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連休明けに「わたし、定時」見て絶望 この「脱力」状態を脱するには?

   女優の吉高由里子さん(30)が主演するドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)の第4回が、2019年5月7日に放送された。

   同ドラマは朱野帰子(あけの・かえるこ)さんの同名小説が原作。吉高さんが演じるのは定時に帰ることをモットーとする32歳独身のWebディレクター・東山結衣。第4回では、ダラダラと仕事を続け、時に会社に泊まり込むなど非効率的な作業を続ける吾妻(柄本時生さん)に対し、周囲が注意を行い一旦は改善するも、再び残業漬けの生活に戻ってしまう様子などが描かれたが、これを見た視聴者から、大きく分けて2種類の反応が上がっている。

  • 吉高由里子さん(2012年撮影)
    吉高由里子さん(2012年撮影)
  • 吉高由里子さん(2012年撮影)

ネット上にこだまする「絶望」と「共感」

   まず目に付くのは、「連休明けにわたし、定時で帰ります。が放映されるという皮肉」と、6日まで続いた10連休が終わり、仕事がある生活に戻って脱力したとする人たちのツイートだ。また、「わたし定時で帰ります、連休明けにみてよいものだったのか...」などがという声もあり、ただえさえ脱力している上に同ドラマを見てしまったことで「絶望」してしまったとする声も多い。

   また、作中の柄本さんのように、ついつい作業効率が落ちてしまい、ズルズルと残業という泥沼にはまってしまうことは多いとする声も続々。「吾妻の気持ちも凄い分かるよ。家帰ってもつまんないよな」「何にもないから仕事してる方がマシって思うもんな...」など、仕事を定時に終えようという強い動機がないがゆえに、どうしても仕事が後ろ倒しになっていく心境になってしまうと明かすツイートも多い。

   そこで、J-CASTニュース編集部は経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織氏に取材を実施。ネット上に上がっている2つの大きな悩みを解決する方法を聞いた。

連休明けにやる気が出ないのは、「心は疲れたままだから」

   連休とは、日頃できない遠出などを行うのには絶好のチャンス。そこで、どうしても連休最終日まで予定を入れがちになるが、これは連休明けを考えると非常に良くないという。

「連休中に休息を取らないと、心理的には連休前と同様に疲弊したままなのです。なので、連休の最終日はレジャーに出掛けず、連休明けの仕事に思いを致すといった『移行期間』を設けると、連休明けのやる気の無さが緩和されます。ただ、最後の1日までレジャーを楽しんでしまう方が多いのも事実。そこでお勧めなのが、『連休明けは出社時間よりも前に出社し、同僚と連休中について語り合う』という行為です。ポイントは、『連休中は○○をして確かに楽しかったんだけど、その結果、非常に疲れた!』『連休中に遊びすぎて眠い!』などと、『疲れた』『眠い』といったマイナスの言葉を含んだ表現で連休中を振り返ってみることです。解消されていない心理的疲労を隠さないどころか、逆に言葉として意識化してしまうのです。意識化されないままの心理的疲労は、仕事をする上での大敵。それを意識化してしまうことで、『連休明けは仕事に身が入らない』という状況を回避できます」

「定時で帰る心理学」

   また、連休明けであるが否かにかかわらず、常に使える「定時で帰る心理学」を、鈴木氏は教えてくれた。ダラダラと仕事をしてしまう人の特徴として、『どうせ残業するのだから午前中から頑張ると息切れする』という後ろ向きな思考に陥っていることがよくある指摘した上で、

「サラリーマンとして標準的と言える、朝9時に仕事開始、正午に休憩、午後1時に仕事を再開して午後6時に定時(実働8時間)という1日のローテーションを前提にお話ししますが、まず、午前と午後の仕事量を2:3に配分します。労働時間でいうと午前が3時間に対して午後は5時間ですから、やや午前中に仕事を詰める感じになります。もうこの時点で、悪しき習慣である『午前から頑張ると夜になる前にバテる』との思いを砕こうという意図はご理解いただけると思います。そして、さらに、午前と午後を共に2等分し、その上でそれぞれの前半に、さらに仕事を詰める感じで仕事をします。ただ漫然と『前倒しで仕事をすべき』と思っているだけではすぐにダレてしまいますが、具体的に数字を頭に思い浮かべることで、仕事の終了時刻を前へ前へ押しやっていくことが可能になるのです」

   最後に、「定時で帰りやすくなる印象を振りまく方法」も教えてくれた。

「始業後90分、及び、定時前90分は仕事量にかかわらずキビキビとした態度で仕事をすることです。周囲が感じる『その人の仕事への態度』は最初と最後が非常に目につくので、この時間帯に特にキビキビした印象を与えると、定時で帰ろうとしても周囲の目は穏やかになります。こうすることで、『あの人は今日も一生懸命働いて仕事を終わらせたのだから、定時で帰るのは当然』と、周囲に思わせることが出来ます」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)