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下着に「KIMONO」命名問題、京都市長が「再考」要求 「私的に独占すべきものではない」

   米タレントのキム・カーダシアン・ウェストさん(38)が、矯正下着ブランドに「KIMONO」と名付けて商標登録申請している問題で、日本の「着物」をはじめとした伝統的な和装産業が栄える京都市は2019年6月28日、門川大作市長名義で、カーダシアンさん側にブランド名の「再考」を求める文書を送ると発表した。

   送付先はカーダシアンさんと、「KIMONO」ブランドを展開するKIMONO Intimates社。着物について「先人たちのたゆまぬ努力と研鑽によって育まれてきた日本の伝統的な民族衣装であり、暮らしの中で大切に受け継がれ、発展してきた文化」であるとして、理解を求めた。

  • 京都市が発表した市長名義の文書(英語版)
    京都市が発表した市長名義の文書(英語版)
  • 京都市が発表した市長名義の文書(英語版)
  • 京都市が発表した市長名義の文書(日本語版)
  • キム・カーダシアンさんの6月25日のインスタグラム。「KIMONO」の言葉が使われている(赤い下線は編集部)

「日本人の美意識や精神性、価値観の象徴」

   カーダシアンさんは自身のインスタグラムなどで25日、矯正下着ブランド「KIMONO」を公開し、商標登録を進めていることを明かした。だが、下着でありながら日本の伝統的な衣装「着物」と同じ発音であることから、「文化の盗用」ではないかとして批判が殺到。署名サイトでは抗議の呼びかけも行われている。そうした中、カーダシアンさんは米ニューヨーク・タイムズ紙に声明を発表し、「日本の文化である着物の重要性を理解しており、深い尊敬がある」とする一方で、「KIMONO」というブランド名を変更するつもりはないことを明らかにしていた。

   京都市は28日、公式サイトで「『KIMONO』の商標登録に関して」とのお知らせをアップ。「先日、米国のリアリティ番組でのスターであるキム・カーダシアン・ウェスト氏が、『KIMONO Intimates』社から発売予定の下着製品に『KIMONO』で商標登録申請したと発表した件について、京都市では、同社に対し、『きもの』『きもの文化』を御理解いただき、ブランド名として『KIMONO』の使用について再考いただくよう、別紙のとおり、理解を求める文面をお送りします」として、門川市長名義の文書を英語版と日本語版の2通掲載した。

「ブランド名としてのご使用についてお考え直しいただきたく」

   文書ではまず「『きもの』は、日本の豊かな自然と歴史的風土の中で、先人たちのたゆまぬ努力と研鑽によって育まれてきた日本の伝統的な民族衣装であり、暮らしの中で大切に受け継がれ、発展してきた文化です。また、職人の匠の技の結晶であり、日本人の美意識や精神性、価値観の象徴でもあります」と着物について紹介し、「さらに、近年、日本人はもとより、日本を訪れる多くの外国人旅行者が、きもの姿で京都のまちを、また日本のまちを散策される光景も増えています。これは、まさしく、日本が誇る伝統文化である『きもの』が、世界の人々に愛されていることの表れであります」と着物文化が国際的な広がりを見せていることも示した。

   また「そして、今、私たちは、すべての国民の皆様とともに、日本のこころや文化の象徴である『きもの文化』を、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指す取組も進めています」と現在の取り組みを明かしている。

   その上で、

「私たちは、『KIMONO』『きもの』『着物』の名称は、きものやきもの文化を愛するすべての人々共有の財産であり、私的に独占すべきものではないと考えます。是非私たちの思いをお汲み取りいただき、ブランド名としてのご使用についてお考え直しいただきたく存じます」

とブランド名の再考を求めた。さらに、

「キム様には、私たちの強い思いを御理解いただくためにも、『きもの』をはじめあらゆる日本の文化を守り育ててきた京都にお越しいただき、『きもの文化』の神髄に触れていただければ幸いです」

とカーダシアンさんに着物文化の体験を勧めている。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)