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山里亮太編集長、高知県知事と高知愛を語り尽くす<よさこい編>

お久しぶりです。J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太です。

すっかりご無沙汰しております。もう忘れ去られているのでは...そんな恐怖とともにここに登場しております。

なぜ急に静かになったかと言いますと、攻めのJ-CASTニュースとともに攻めすぎてタブーに触れて名誉編集長の座を下ろされたのでは? なんてどきどきするような理由ではなく、実は去年の終わりに胃腸炎でダウン、やっと復活して、帰宅したところ母が作ったおじやの中の牡蠣にあたり再び病院に、そこで偶然にも虫垂炎が見つかり、年明けに手術なんかして、体調と相談しながら過ごしておりました。

そんなわけで、この企画も間が空いてしまいすみません。復帰第一発目のテーマは「高知」です。

「なぜ?」そう思う人も多いと思います。

私、数年前から夏休みは友人と高知に行くほど高知にはまっております。さらにそこに去年出会ったよさこいが加わったことにより高知への愛が止まらなくなりまして、高知の友達と「よさこいを2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式でやるにはどうしたらいいか?」なんて議題を掲げながら朝まで高知で飲み明かすくらいなんです。

よし、ではこの思いを今回は伝えさせていただこう! ということでテーマを「高知」とさせていただきました。

じゃぁ高知興味ないから今回の記事は読まなくていいや...とお思いの方! そういう風にならないように今回なっております。もちろん高知が好きになる方も出てくれればなぁなんて思いもありますが、地方創生などの大切なお話も出てきます。なにか好きなものが増えることは人生を熱くしてくれます。そういうものを増やすヒントになったりしたら嬉しいかなという思いもあります。

そして、まだまだ知らない高知のことを、もっと知るために、高知県知事の尾﨑正直さんにお話を聞いてきました。

高知県知事尾﨑正直氏(左)と、J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太
高知県知事尾﨑正直氏(左)と、J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太

開会式で「よさこい」踊れたら最高だね

尾﨑: いつもお越しいただいているようで、どうもありがとうございます。なんというか「しれっと」とでも表現したくなるような、そんな風な参加のされかたですよね、いつも。鳴り物入りで「山ちゃん、入るぜ」っていう感じじゃなくて。

山里: 完全なるプライベートですので。

尾﨑: だからタレントさんとしての活動でなく、本当にお好きなんだなと思って。

山里: めちゃくちゃ好きです。今日着てきたこの半纏も、よさこいチームの友人が作ってくれて。「これ、着ていると練習に参加しやすいよ」って。だから「ありがとう」って、普通に着せてもらっています。

尾﨑: 練習までされているんですか?

山里: はい、総踊りを。踊ったことはそれまで全然なかったんですが、見ているうちに踊りたくなって。よさこい60年の2013年に、GReeeeNが無償で提供したという「この地へ~」という曲。全チームが同じ振り付けで踊るんですよね。

尾﨑: お詳しいですね。そんなに好きになっていただいたのは、いつからですか。

山里: 実は去年の8月からですから、まだ半年ちょっとなんです。お仕事でよさこいの中継をさせていただいて、心をわしづかみにされました。なんてカッコいい祭りなんだって。神様と関係なく、高知への愛が主人公っていうのがカッコよくて、こんなにカッコよく郷土愛って表現できるんだ、って羨ましくなっちゃったんです。

よさこい(高知県提供)
よさこい(高知県提供)

尾﨑: そんな風に思っていただけましたか。私は18、19歳で高知を出て、40歳くらいまで東京で働き、途中外国にも行きましたが、帰省してよさこいを見るたびに、じわっと涙が出たんです。感じたのは間違いなく、郷土愛です。それは土佐人だからと思っていましたが、千葉生まれの山里さんが感じてくださった。

山里: だから自分だけでよさこいの良さを独り占めするのは違うなと思って、ことあるごとによさこいの話をしています。高知にも友達がどんどんできて、彼らと話しているのは東京オリンピック・パラリンピックの話です。開会式でよさこいが踊れたら最高だねって。知事も狙ってらっしゃいますよね?

尾﨑: ええ。

山里: 手応えは、いかがですか?

尾﨑: 開閉会式は専門家の皆さんが、専門的見地に基づいて演出されると思うんです。でも、こちらでできることとして前進したことがあります。まずは「2020よさこいで応援プロジェクト実行委員会」が全国36都道府県90団体でつくられたことです。
高知のよさこいと北海道のYOSAKOIソーランさんでは随分違う。でも、鳴子を持って踊ることは全国で共通しています。そこで、鳴子をよさこいの「平和のシンボル」として、誰もがつながれるよさこいの魅力をアピールしようということで大同団結しました。さらにはオリンピック後も見据え、よさこいをもっと世界で有名にしていきたいんです。

究極の目的は、世界でもっと有名にすること

山里: ガーナの子供たちが踊るよさこいがYou Tubeに上がって、クールすぎるって話題になりましたよね。アフリカな感じも加わっていて、カッコよかったー。

尾﨑: 高知県ではすでに「よさこいアンバサダー」制度をつくって、これまでに16か国、56人の方々を認定しています。でも、ここからもう一段上げていきたい。世界のメディアに「よさこい」を取り上げていただくためのプロジェクトを今年の夏から来年に向けて、一斉にやっていきます。

山里: それはすごいですね。もしオリンピック・パラリンピックによさこいが採用されたら、一挙に世界に広がりますよね。

尾﨑: 高知はシンガポールのホストタウンになっていて、シンガポールにもよさこいのチームがあるんです。だから今年8月のよさこいに来てもらって、シンガポールのメディアにもよさこいを思いっきり取り上げてもらう。そういうことを「2020よさこい応援プロジェクト実行委員会」の団体がお互いにできれば、かなり世界的な動きになると思うんです。

山里: 世界から攻める作戦ですね。

尾﨑: 山里さんにも、ぜひ参加していただきたいです。

山里: もちろんです。

尾﨑: 戦後復興として、高知市を盛り上げようと高知商工会議所の人たちがつくった人工的なお祭りが、スタートからたった65年でこれだけ広がっています。

山里: 僕はハマって7か月です。

尾﨑: この爆発力ってすごいですよね。なんでだろうと思うと、2つあると思います。一つは山里さんがおっしゃっていた通り、郷土愛に結びつきやすい。もう一つは押し付けでなく、自分の思いが込められる。祭り事は決まり事がつきものですが、よさこいは創意工夫が発揮しやすい。だから競うように広がっていったと思うんです。

山里: 今、高知の若い人で「よさこいを広めたい」っていう人、たくさんいますよね。だから僕が踊ることで、ちょっとでもメディアに取り上げてもらえたらなーという気持ちもあって、1月に東京ドームの「ふるさと祭り」で踊ったのが最初です。観に行ったのですが、友達のいるチームに誘われて。

尾﨑: もともと踊りはなさるんですか?

山里: やらないんです。踊りというものに関わるのが初めてです。覚えるのに時間がかかるんですが、カバンの中に練習用の鳴子が入っています。

山里編集長がカバンに忍ばせている鳴子
山里編集長がカバンに忍ばせている鳴子

尾﨑: 私も踊っています。今年はぜひ一緒に踊りましょう。

山里: よさこいを知って、友だちも出来て、今僕が思っているのはNHKの朝ドラにしてもらえないかなってことなんです。戦後によさこいが生まれて、こうやって盛り上がっている、それが朝ドラになってオリンピックに間に合えばいいなって高知の友だちとも言っていたんですが、2020年の後半(10月スタート)まで発表になってしまって。

尾﨑: いや究極の目的は、日本で、また世界でよさこいをもっと有名にすることなので、オリンピック・パラリンピック後の方がむしろ大事かもしれないですよ。

NHKにも相談 「いい原作があれば...」

山里: よさこいは、絶対「朝ドラ」のテイストなんですよ。今、カップラーメン作った話をやっているんだから、街を思う気持ちで出来た祭りを取り上げてもらえないかなーってNHKの人にも言っているんですけど。

尾﨑: よさこいの歴史はおそらく、三段跳びくらいなんです。戦後にたくさんの情熱を持って作った人たちがいて、それから企業や若手社員が多く参加し、平坦に発展していった時代。その頃、ちょうど私は学生で帰省して踊っていました。当時は、友だちと高知城周辺で飲んで、それから踊って。まじめに踊るのはカッコ悪いみたいな空気でしたね。

山里: 今はみんな、ほんとに真剣ですよね。

尾﨑: 有名なジャズダンスの先生がよさこいに関わるようになって、真剣に、そして魅せる踊りへと劇的に変わりました。そこからソーランさんとの出合いがあり、全国に爆発しました。これからは世界です。確かに朝ドラ級のネタはありますね。

山里:  Eテレではモグラになっていろいろ話す番組もやっていまして、4月からレギュラーも始まるんで、NHKのドラマの方にも相談してみたんです。「いい本があったりすればいいんですけど」って言われました。いい原作があれば、って。

尾﨑: 大河ドラマ「龍馬伝」の脚本家の福田靖さんは、高知県の観光特使なんですよ。「龍馬伝」は原作なしの書き下ろしでした。

山里: それなら福田先生、「よさこい伝」を書いてくれないですかね? 僕、よさこいのいろんなチームの人たちと飲んで話すんですけど、みんな本当によさこいが好きで、彼らが全国から憧れられるような存在になってくれたらいいなって、心から思うんですよね。そういうドラマ、書いてほしいなー。

尾﨑: 山里さん、一緒に頼みに行きましょうよ。

(続く)


プロフィール

尾﨑正直(おざき・まさなお)
1967年生まれ。高知県高知市出身。1991年、東京大学経済学部を卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。外務省在インドネシア大使館一等書記官、財務省主計局主査などを歴任。2007年10月財務省退職。同年12月より高知県知事に就任。現在3期目。