J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

茨城県内各地で「新入生にランドセル支給」 全国でも配布の動きが

   とあるツイッターユーザーが、茨城県日立市が支給するランドセルの画像を公開し、「羨ましい」「シンプルでいいね」といった声があがった。

   日立市教育委員会のサイトを覗いてみると、支給は昭和50年(1975年)度からで、対象者は「日立市にお住まいで小学校に入学する新1年生」とあり、赤と黒2色の合成皮革製ランドセルが用意されている(色は男女とも選べる)。デザインはシンプルで「ファスナー式薄型ランドセル」と紹介されている。

  • 日立市が支給するランドセル(担当者が最新版デザイン提供)
    日立市が支給するランドセル(担当者が最新版デザイン提供)
  • 日立市が支給するランドセル(担当者が最新版デザイン提供)
  • 肩ベルトには防犯ブザーを付けるためのフックが
  • 特徴はファスナー式薄型ランドセル

担当者「第1次オイルショック後から支給」

   いったいどうして支給をしているのか。その背景には「保護者への経済的負担軽減」と「お祝い」の意味があると2019年6月17日、J-CASTニュース編集部の取材に日立市教育委員会学務課の担当者は答えた。

   担当者は「1975年から入学する児童に、当時第一次オイルショックが起きて物価上昇の影響から『保護者への経済的負担の軽減』と『入学のお祝い』という意味を込めて始めた」とし、現在に至るまでその取り組みは続いていると語る。

   共通デザインのランドセルを支給することで、「同じ仲間意識と安心感」を持つことができ、保護者からは「ランドセルを購入するには費用がかかるなかでの贈呈なので助かった」といった声があがっていると担当者は答えた。

   市販のリュックが約1キロの中、このリュックの特徴は「550グラムで『軽さ』にある」という。また2019年から肩ベルトに防犯ブザーを付けるためのフックが付けられるなど、この約半世紀で機能面でも進化しているようだ。

疎外感や不安にはどう対応?

   だが一方でネット上では「一律にされるのは選ぶ自由がない」などという意見もあがっている。

「自由がなくなるのでは」
「みんな一緒というのは嫌だなぁ」

   ネットに上がるこういった声に対して、担当者は「贈呈したものを必ず使用してくださいというわけではない。自分で用意したい場合はしてもらってもかまわない」という。また「疎外感や不安が起こりえないように転入してきた学生などにも支給をしている」と述べた。

   茨城県教育委員会の学校教育部義務教育課の担当者によると、県内では日立市以外にも9つの市と町がランドセルの配布を行っているという。石岡市教育総務課の担当者は、黒2色(ステッチという縫い目が黒と青のものがある)や赤色、水色、茶色を事前申請で選べると話す。

   利根町では2019年度から、ランドセル支給に所得制限を設けた。学校教育課学部係の担当者は「ICT(情報通信技術)などの教育へ予算を回していきたい」という事情があるとのことだ。

   茨城県以外でも、支給はあるという。文部科学省の修学支援プロジェクトチームの担当者は、「修学援助という制度の中で、現物支給という形でランドセルなどを支給、支援している自治体は全国的にある」と語った。

(J-CASTニュース編集部 井上祐亮)