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「自分の足がもう1年走り続けることが出来るか...」 五輪延期にベテラン選手ら苦悩

    2020年東京五輪の開催の行方を巡る国際オリンピック委員会(IOC)の対応に世界各国の選手から批判の声が止まらない。 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、IOCは大会の延期を含めた今後の対応について4週間以内に結論を出すことを表明。IOCが4週間の期間を設けて結論を先送りにしたことに対して、海外の有力選手から批判と疑問の声が続出し、ベテラン選手から不安の声が漏れている。

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「今答えを必要としています」

   2012年ロンドン五輪男子400メートル障害の英国代表で、11年世界選手権の金メダリストであるデビッド・グリーン(英国)は、英紙「ガーディアン」の取材に応じ、IOCの対応について「世界の多くで多くのトラックと施設が閉鎖され、国は閉鎖されています。待つには長すぎる。世界のアスリートは4月中旬ではなく、今答えを必要としています」と訴える。

   今年4月11日に34歳の誕生日を迎えるグリーンは、今夏の東京五輪にピークを合わせて調整してきた。現在、陸上トラックのある施設が使用出来ないため、農場で丸太を使うなどの独自のトレーニングを積んでいるというグリーンは「私は今、最高の体調を維持しているが、(大会が)1年遅れれば夢を終わらせる可能性がある」と述べている。

   ベテラン選手にとって1年もしくは2年の延期は体調を維持するのが難しく、陸上とボブスレーで夏季、冬季五輪の出場経験を持つロロ・ジョーンズ(37)=米国=はツイッター上で不安を吐露している。ジョーンズは3月23日に自身のツイッターを更新し、「正直なところ、自分の足がもう1年走り続けることが出来るか分からない。年長のオリンピック候補者たちには難しい決断がある」と投稿した。

馬術・法華津は東京五輪出場ならば79歳の最年長記録に

   年長者で東京五輪を目指す選手の中には、五輪史上最年長出場記録がかかる選手がいる。2012年ロンドン五輪で日本人最年長の71歳で出場した馬術の法華津寛(78)が東京五輪代表を目指している。3月28日に79歳の誕生日を迎える法華津は、東京五輪の出場がかなえば、1920年にスウェーデンのオスカー・スバーンが記録した72歳10カ月を大幅に更新することになる。

    馬術競技は選手と馬が一体となって試合に臨むため、選手の体調とともに馬の調子を五輪に合わせてピークに持っていく。大会が延期となれば馬のピークが過ぎてしまう可能性がある。法華津に限らず、馬術の調整は難しいといわれ、実際、2016年リオデジャネイロ五輪の出場を目指していた法華津は、愛馬の体調が崩れたことから代表選考試合に出場することが出来ず五輪出場を断念している。

   IOCは東京五輪の中止には否定的で、選択肢は「通常開催」か「延期」の2択となりそうだ。IOCは今後4週間以内に結論を出すと発表しているが、一部海外メディアでは数日内で最終決定が下されるとの報道もあり状況は流動的である。大会の延期を歓迎する競技関係者が多くいる一方で、五輪出場を目指している年長者にとっては大会の延期は選手生命に関わる深刻な問題でもある。