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「堀江さえいなければ...」 「N高」授業で「村上ファンド事件」ぶっちゃけトーク【続報あり】

   旧「村上ファンド」の運用などで「モノ言う株主」として知られる投資家の村上世彰(よしあき)氏(59)が、高校生への金融教育への取り組みを本格化させている。カドカワが開校した単位制の広域通信制高校「N高」が2019年5月22日、新たに開設する「投資部」の特別顧問に村上氏を迎えると発表した。

   村上氏は小学生~高校生を対象に全国で「お金」に関する授業を行っており、これまでに5000人程度が受講してきたが、継続的に指導するのはN高が初めて。この日行われたガイダンス授業では、インサイダー取引の容疑で自らが逮捕された事件にも言及。実業家の堀江貴文氏(46)を引き合いに「堀江さえいなければ僕は逮捕されなかった。それは言わしてほしい」などと話し、生徒の笑いを誘った。

  • 「N高」生徒を前に授業する投資家の村上世彰(よしあき)氏
    「N高」生徒を前に授業する投資家の村上世彰(よしあき)氏
  • 「N高」生徒を前に授業する投資家の村上世彰(よしあき)氏

「お金にマイナスイメージ持っている人が日本の既得権益の人の中に多い」

   「投資部」は、小論文で部員50人を選び、7月から5人1組のチームで投資を開始。20年3月に運用成績の報告会を開く。この間、村上氏は3回程度対面で授業したり、ネット上で質問を受けたりする。

   村上氏の財団から1人あたり20万円を支給。損失が出ても生徒本人への負担はなく、利益が出たら部員個人が使える。元本は財団に寄付する。投資対象は東証に上場する現物株のみで、FXや仮想通貨は含まない。元手の20万円は、統計検定などに合格すれば50万円、100万円に増額される。

   村上氏は授業の中で、

「お金は汚いものではない。お金は単なる道具。やっぱりお金というものに、すごくマイナスなイメージを持っている人が、日本人の既得権益の人の中に多い」

などと説明。そこで言及したのが「村上ファンド事件」だ。村上氏は、堀江氏が率いていたライブドアによるニッポン放送株の大量取得をめぐり、証券取引法(現・金融商品取引法)違反(インサイダー取引)の罪に問われた。06年6月に逮捕され、11年6月、最高裁が上告を棄却し、懲役2年・執行猶予3年の有罪高裁判決が確定している。

「あんな堀江ごときに買えるわけはない」と思っていたのに

   村上氏は、当時のことを

「たった一言堀江が『フジテレビほしい、フジテレビ買えませんかね?その前にニッポン放送を買ったらできますかね?』。それだけですよ。何のインサイダーでもない」

と説明。「あんな堀江ごときに買えるわけはない」と思っていたが、堀江氏が村上氏の想像を超えるペースで大量の資金を調達し、自らの立件につながったとの見方を示した。その上で、

「愚痴になるんで、あんまり言いません。堀江さえいなければ僕は逮捕されなかった。それは言わしてほしい。でも、友達です。彼も悪気があったわけじゃないし...」

と発言。生徒たちを笑わせた。

「村上新党をつくってください。一緒にやりましょう」

   堀江氏は05年の「郵政解散」にともなう衆院選で自民党の支持を受けて広島6区から出馬したが、落選している。このことも踏まえながら、冗談交じりに「恨み節」を披露した。

「もっと言うと、堀江さえ立候補しなければ、おれは逮捕されなかった。(立候補は)『やめとけよ』(と堀江氏に伝えた)。でも、あの瞬間は、堀江が僕にこう言いました。『村上新党をつくってください。一緒にやりましょう』って言われて、僕は断っちゃいました。堀江の選挙は応援しました。応援に人も出しました。『やめとけよ~』(と改めて堀江氏に伝えた)。もう、有頂天になってました。『絶対通るんです!』。落ちるとこういうこと(逮捕・起訴)になる。既得権益に逆らうと、ここまで怖い」

   堀江氏は、N高「起業部」入部のための審査員を務めたこともある。村上氏は

「で、僕は最近逆らってません。でも、堀江はまた逆らってます。だから、起業部は大丈夫じゃないです。こっちは大丈夫」

と話し、再び生徒から笑いが起こった。

   村上氏は

「この投資部では、単に儲けることを目的にしていません。損してもらっても結構」

とする一方で、

「ものすごくこれで勉強してうまくなって、どんどんお金を稼げるようになっても、それもうれしい。そうやってお金に親しみを持って触れ合ってもらうこと、それが僕の大きな目的なんです」
「お金があったからできることというのはすごく大きいと思うので、お金だけじゃないけど、お金はあった方がいいと、僕はみんなに思ってほしい。汚いものじゃない。あったらいろんなことができるよ、というのはこの授業を通じて伝えたいこと」

と参加を呼びかけた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

(※23日追記)村上氏は23日、堀江氏への言及をめぐり陳謝するコメントを出した。