J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

経産省の「3600ページPDF」、たった1日で民間が地図化 Zaim「キャッシュレス還元マップ」公開

   キャッシュレス決済をすると金額の2~5%が還元される経済産業省の「キャッシュレス消費者還元事業」に関し、家計簿アプリを展開するZaim(ザイム、東京都渋谷区)が2019年9月4日、同事業の対象店舗を「検索」できるサービスを独自に開発・公開した。

   同事業をめぐっては、対象店舗を公式サイトから探そうとすると全3608ページのPDFファイルに移動する仕様となっており、インターネット上では「探しづらい」と不満の声があがっていた。Zaimはこうした声を受け、「1日で」開発したという。

  • Zaimが公開した「キャッシュレス還元マップ」
    Zaimが公開した「キャッシュレス還元マップ」
  • Zaimが公開した「キャッシュレス還元マップ」
  • 「キャッシュレス・消費者還元事業」の公式サイト。左下の「使えるお店を探す」を押すとPDFに遷移する

登録加盟店一覧はこちら→全国約18万店がズラリ

   「キャッシュレス・消費者還元事業」は消費税増税に伴う施策で、10月1日から20年6月末までの間、登録加盟店舗で対象キャッシュレス決済手段を使って代金を支払うと、最大5%のポイント還元を受けられる。経産省が主導し、同省が監督官庁の一般社団法人キャッシュレス推進協議会が事務局業務を担っている。

   ポイント還元がはじまるのを前に、同事業の公式サイトでは消費者向けのページを公開。8月30日には対象キャッシュレス決済手段も公表された。

   だが、サイトの「使えるお店を探す 登録加盟店一覧はこちら」を押すと、3608ページにおよぶPDFファイルに遷移し、登録済みの全国約18万店がズラリと並べられた表が出る仕様になっている。9月1日ごろからツイッター上で拡散されると、閲覧性の低さから「そんな大きなファイル無言で押し付けてくる組織やばめ。感覚が民間と違うなぁ」「偉い人たちが色々疎すぎますよね・・・本気でキャッシュレス推進する気ないんでしょうか」などの声があがっていた。

   そうした中で「助太刀」に入ったのがZaim。4日、同事業の登録加盟店舗を地図やキーワードから検索できる「キャッシュレス還元マップ」をウェブ上で公開した。開発の背景について「経済産業省は『キャッシュレス・消費者還元事業』開始に伴い、2019年9月に約18万店舗が一つの PDF にて一覧化された消費者向けの特設サイトを公開しました。Zaimでは『実生活でより使いやすいものを』という利用者からの声を受け、対象店舗を地図や自治体名、キーワードなどで検索できる特設ページを家計簿サービス『Zaim』の期間限定機能として即時対応いたしました」としている。

   キーワード検索では、店名などを入力すると結果が一覧表示され、「詳細」をクリックするとGoogle検索結果に遷移する。また地図から都道府県、市区町村をクリックするとその自治体の登録店舗のみが表示されるようになっている。

「期間が短いサービスであるため、できるだけ早く公開を」

   Zaimは5日、J-CASTニュースの取材に、このサービスは経産省から公式に委託などを受けたものではなく「弊社独自のサービスでございます」と説明。「経産省公開のページについて『使いにくい』という声が多く、緊急対応として準備・公開させていただきました」としている。使いやすさの点では

「3000ページをダウンロードして参照...という使いにくさがありました。これを踏まえてPDFを解析し、店名や地域から対象店舗をかんたんにテキスト検索できるよう工夫いたしました。店名や地名の他、地図から自治体を指定することも可能です。また、なによりも『期間が短いサービスであるため、できるだけ早く公開を』ということを前提に、課題発見から公開まで1日で対応いたしました」

と話した。

   なお「キャッシュレス・消費者還元事業」公式サイトで2日に公表された資料には、「対象店舗は、店頭ポスターに加え、地図アプリ(9月中下旬にAndroid/iOSで公表)やホームページからも検索できます。お店の還元率(5%か2%)や、対象決済手段も確認できます」との説明がある。また5日までに、上記「使えるお店を探す 登録加盟店一覧はこちら」のボタン直下に、「※9月中旬には、地図上に対象店舗を表示するウェブ機能やアプリを公表予定」との記載が加わった。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)