内で使用されているものよりも滑りやすく、寝技を得意とする選手は不利になるとの意見も。2008年北京五輪でも中国製の畳が採用されたが、この時も選手の間から「滑りやすい」との声が上がっていた。

   男子柔道が五輪の正式種目に採用された64年東京五輪では、日本製の天然畳が使われた。その後、柔道の国際化にともない、現在のような表面がビニール製の畳が主流となっていったが、五輪や国際大会では必ずしも開催国の国内製の畳が採用されるわけではない。五輪に限って言えば、日本製の畳が使用されたケースは少なく、今回の中国製の畳使用も特段珍しいことではない。

   国際化が進む柔道界においてはすでにこのような現象は当たり前なのかもしれないが、一般のファンからは、「自国開催の五輪なのになぜ日本製の畳を使わないのか」との声も上がっている。また、柔道関係者は「もっと早く発表出来なかったのか。なぜこの時期になのか。中国製の畳で練習する場所もほとんどないのに、どうするつもりなのか」と、五輪本番を1年5カ月後に控えての採用発表に疑問を投げかける。

体操は日・独・仏の3カ国共同製作の器具を採用

   昨年10月にカタールで行われた体操の世界選手権では、タイシャン社製の器具を巡る論争が起こった。中でも選手から批判の声が多かったのが床だ。同大会で採用された床は、その硬さゆえ反発が少なく、床のスペシャリスト白井健三(22)=日体大=はケガを恐れて難易度を下げて臨んだ。20年東京五輪の体操で同社製の器具の採用が検討されていたというが、各国の反発があったとみられ、日本、ドイツ、フランスの3カ国のメーカーが共同で製作する器具が採用されることになった。

   今回、新たな畳を採用する目的のひとつは、畳の色を変えることで観客により見やすい環境を作ること。ただ、選手にとっては色ではなく、畳の質が大きな問題となってくる。8月に東京・日本武道館で開催される世界選手権での採用がすでに決定しており、中国製の畳対策が急務となる。