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佐藤浩市は安倍首相を揶揄した? インタビューめぐり「見損ないました」「おかしい事言ってない」の声

   漫画誌『ビッグコミック』(小学館)に掲載されたインタビュー記事で、映画『空母いぶき』で総理大臣を演じる俳優・佐藤浩市さん(58)が「(総理は)すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらった」などと発言していたことが波紋を広げている。潰瘍性大腸炎を患う安倍晋三首相のことを「揶揄してますよね」といった声がインターネット上で続出したのだ。

   だが、批判の一方で「よくよく見たらそんなおかしな事言ってないよね」と佐藤さんの発言を冷静に受け取る向きも少なくない。

  • 佐藤浩市さんのインタビュー記事が掲載された『ビッグコミック』
    佐藤浩市さんのインタビュー記事が掲載された『ビッグコミック』
  • 佐藤浩市さんのインタビュー記事が掲載された『ビッグコミック』

「ダメだよ、絶対」

   『空母いぶき』は、かわぐちかいじさんの同名漫画が原作。映画では「国籍不明の武装集団」が沖ノ鳥島西方にある島嶼部に上陸・占領されるところから始まり、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」が出動すると、敵艦の攻撃を受け、戦闘状態に突入していく――というストーリーになっている。

   劇中で総理大臣の垂水慶一郎役を演じたのが佐藤浩市さんで、原作が連載されている『ビッグコミック』2019年5月25日号(10日発売)にインタビューが掲載。瞬く間にネット上で注目されたのが、「ストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらった」という発言だった。「(編注:総理大臣役を)最初は絶対にやりたくないと思いました(笑)」と役柄に当初は抵抗感があったことも示している。

   安倍首相は、難病指定されている潰瘍性大腸炎を患っている。そのためツイッターでは

「安倍の潰瘍性大腸炎を揶揄したんだろうな」
「佐藤浩市さんの件、あれはダメだよね。誰を嫌いでもいいけど、病気とか容姿とか生まれとかの本人に責任のない事を揶揄するような発言はダメだよ、絶対」
「お腹すぐ壊すってなんか揶揄してますよね。。見損ないました」
「知ってか知らずか分からないが、安倍総理の持病に対しヘイトと受け取られかねないコメント」

など、安倍氏や安倍氏と同じ病気の人を揶揄したとして批判する声が殺到した。

   さらに原作では、垂水が自身の命令で自衛隊員らが命を落とすことになると思い詰め、ストレスで「嘔吐」するシーンがある。にもかかわらず、あえて「腹を下す」という設定にすることには、「原作に垂水首相がストレスやプレッシャーで嘔吐してるシーン有るのに何故わざわざ似た設定を追加する必要が有ったのだろうか?」と違和感を覚える向きもあった。

「八割がた見当違いの恐れあり」

   その一方で、

「一応みんな原文に当たった方がいい。みんなの怒り、八割がた見当違いの恐れあり」
「ほう。佐藤浩市、けっしておかしい事は言っとらんのう」
「発言の一部を切り取って曲解してしまった人が大騒ぎしてしまっただけなように感じるな」

と佐藤さんの発言を冷静に受け止める向きもある。

   インタビュー記事で佐藤さんは「何が正解なのかを彼の中で導き出せるような総理にしたい」など、「総理像」をめぐる独自のアレンジにこだわったことも告白。実際の政治家の話を聞き、「総理」という職について「背負っていくものに対する責任」の重みを感じたと述べるなど、役作りへの前向きな試行錯誤が発言の中心となっているとも読める。

   こうした内容を読んだと見られるユーザーからは、

「役者が真剣に役と向き合った結果、役の設定を付け足す事なんて、他の映画にもよくある事だと思いますが」
「佐藤氏はこの様な趣旨の発言はしておらず、寧ろ前向きに役を演じようとしている」
「内閣総理大臣を嗤うべき小物として演じるわけでなく、人間的弱さを持った人物が難局に対峙し、政治家として成長するという役どころにした、というようにも読める」

と受け止める声も出た。

   また「すぐにお腹を下す」という設定について、佐藤さんはそれ以上特段の論評はしていない。そのためか、「安倍氏を揶揄した」と否定的に受け取る向きに対して、「それくらいプレッシャーのかかる立場なんだと表現したかったのかな?と私もそれくらいにしか思いませんでした」という声もあがっている。