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レオパレスに続き大和ハウスも... 業界全体への不信広がるおそれ

   ここ10年で業績が急拡大し、連結売上高4兆円を誇る住宅・建設業界の盟主に上り詰めた大和ハウス工業だが、企業統制は追いついていなかったのか。

   不適切施工問題に揺れる大和ハウス。住宅メーカーを巡っては、レオパレス21でも大規模な施工不良が問題になっている。大和ハウス個社のみならず、業界全体への不信感が広がる可能性もある。

  • 大和ハウス公式サイト。今回の問題についての謝罪文が大きく掲載されている
    大和ハウス公式サイト。今回の問題についての謝罪文が大きく掲載されている
  • 大和ハウス公式サイト。今回の問題についての謝罪文が大きく掲載されている

内部通報から調査本格化まで1年半

   約2000棟の賃貸アパートや戸建て住宅に、建築基準に関する不適合があった――大和ハウスが発表したのは2019年4月12日。2014年~16年に3回にわたり大規模な不適合施工を公表していながら、今回のケースを見抜けなかった。

   不適合があったのは2078棟。このうち、2001年1月から2010年6月に、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬の6都県で引き渡した賃貸アパート200棟は、自社基準と異なる仕様だった。200棟のうち73棟は、2階外部の廊下を支える柱が防火基準を満たしていない可能性があり、直ちに改修工事を実施。回収費用に1億円を見込む。

   また2000年10月から2013年2月まで、29都府県で引き渡した戸建て888棟、賃貸アパート990頭の計1878棟は、土台となる基礎の仕様が、国から認定を受けたものではなかった。構造上、安全性に問題ないとしているが、今後、オーナーの意向も踏まえて対応を検討するという。設計者の確認不足、法令の理解不足が原因とみられる。

   問題の根が深いのは、内部通報によって2016年12月に把握したのに、実際に社内調査が本格化したのは2018年7月と、1年半以上たっていたことだ。4月12日に大阪市内で記者会見した槌田和人専務執行役員は「調査対象が22万棟と多いことから、すぐに調査するという判断ができなかった」と認めた。

社長直轄の仕様管理部を新設したものの...

   2014年12月には、防火シャッター雨戸の取り付け方法方の一部が、国が認定した仕様に適合しない疑いがあると発表。2015年10月には、防火ドア・防火サッシでも、不適合施工があったと発表した。さらに2016年10月には、賃貸アパートの小屋根に設置した界壁パネルの一部が、防火や遮音性能が適合していなかったと公表している。こうした問題を受け、社長直轄の仕様管理部を新設し、不適合の未然防止を図ったが、過去のケースを見逃した。

   建物の仕様以外の不祥事もある。2019年3月には、中国・大連の関連会社で、合弁先から派遣されている取締役2人と出納担当者一人の計3人が、不正に会社資金を引き出していたと発表、現地の捜査当局に業務上横領の疑いで刑事告訴の手続きを始めた。

   2019年4月19日に発表した2019年3月期の連結業績予想は一連の不祥事の影響を織り込んでいるが、それでも売上高は4兆1200億円と2011年3月期に比べ2.4倍に、営業利益は3700億円と4.2倍に拡大する見込み。規模は急拡大したが、企業統治に課題を残す形となった。