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「花園で育った」JRFU新理事・谷口真由美氏が、「W杯後」のラグビーにかける思い

   2019年9月20日、「ラグビーW杯2019日本大会」が開幕した。日本代表は30―10で、ロシア代表に勝利。目標とする「ベスト8」以上に向け、日本中が大きな期待を寄せている。

   そんな中、J-CASTニュースでは、今夏、日本ラグビーフットボール協会(JRFU)の理事となった法学者・谷口真由美氏に話を聞いた。谷口氏は、大阪大の非常勤講師として教鞭(きょうべん)を執るかたわら、「全日本おばちゃん党」の立ち上げ、TBS系「サンデーモーニング」(毎週日曜日8時~)のコメンテーターなどとしても活躍している。でも、何でラグビーに詳しいのか?

  • ラグビーボールにサインをし、ニッコリ笑顔の谷口真由美氏
    ラグビーボールにサインをし、ニッコリ笑顔の谷口真由美氏
  • ラグビーボールにサインをし、ニッコリ笑顔の谷口真由美氏
  • 「ラグビー場に住んでいたです」と笑顔で語る谷口氏

ランドセルを背負って...花園ラグビー場の中から通学

   谷口氏は、1975年3月生まれ。父はラグビーの古豪である近鉄(現・近鉄ライナーズ)の選手だった。「全国高校ラグビー」の聖地としても有名である東大阪市・花園ラグビー場は2015年まで近鉄が所有していた。実は、谷口氏は「ラグビー場の中」に住んでいたのだそうだ。

「父は元・近鉄の選手で、引退後にコーチを引き受けてくれないかと言われて、受けました。私が小学校の時でした。ただ近鉄の寮は当時、花園ラグビー場の敷地内にあったんです。それで父がコーチ、母が寮母。そこで、大きいお兄ちゃんたちと、毎日、過ごしていました。1981年から1991年までのことです」

   えっ? 花園ラグビー場の敷地内に住んでいたんですか?

「いや、ホンマに。赤いランドセル背負って、ラグビー場から学校に行ってましたもん! 最初は警備員さんに『お嬢ちゃん、ここは入ったらあかんで!』って止められたけど『ここがウチの家なんや!って』」

   だから、ラグビーに詳しいのか...。記者は約30年、ラグビーに携わってきたが「ラグビー場に住んでいた」という人には、初めて出会った。

清宮副会長は「谷口の右に出る女性はいない」と太鼓判

   そんな谷口氏、2019年のJRFU人事において理事に就任した。在住する大阪市内の自宅で5月末だったそうだ。自宅で昼寝をしていたところ、スマホが鳴ったのだという。

「何回か着信があって、ビックリして。『これは、誰か死んだんやわ...』。と思って、恐る恐る折り返したんですよ。そうしたら、元ラガーマンで旧知のおじさんから『おう、お前のこと、協会の理事に推薦したからな』って。寝ぼけていて、意味が分からんかった。『はあ?』って感じやったんです」

   今夏のJRFUでは、「ヒゲの森さん」と呼ばれる森重隆会長(元日本代表)、清宮克幸副会長(元早稲田大学ラグビー部監督、ヤマハ発動機元監督)といった「トップ人事」の改変が行われた。「そやから、森さんや清宮さんから直接、誘われたわけではないんですよ」。そんな中で、女性理事として「入閣」したのが谷口氏だった。

   清宮副会長とは、以前からラグビー関係の仕事で懇意にしていたこともあり、最終的には、

「日本の女性でラグビーを語らせたら『谷口の右に出る女性はいない』と、推してくださった。要は『スポークスマン』的な感じかな。でも、よっぽどファンの女性で見ている女性の方が詳しいと思うし、おこがましいんですけど...。ただ、ラグビー場で育ったから、ラガーマンの生態と、周辺のややこしいことは分かっていたから。小脇に見ていたから」(笑)

という理由で、理事という大役を引き受けた。また、

「我々って『団塊ジュニア』やと思うんですよね。その世代が、ようやく社会をハンドリングできる時代になったんや...って思います。社会的に、ボールを自主的に回せるポジションになってきたんかな...って」

子どもたちの「ファーストスポーツ」がラグビーであったら...

   JRFUは今、日本ラグビーのプロ化を目指して動いている。その中で、プロチームの傘下に「少年少女ラグビー」を取り入れようとしている。ただし、ラグビーというスポーツは頭を打ったりケガをしたり...という競技であることも、疑う余地はない。しかし谷口氏は、

「まずは、エンジョイラグビー。少なくとも普及、育成の段階で『勝利至上主義』は、ダメやと思っています。親御さんが『子供にさせたいスポーツNo.1』にしたいですよね。親がやらせる時に、そこにラグビーボールがあってほしいな。子どもが生まれたら、ラグビーボールを贈る文化にならないかな...と。その後は、どんなスポーツをやってもいいしね」

   W杯後も、日本のラグビーを盛り上げていくことを誓った。

(J-CASTニュース編集部 山田大介)