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日本JCと「政治」、その浅からぬ関係 「若旦那がお金に物をいわせて...」

   日本青年会議所(日本JC)が運営する「メディアリテラシー」向上を呼び掛けるツイッターが、中立性が疑われるリツイートを繰り返し、ツイッター側と結んだパートナー協定が解消される可能性も出てきた。

   日本JCは、リツイートを削除し、ツイッター側と今後について協議している。過去にも、担当者が「右寄り」ツイートを繰り返して謝罪した騒ぎがあったが、一体どんな団体なのだろうか。

  • ツイッター政治の公式アカウントで呼びかけたが…
    ツイッター政治の公式アカウントで呼びかけたが…
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2年前に「宇予くん」騒動起こしたばかり

   リツイートした1つが、あるJCメンバーの投稿だ。このメンバーは、ジャーナリストを名指しで、「ツイートが的外れ過ぎ」「発狂している」と揶揄していた。

   さらに、新型コロナウイルスについて独自の見方をしたJC出身のクリニック院長の投稿についても、リツイートするなどしていた。

   この公式ツイッターは、日本JCのメディアリテラシー確立委員会のアカウント「情報を見極めよう!」だ。日本JCとツイッタージャパンは、その直前の2020年2月10日、ツイッターなどソーシャルメディアのリテラシー教育をJCメンバーらに行うパートナー協定を結び、ツイッター政治の公式アカウントが活動を支援すると発表していた。

   2年前には、日本JCの当時の担当者が、保守思想をうたうキャラ「宇予くん」の公式ツイッターで特定の議員やメディアを中傷したり、中国や韓国に対して「国交断絶」「ミサイル爆撃」などを主張したりして、日本JCが謝罪に追い込まれたことがある。それだけに、協定を結んだ際も、ツイッター側の対応を疑問視する声が続出していたが、公式ツイッターでも、実際に中立性が疑われるようなリツイートが繰り返されたとして、炎上状態になっている。

   ツイッター側に対し、「見識を疑われる話」「そもそも何で提携する必要があったのか」「初っ端から、思い切りリテラシー不足が露呈している」などと批判が相次いでいる。

ツイッター広報「万一対応が改まらない場合は...」

   日本JCのリツイートについて、ツイッタージャパンの広報部は2月13日、J-CASTニュースの取材にこうコメントした。

「情報リテラシーに関するものだけが投稿される予定と聞いておりました。また、発信するコンテンツについては事前にアドバイスをするなどして協力していく予定でした。このように特定の企業や団体のリツイート等は想定しておらず、当初ご提示いただいたとおりの運用をしていただくよう、既にお願いをしました」

   パートナー協定を解消する予定があるかについては、その可能性は認めた。

「JCI担当者や会員企業に対しての研修やアドバイスを提供していきます。万一対応が改まらない場合は、様々な選択肢を検討したうえでその後の方向性を決める必要がございますが、現在のところお話しできることはございません」

   今回の協定締結は日本JCから相談があり、過去の担当者ツイートについては、「過去の過ちを改めたうえで、信頼回復に努めたい」と説明があったため、ツイッターでも、リテラシー教育に理解があると考えたという。日本JCは政治団体ではなく、政治的な活動を後押しするものでもないとしたうえで、ルール違反があれば必要な対応を行うと言っている。

   日本JCにも取材を申し込んだが、13日夕までには、回答が得られなかった(追記あり)。

「お金がある人は、その力で自分の子分を作っている」

   日本JCは、共に向上し合い、社会に貢献しようと青年有志の運動が始まったことがきっかけで、1951年に各地のJCの全国機関として設立された。20歳から40歳までという年齢制限がある。

   日本全国に700弱のJCがあり、会員数は約3万4000人に及んでいる。その9割が、地元の経営者クラスだという。

   特定政党との関係はないとしているが、JCに詳しいある関係者は、その特徴について、こう話す。

「若旦那がお金に物をいわせて、キャリアを太くしたり、あわよくば議員になろうという団体ですよ。私が講演に呼ばれたときは、必要がないのに地元のJC幹部とパネルディスカッションをさせられたり、夜に地元の有名クラブで接待をされたりしました。そこで写真を撮って、著名人と知り合いだと触れ回り、自分のステータスにしたいわけです」

   JC出身者の象徴とも言えるのが、麻生太郎副総理兼財務相(79)だそうだ。

「全国のJCから集まって、30年前に『麻生を総理にする会』を作っていました。そして、麻生さんは、JC出身者を何人も国会議員にし、麻生派を作っています。お金がない人は、仕事がもらえると無理してJCに入り、お金がある人は、自分の子分を作っているわけです。そうすると、考え方に偏りが出てしまいますね」

   もっとも、一生懸命に活動に取り組む人も多いとした。

「地元でわんぱく相撲を主催し、子供たちを育てるためにお金を出し合っています。若いときは、JCで活動し、地元の名士になった後は、商工会の中心になるケースも多いですね」

   (2月14日追記)日本JCから13日夜、回答があった。「質問1 リツイートを削除した理由について」への回答::Twitter社との協定内容では、「情報リテラシーに関する情報」のみを発信することになっていましたが、不適切であったため削除しました。Twitter社からの指摘ではございません。公式Twitterアカウントは、メディアリテラシー確立委員会の担当者が管理しております。誤ったリツイートであり、特定の意図によるものではありません。誤りとはいえ、誤解を招いてしまったことは反省しております。現時点ではTwitter社から提携解約の連絡はいただいておりません。

   「質問2 当会(日本JC)と特定の政党との関わりについて」への回答::当会は、特定の政党との関わりは有しておりません。当会出身の政治家の内容については把握しておりません。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)