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2013年「ジョブズが生きていれば...」→2019年「ジョブズが生きていれば...」 発表会のたび現れる「亡霊」から、人はいつ解き放たれるのか

   米Apple(アップル)が2019年6月4日(日本時間)から、年次の開発者向けイベント「WWDC2019」を開催している。初日のキーノート(基調講演)では、新製品や新たなOS(オペレーションシステム)が発表されて、世界中のユーザーから大きな反響が出ている。

   なかでも注目されているのが、新型Mac Pro。メモリを最大1.5TB(テラバイト)まで積める拡張性の高さだけでなく、その独特のデザインも話題だ。本国では「チーズおろし器みたい」との感想が出ているほか、日本のツイッターでも「おろし金」がトレンド入りした。そんな中、「ジョブズが生きていれば......」と、ため息まじりの投稿は絶えない。

  • 新しいMac Pro(プレスリリースより)
    新しいMac Pro(プレスリリースより)
  • 新しいMac Pro(プレスリリースより)

「ジョブズだったら絶対許さないと思う」

   あらためて説明するまでもないが、スティーブ・ジョブズ氏は、Appleの共同創業者。一時は会社を追われたが、CEO(最高経営責任者)復帰後は、iPodなどの新製品を続々発表。iPhoneやiPadなどでは、ただ機械を売るのではなく、その製品があるライフスタイルそのものも提案して、多くの「信者」を生み出した。

   トレードマークは、黒いシャツにジーンズ。キーノートなどでは、終盤に「One more thing(それと、もうひとつ)」と前置きして、新製品を紹介するのが通例だった。かくいう筆者も高校時代、ジーンズからiPod nanoを取り出すシーンに感動して、すぐさま注文した記憶がある。しかしジョブズ氏は11年10月、すい臓がんで死去。56歳の生涯を終え、後任のCEOにはティム・クック氏が就いた。

   それから、もうすぐ8年。いまなお「ジョブズなら、こんな時どうしていたのか」と考えるファンは多いようだ。ジョブズ氏は、機能面はもちろんながら、とくにデザインへの強いこだわりを持っていた。そのため「存命なら『おろし金』を認めたか?」と問うツイートは多い。多くは批判的な文脈で、

「ジョブズだったら絶対許さないと思う」
「これはないっすわー...ジョブズ泣くレベル」
「なんかもうジョブズっていないんだなあ...」
「スティーブ・ジョブズだったら窓からぶん投げて捨ててる」
「Mac Pro見たらジョブズ生き返ったのに憤死しちゃうね」

といったつぶやきだ。

死の直後には「素晴らしいといいそう」の声も

   今回のWWDCでは、音楽管理ソフト「iTunes(アイチューンズ)」が機能別に分割されることや、iPadがiPhoneなどと共通の「iOS」から、専用の「iPadOS」に移行することなども発表された。新OSではマウス接続もサポートすると報じられている。

「ipadの新OSジョブズの考えからどんどんかけはなれてる気がする」
「iPadの新作でるらしいけど多分スティーブ・ジョブズが作ろうとしてたものとは別なんだろうなぁ」
「iTunesがあれば音楽、映像、全てのメディアが1つのアプリケーションで管理できるってのがジョブズの哲学でしたよね」

   ジョブズ氏を慮るようなツイートは、今回に限ったものではない。2013年発表のMac Pro(前モデル)は、まるで「ゴミ箱」に見える円筒状のデザインが注目された。その当時にも、

「ジョブズがいないとこうなるのか」
「ジョブズが最新Mac Proを見たらなんて言うかね」
「ジョブズだったら『真四角にしろ!』と言って聞かなかったに違いないw」

といった声はあったが、まだ没後1年半ほどだったため、「ジョブズの意思は生きているのではないだろうか」「良くやった素晴らしいといいそう」といった声も多かった。

Apple Pencilには「墓場から甦るぞ」「ブチ切れるぞ」

   ただ、その後、風向きが変わる。14年のApple Watch発表時には、

「ジョブズいないとここまでデザイン悪くなるのか...」
「ジョブズが生きてたらGOサインを出しただろうか?」
「Apple watchはジョブズを生き返らせて再設計したほうがいいと思う」

といったコメントが続出。その1年後に、スタイラス(ペン型入力デバイス)のApple Pencilが発表された際にも、

「ジョブズが怒りすぎて墓場から甦るぞ...」
「あれだけ指にこだわったジョブズがこれ(Apple Pencil)を見たらブチ切れるぞ」
「ジョブズが『スタイラスなんて誰が欲しがる?』ってiPhoneの時に否定したのにApple Pencil出てくるの笑ってる」

などと言われていた。新作発表ごとに流れるこれらのコメントは、死してなおカリスマ的な人気がある証左といえるだろう。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)