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IR汚職は「疑獄」に発展するのか 若狭勝氏「特捜部の今後を占うことになる」

   統合型リゾート施設(IR)を巡る汚職事件で、贈賄の疑いで逮捕されたコンサルタントの男(48)が政界に幅広い人脈を持っていたことが話題になっている。

   今回の事件について、野党などからは、「IR疑獄」ではといった声も上がる。どんなケースが考えられるのか、特捜部出身の若狭勝弁護士に聞いた。

  • 果たして疑獄事件になるのか
    果たして疑獄事件になるのか
  • 果たして疑獄事件になるのか

自民党の幹部クラスなどとの写真もSNSに投稿

   「内閣府副大臣」の札が置かれた机に座る本人の後ろで、親指を立ててにっこり微笑む。容疑者の男は2018年10月、自らのインスタグラムにこんな写真を投稿していた。

   当時、IR担当副大臣だったのが、19年12月25日の逮捕後に自民党を離党した衆院議員の秋元司容疑者(48)だ。

   男は、インスタやフェイスブックなどのSNSに、複数の国会議員について、こんなツーショットやパーティーで交流する様子の写真を多数アップしていた。その中には、東京地検特捜部の家宅捜索を受けた自民党の白須賀貴樹衆院議員(44)とのツーショットも含まれている。

   そのほかにも、自民党の幹部クラスや幹部の家族議員らとの写真もあった。一部夕刊紙では、野党議員との関係も指摘しており、政界への幅広い人脈がうかがわれる。

   各メディアの報道によると、男は、選挙コンサルタントをしていたほか、ブローカーとして、IR参入を目指した中国企業「500ドットコム」と秋元議員らとの仲を取り持ったとされている。

   立憲民主党の安住淳国対委員長は26日、「IR疑獄ではないか」との見方を報道陣に示し、国会で追及したい考えを明らかにした。

   今後、政権を揺るがすような疑獄事件に発展する可能性は、どれだけあるのだろうか。

「司法取引を前提に動いている可能性がある」

   元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、「特捜部が司法取引を前提に動いている可能性がある」との見方をJ-CASTニュースの取材に示した。

   今回の事件では、北海道でのIR参入が結果としてとん挫している。「ワイロを渡しても動いてくれなかった、役に立たなかったとの怒りから、政治家らを刺す目的で、捜査当局に情報提供をする可能性はあるかもしれません。普通は、自分も処罰されるので踏み留まりますが、今は、司法取引の制度がありますから」と若狭氏は言う。

   逮捕された男や中国企業元幹部ら贈賄側3人のうち、一部が容疑を認めているとも報じられている。

   現時点で、疑獄事件になるかについて、「その可能性は少ないと思います」としながらも、こう指摘した。

「自民党などの幹部2、3人を逮捕すれば、疑獄事件になるでしょう。特捜部が、不正をただすスタンスを貫くか、政権をぐらつかせると忖度するか。本腰を入れて政権に対峙する覚悟があるかどうかで、特捜部の今後を占うことになると思いますね」

   野党議員に疑惑が及んだケースについては、「国会で質問できる職務権限がありますから、IRや中国に寄り添った内容だったとすれば、収賄罪が成立すると思います」としている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)