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名馬の「たてがみ」悪質客が切る タイキシャトル、ローズキングダム被害...牧場「非常に残念」

   日本競馬史に残る名馬の一頭として知られ、現在は北海道の牧場で余生を送るタイキシャトル(牡25歳)が、何者かにたてがみを切り取られる被害に遭っていたことがわかった。

   魔の手は同じ牧場で暮らす、ジャパンカップなどの勝ち馬ローズキングダム(牡12歳)にも。管理する牧場は、「非常に残念」と肩を落とす。

  • 1998年、仏ジャック・ル・マロワ賞を制したタイキシャトル(写真:AFP/アフロ)。名馬に思わぬ災難が
    1998年、仏ジャック・ル・マロワ賞を制したタイキシャトル(写真:AFP/アフロ)。名馬に思わぬ災難が
  • 1998年、仏ジャック・ル・マロワ賞を制したタイキシャトル(写真:AFP/アフロ)。名馬に思わぬ災難が
  • ヴェルサイユファーム株式会社の公式ツイッター(@Versailles_Farm)より。刃物のようなものでたてがみが切られてしまっている

美しいたてがみがぶっつりと...

「こういう方がいると、公開する牧場もどんどん減っていく。マナー以前の問題で、なんと言えばいいか......非常に残念だと思います」

   こう語るのは、タイキシャトルらが暮らすヴェルサイユリゾートファーム代表の岩﨑崇文さんだ。

   被害に気付いたのは2019年9月15日の朝5時ごろだった。タイキシャトルのたてがみの一部が、刃物のようなもので、何者かによって切り取られていたのである。牧場の公式ツイッターで写真も公開しているが、美しい栗色のたてがみが、無造作にぶっつりと切られてしまっている様子がわかる。

   確認したところ、やはりヴェルサイユリゾートファームに暮らすローズキングダムも、同じようにたてがみが切断されていた。タイミングや手口などから、岩﨑さんは、同じ人物による「犯行」ではないかと考えている。

   タイキシャトルは1997年にデビュー、主に短距離レースを中心に活躍した。特に98年にはフランスに遠征してジャック・ル・マロワ賞で勝利、日本調教馬として史上2頭目の海外G1ホースに。「日本史上最強の短距離馬といえば?」という問いに、しばしば名前が出る一頭だ。

   もう一頭の「被害馬」ローズキングダムは2009年にデビュー、10年にはG1レース・ジャパンカップを国内外の強豪を退けて勝利した。近親に多くの活躍馬がいる「薔薇一族」の一頭として、多くのファンがいる。

「馬産地・日高を盛り上げていきたいと思っていた矢先に...」

   2頭は競走馬の父親となる「種牡馬」として活動してきたが、年齢や体調などもあって引退し、ヴェルサイユリゾートファームで余生を過ごすことに。牧場では、クラウドファンディングなども活用しながら、ファンにその姿を公開する事業を2019年から本格的にスタートしたばかりだった。

   そうした矢先の今回のトラブルである。牧場側は警察に届け出るとともに、ツイッターで写真を公開し、ファンから情報提供を募った。岩﨑さんによれば、14日午前中に撮影された写真ではすでにたてがみが切られていることが確認できたといい、遅くともそのころまでに「犯行」があったものとみられるという。

   岩﨑さんはJ-CASTニュースの取材に、「うちでは今までこうしたことはありませんでした。しかし、他の牧場では同じような被害があったと聞いたことがあります。馬産地・日高を、馬を通じて盛り上げていきたいと思っていた矢先に......」と無念な胸の内を明かす。牧場では馬の安全面を考え、当面見学を中止し、予約客については個別に対応するとしている。